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Googleヤーガ氏、モバイルゲーム戦略を東京ゲームショウで語る

 千葉県の幕張メッセで18日から開催されている「東京ゲームショウ 2014」では、基調講演に、GoogleでGoole Play アジア太平洋地域ディレクターを努めるクリス・ヤーガ氏が登壇し、「モバイルで広がるゲーム体験」という題で、Googleのモバイルゲームに対する取り組みを語った。また、その後に開催された記者向けの説明会では、日本での展開についても解説。Android TVも披露された。

GoogleでGoole Play アジア太平洋地域ディレクターを努めるクリス・ヤーガ氏が「東京ゲームショウ 2014」に登場
Google Playでは、付近のユーザーとマッチングする機能が追加される
Android TVの画面

モバイルゲームとGoogle Play

 基調講演で語られた内容は、モバイルゲームのプラットフォームとして拡大しているAndroid向けの「Google Play」の展開を包括的に語ったもの。新サービスが発表されたわけではないが、ゲームの対戦・協力相手を、友達ではなく、ユーザーの周辺で探す新たな接続機能が、近く提供されることが明らかにされた。

 また、テレビ向けのプラットフォームとして開発している「Android TV」についても触れられ、試作機と液晶テレビを使いゲームをプレイするデモンストレーションを壇上で披露した。

 ヤーガ氏はスマートフォンの市場がさらに拡大していることなどのデータを示した上で、Androidスマートフォンについて、Androidユーザーは累計で10億人以上、世界で毎日150万台が新規に登録(アクティベート)されていると紹介し、150万台のスマートフォンを積み上げると高さが1万1000mを超えるといったユニークな例え方で、ある意味で非現実的という数字の大きさを示した。展開規模もまさにグローバルで、190の国と地域、60のメーカー、329の通信事業者がAndroidを展開しているという。

 一方で、「10億人という数字に満足しているわけではない」とし、インドで発表したばかりの安価なスマートフォン「Android One」を紹介し、2014年内にインドネシア、フィリピンで展開することも明らかにした。

Google Playの現状とAndroid TV

 ゲームを含めたコンテンツのプラットフォームである「Google Play」については、100万件以上のアプリが登録され、累計で500億ダウンロード、毎月20億ダウンロードという規模になっていることを示し、Androidユーザー4人のうち3人はゲームをプレイしているという数字も披露、これまでゲームを遊ばなかったようなユーザーにも利用されているとした。

 ここで壇上では4人で遊べるアクション性のあるRPG「白猫プロジェクト」をGoogleのスタッフとともにプレイ。友人と楽しめる要素や、没入感の高いゲーム性であることが人気の要因であるとした。

 「Android TV」については、「今年の後半にはハードウェアが発売される」とした上で、開発者向けには、「ゲームに対しても、大きな意味を持っている。アプリ開発者は、少しの調整を行うだけでAndroid TVにも対応させられる」とし、「Androidのすべての機能をリビングでも楽しめる」などと紹介した。

開発、グローバル展開、収益化を支援

 ゲーム業界の関係者が集まるビジネスデイとあって、開発者向けの内容についても、ヤーガ氏からは、開発、グローバル展開、収益化の3本柱で支援策を用意していることが解説された。

 基本的な情報では、Google Playのアプリでは、2013年6月から2014年6月までの1年間で開発者に対して50億ドル(約5435億円)が支払われており、前年比で2.5倍に伸びた。収入の高いトップ30のアプリの中には、アジアの開発者のアプリは5つあり、アジア地域の開発者全体でも、収入は3倍に伸びたという。

 開発面では、NVIDIAのTegra K1やUnreal Engine 4への対応といった、グラフィック面での表現力がパソコン並まで進化していることが紹介されたほか、グローバル展開ではコンテンツの翻訳を支援するツールやクラウドセーブなどの機能がAPIなどで用意されているとし、これらを活用したゲームタイトルはユーザーが繰り返しゲームを遊ぶ率が高いという数字も示された。アプリ内の広告表示機能や、突然のヒットでも対応できるというクラウドのバックエンドサービスも提供される。

 収益化という点では、クレジットカード、キャリア決済、ギフトカードなどユーザーが利用できる決済手段はさまざまなものがすでに用意されており、Androidユーザーの約半分はキャリア決済を利用しているという。開発者がアプリ側で対応できる仕組みとしては、ダウンロード課金やアプリ内課金に加えてサブスクリプション(月額課金など)も追加している。なお、収益でトップ24のアプリのうち、23のアプリはアプリ内課金を採用しているとのことだった。

ミクシィ森田社長が登場、「モンスト」成功の秘訣を語る

 ステージでは最後に、ミクシィ代表取締役社長 森田仁基氏が登場し、ヒットタイトル「モンスターストライク」の成功について語った。森田氏は、「モンスト」を提供するまでは「SNSしかつくったことがない会社だった」と振り返り、友達同士のコミュニケーションとして“Face to Face”にこだわった点や、引っ張って離すだけという、誰でも簡単に遊べる仕様にこだわったという。

ミクシィ森田社長が登場、「モンスト」成功の秘訣や海外展開を語った

 ローンチ後は、テレビCMでマス向けにPRする一方、Googleと協力してすかいらーくグループのレストランに広告を掲載したり、セブン-イレブンで販売したGoogle Playカードにゲーム内アイテムを付与したりといったキャンペーンを展開した。細かなところでは、Googleが提供する、OSの垣根を超えて利用できるクラウドセービングにiOS版アプリを対応させた点は、ユーザーからの評価も高いという。

 秘密の話はありますか? と司会担当者から問われた森田氏は、「売上は、Google Playからのほうが多い」と明かした。

 同日すでに発表されていたが、ミクシィは「モンスターストライク」の海外展開を本格化させる方針。10月に北米で、12月には韓国でも提供される予定。すでに5月から台湾で提供しているが、こちらはテスト的な意味合いも強かったようで、日本と同じように口コミで広がった点を想定の範囲内とする一方で、日本ではテレビCMやYouTubeで訴求した「4人同時に遊べる」というポイントが、まだまだ浸透していないとした。

過去2年間で日本の開発者は2.5倍に

 基調講演の後には、ラウンドテーブルの形で記者向けの説明会が開催され、クリス・ヤーガ氏が応じた。ヤーガ氏はGoogleが東京ゲームショウに参加したのは初めてとした上で、「ゲームは根本から変わってきており、これは将来の話ではなく、実際にもう起こっていること。スマートフォンの成長はめざましく、性能が上がり、台数、人数が増え、何十億ものアクティブユーザーがいる。Android端末の中で多くのユーザーがゲームをしており、その話をしたくて、この場にいる」と参加の背景を語った。

クリス・ヤーガ氏

 日本市場について、ヤーガ氏から新たに示されたのは、Google Playに参加している日本の開発者の数。過去2年間で日本の開発者の数は2.5倍に増えたとし、要因として、大きな市場規模が持つ魅力に気付き始めたからとした。また、モバイル用のゲームアプリを開発することに対し、参入障壁が低いとも指摘し、小さく若い企業でもグローバル展開を簡単にできることがポイントとした。

 また、アプリ開発者の収益性について、登録する開発者がどんどん増えているという事実が「きちんとビジネスができることを示している」ともした。

 腕時計型のデバイスに向けたAndroid Wearについて、日本で人気の「妖怪ウォッチ」などを例に、モバイルゲームで利用できないのか? と問われると、ヤーガ氏は「素晴らしいアイデアだね」と笑いつつ、Android Wearは「スマートフォンなどと補完的に使うコンパニオンデバイス」とした上で、「ゲーム内のイベントを、ゲームをプレイしていない時にも通知するといった使い方はできるのではないか」とした。

「Android TV」試作機のデモ

 現在開発中で2014年中に各メーカーから対応製品が登場する見込みというプラットフォーム「Android TV」については、AndroidとGoogle Playで実現する、マルチデバイス戦略の一環と位置付ける。一方で、Chromecastなどとは異なり、単体でAndroidの機能を存分に提供できる点がポイントになっている。

 ラウンドテーブルの後には「Android TV」の試作機に触れることもできた。試作機は小型のセットトプボックスで、用意されていたテレビは一般的な液晶テレビ。セットトップボックスには電源、LANケーブル、テレビと接続するHDMIケーブルが装着されていた。試作機ではまた、ゲームを快適にプレイできるよう、Bluetooth接続のコントローラーも用意されていた。

 テレビに表示される「Android TV」は、動画サービスやアプリ、ダウンロードしたゲームなどのメニューがホーム画面に並び、縦・横に選択していくシンプルな形。Chromecastなどと異なるのは、試作機の中にスマートフォン並みの処理性能を備えている点で、ゲームアプリもサクサクとプレイできる。

 現在、Google自身が「Android TV」のハードウェアを販売するとはアナウンスされておらず、実際にはパソコン周辺機器メーカーや家電メーカーといった各社から発売される見込み。セットトップボックス型なのか、テレビに内蔵するのかといった「Android TV」の実装方法についても、開発する各社に委ねられる。コントローラー(リモコン)についても同様に、対応はメーカー次第となる見込み。

 ソフトウェア面でも、例えば「Android TV」のホーム画面で、テレビの地上波のチャンネルが、アプリなどと同じように選択できるようになるかは、現時点では不明。もっとも、Google側は「Android TV」上でシームレスにテレビのチャンネルを扱えるよう、開発を支援していく体制は準備しているようだ。

Android TVのホーム画面
「YouTube」を選択したところ
インストールされていたゲームアプリを起動
「Google Play」にも対応
試作のセットトップボックス。現在、販売予定はないとのこと
セットトップボックスの後ろ側。右から電源、LAN、USB、HDMI
セットトップボックスの底面。ステータスを示すLEDランプが床に投影されるようになっている
試作のセットトップボックスとともに開発されたBluetoothコントローラー。こちらも販売予定はないとのこと
Android TVの起動中の画面

おまけ:段ボール製VRヘッドセット「CardBoard」(非売品)

(太田 亮三)