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auがiPhone 6/6 Plus発売、“全部入り”と“速さ”をアピール

 9月19日の朝8時を迎え、日本全国で一斉にiPhone 6/6 Plusが発売された。東京・原宿にあるKDDIデザイニングスタジオでは、購入するために並んだユーザーを含めて、KDDIによる発売記念イベントが開催された。KDDI代表取締役社長の田中孝司氏をはじめ、ゲストとして松岡修造、福士蒼汰、でんぱ組.incが登場。さらに大阪の発売記念イベントの会場からは、中継映像で杉咲花もコメントを寄せた。

発売の瞬間
全部入りをアピール
イベントのステージ登壇者

田中社長、発売イベント前にApple Watchの感想を語る

 イベント開始前にふらっとステージ上に表れた田中社長は、9月9日(現地時間)に開催されたAppleの発表イベントを訪れた際の感想を語り始め、「(アップルの発表会は)いつも小さいホールだが、大きなホールで、今回は相当気合が入っている」と現場の雰囲気を語る。

 端末と一緒に発表されたApple Watchは、自称“ガジェッター”として気になったということで、「自分で付けてみて、デザイン的にけっこういいと感じた。タッチアンドトライでも見たが、ソフトウェアが非常によくできている。これはいけるな、という印象」と感想を語った。「(日本を含め)いつ発売されるのか、ということですが、ティム・クックに聞いてみたが、1月? 2月? 3月? と順番に聞いても笑ったままで答えてくれなかった」とのこと。「全く情報は持っていないが、ぼくの印象では」と前置きした上で、「年明け、それなりの時期にでるんじゃないのかな、という気はしている。我々が売れる(扱える)かどうかは、まだわかりませんという状況」とした。

 田中氏からはここで、ティム・クック氏に書いてもらったサインも披露された。「嫌がるティムさんにお願いして5枚書いてもらったので、原宿以外の直営店にも飾ってもらうかなと思っている」とのことで、名古屋、大阪、福岡などの直営店に飾られる模様だ。

ティム・クック氏のサインを披露する田中社長

競争軸はネットワーク、auのiPhone 6は全部入り

 販売開始20分前になると記念イベントが開始され、「当社のネットワーク、料金をおさらいしたい」と田中社長が簡単なプレゼンテーションを行った。田中氏は3キャリアがiPhone 6/6 Plusを販売することに触れて、「キャリアの競争軸は、やっぱりネットワークではないか」とする。800MHz帯が人口カバー率で99%以上を実現している「広さ」や、「速さ」として、iPhone 6/6 Plusが対応する下り最大150Mbpsにネットワーク側でもサポートすることを紹介。その速さを支える最先端のネットワーク技術として、キャリアアグリゲーション、WiMAX 2+の2つの技術を示し、iPhoneがキャリアアグリゲーションをサポートするとAppleが発表会で言及したことにも触れた。

 料金についても触れ、新料金プランの「カケホとデジラ」に加えて、旧プランもiPhone 6で契約できることをアピール。機種変更では、「充実の下取りプログラム」として紹介し、MNPだけでなく、既存のユーザーにも買い替えを促した。

 「今年のキーワードは“全部入り”。我々のiPhone 6/6 Plusはキャリアアグリゲーション、WiMAX 2+、両方入っている」などとして、料金面を含めてまとめた田中氏は、「ほぼ完璧」と自信を見せた。

さまざまな表現手段で“速さ”をアピール

 販売開始時刻が近づくと、松岡修造、福士蒼汰がステージに登場。でんぱ組.incの6人も「au特命宣伝部長」として登場し、ステージは一気に華やかになった。さらに、「au OSAKA」の発売記念イベント会場からは杉咲花が中継で登場し、「緊張していますが、iPhone 6はすごく楽しみだったので、盛り上げられたらいいな」とイベントに臨む様子を語った。

販売開始前の様子

 発売時間が近づくと、店舗に並んでいたユーザーの中から15名がステージに登場。カウントダウン後、紙吹雪が舞う販売開始の瞬間を迎えると、さっそく1番目のユーザーに「iPhone 6」が、2番目のユーザーには「iPhone 6 Plus」が田中社長から手渡された。ステージに登壇した15名のユーザーにはauのロゴと「iPhone 6」のロゴがプリントされたTシャツがあらかじめ配られており、全員同じ黒のTシャツを着用して登壇。先の2名には松岡修造、福士蒼汰、でんぱ組.incの相沢梨紗の3名が、Tシャツにサインを書き込んだ。

 発売後は、ステージ上のゲストにもiPhone 6/6 Plusが手渡され、感想が語られた。iPhone 6 Plusを手にした福士蒼汰は、画面の大きさや使いやすさ、見やすさ、横向きの表示に対応したこと、持ちやすさなどが気に入っている様子。松岡修造は「驚き以上に、触ってみたら、感動がある」と触れてみた様子を語るが、「この驚きをどう感じますか?」といきなり福士蒼汰に無茶ぶり。福士蒼汰は「驚き、2+(ツープラス)です」と無茶ぶりに応えてさらに周囲を驚かせる一幕も。

iPhoneの感想を語った

 でんぱ組には、ネットワークの速さをボディランゲージで表現して欲しい、とここでも無茶ぶりが繰り出された。松岡修造から「キャリアアグリゲーションできるの?」と問われ、メンバーで一番俊敏な動きをするという成瀬瑛美が、(文字では表現が難しい)“動き”を披露。松岡修造は「しっかり表現できた。速さがすばらしい!」と熱く評価していたが、今度は逆に松岡修造にも“速さ”を披露してほしいという流れに。ここでテニスラケットを持ちだした松岡は「実はさ、テニスやってたんだよ。(杉咲)花さんは知らなかったけど」と自身を紹介し、テニスの錦織圭選手を「僕の師匠」として、フォームをフォアハンド、バックハンドの両方で披露。福士蒼汰は「auの発表会でテニスのフォームの解説が聞けるなんて」と驚いた様子を語っていた。ステージではまた、絵を早く描けるというでんぱ組の夢眠ねむが即席のイラストも披露した。

 田中社長は「キャリアアグリゲーション、WiMAX 2+、全部入りということで、よろしくお願いします」とまとめ、イベントは終了した。

3社間の競争激化「対抗策は出す」「意識はしていない」

田中社長

 イベント後には田中社長が囲み取材に応じた。スマートフォン市場の盛り上がりについて、予約状況では「昨年度とくらべると、大幅なアップで、けっこういくんじゃないのかな、という印象」とした。ネットワーク、料金などの差別化軸は「全部入りで、自信を持っている。料金競争は、他社がいろいろ施策を打たれるのであれば、それ相応に対抗していこうかなと思うが、一番の差別化ポイント(ネットワーク)をしっかりと訴求していきたい」とした。

 両モデルの予約状況については、「iPhone 6」のほうが多いとして、「iPhone 6 Plus」のおよそ2倍程度になっているとした。在庫状況については、「iPhone 6 Plusのほうが厳しいかな、という状況で、iPhone 6のほうは、まだ購入できる確率が高い」としている。

 ネットワークの実効速度を問われると、「場所によって大きく違うが、出るところは60Mbpsとかは出る。もっとすごいところもある」などとした。

 ドコモがクワッドバンドLTEで60MHz幅をアピールした点について、「うちも同じぐらい? あまり意識していない」と、取り合っていない様子。

 下取りとその競争が、キャッシュバックが形を変えたものではないか、との指摘には、「既存ユーザーが早く機種変更できるように、というものでスタートした。ドコモは(他社のユーザーを狙った)MNPから(下取りを)スタートした。他社がやるなら、競争環境というのは追いついていかないといけないので、対抗策を出した。基本的には、我々の既存ユーザーに早く機種変更していただきたいというもの」と基本的なスタンスを説明した。

 しかし、最終的に3社が横並びの価格帯や下取り額となる中で、ドコモ、ソフトバンクのどちらを脅威に感じるか、という問いには、「あまり他社は意識していない」と矛盾したような回答。「まずネットワークを見ていただきたい、というのが私達の思い」と説明した。

KDDIデザイニングスタジオでのiPhone 6/6 Plusの展示
各モデルの比較
iPhone 6
iPhone 6の価格
iPhone 6 Plus
iPhone 6 Plusの価格
発売前に並んだユーザーは「iPhone 6」と書かれた黒いTシャツを着用
ユーザーや報道陣に配られたクリームパンとあんパン
パンにこめられた思い
発売イベント後には号外風のチラシを配布

太田 亮三