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ソニー、モバイル事業の戦略見直し〜具体策は今後発表

モバイル事業の営業権を全額減損、初の無配

 ソニーは、スマートフォンを含むモバイルコミュニケーション事業の中期計画を見直した結果、同分野の営業権全額、約1800億円を減損処理する。連結業績にも反映され、ソニーでは2014年度通期の見通しを下方修正するとともに株主への配当を、上場以来、初めて無配とする。

 17日、緊急会見において代表執行役社長兼CEOの平井一夫氏は、モバイル事業の戦略を見直して、規模の拡大を目指す戦略から、地域性を重視して、普及価格帯のモデルの削減や高付加価値モデルへの集中を行っていくと語った。

ソニーの平井CEO

中期計画は11月に

 7月末の第1四半期決算会見で、モバイル分野の不振が明らかにされた。それは中国メーカーなどの台頭により、新興国向けの普及価格帯モデルの販売が伸びなかったというもので、平井氏は今回の会見で「事前の予想と最も異なった点」と語る。第1四半期が赤字になったことを受けて、ソニーではモバイル分野の中期計画の見直しを実施。今回、それがある程度まとまり、その結果、モバイル事業の営業権全額を減損することになった。

 いわばモバイル事業に価値がない、とも見なされそうな処理に思えるが、平井氏は、ソニーにとってモバイルは重要なコア事業であり、これからも「One Sony」というフレーズに代表される同社の資産を結集した製品作りが重要との考えを示す。同氏は、「ポストスマホ時代がいつくるか、どういった製品になるかわからないが、モバイル分野の資産を活用してソニーが打って出られるよう、土台を作っていかなきゃいけないと思っている」と述べ、短期的な視点だけではなく長期にわたって、ソニーに欠かせない事業との認識を示した。

 営業権の減損は、中期計画の改定によって下された判断だが、その中期計画でモバイル事業はどのような道筋を辿るとされているのか。今回の会見では、地域やラインアップの見直し、組織の改革といったワードで触れられるに留まった。平井氏は「台数規模の拡大をベースにした、規模を追う戦略から変えていく。11月には(主に投資家向けの)IRデーが控えている。収益性や商品ポートフォリオ、地域戦略を、適宜、説明させていただければ」と11月までを目処に、あらためて説明を行う方針を示した。

経緯

 約1800億円という数字はどういった形で算定されたのか。説明会では、ソニーモバイルの完全子会社化の経緯が紹介された。ソニーモバイルを子会社化したとき、その公正価値は14億ユーロと評価された。ソニーは、その半額の7億ユーロ、そしてクロスライセンス締結や重要特許の取得3億5000ユーロ、あわせて10億5000ユーロ(当時1072億円)をエリクソンに支払った。その後の円安ユーロ高で、現在の価値は1800億円と算出、その分が減損処理される。この損失に現金支出はない。

 モバイル分野の固定資産は900億円あるが、これは今後も活かせるとして、減損は不要と判断された。またモバイル事業は収益性の改善によって、今後、利益の計上、つまり黒字化するとの想定も紹介された。

(関口 聖)