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「GALAXY Note Edge」をふんだんに紹介した「GALAXY WORLD TOUR」

グループインタビューでは担当者が開発背景も語る

 サムスン電子は、「GALAXY Note Edge」を国内で披露するプレスイベント「GALAXY WORLD TOUR 2014 TOKYO」を都内で開催した。同イベントはドイツで9月に開催された「IFA 2014」に合わせて発表された新モデルを、各国で披露するワールドツアーで、東京での開催は、日本市場に投入する「GALAXY Note Edge」を中心に、その魅力や機能が解説された。

 サムスンは「IFA 2014」の開催にあわせて、9月にグローバルで「GALAXY Note 4」「GALAXY Note Edge」の2つを“Note”カテゴリーの新モデルとして発表した。このうち日本市場には「GALAXY Note Edge」が投入されると発表されており、同時に「GALAXY Note Edge」が世界で最も速く投入される地域となっている。「GALAXY Note Edge」は、先端的な市場に限定して投入されるという。

 「GALAXY WORLD TOUR 2014 TOKYO」の冒頭に挨拶で登壇したサムスン電子ジャパン 営業チームの阿部崇氏は、「日本市場は世界で最も洗練された、重要な市場。モバイルのトレンドセッターでもあり、日本市場でのヒットは、世界への足がかりになる。これが、エッジスクリーンを搭載した『GALAXY Note Edge』を世界で初めて発売する理由」と、世界に先駆けて日本市場に投入する背景を語った。阿部氏は、革新的な製品であること、洗練されたデザインである旨を語り、「GALAXY Note Edge」の提供に全力を注いでいくとした。

「GALAXY Note Edge」の各機能を紹介

 発表会ではこの後、サムスン電子ジャパン プロダクトチームの大越一博氏から、プレゼンテーションや動画、デモンストレーションを交えて、さまざまな角度から「GALAXY Note Edge」の魅力、機能、性能が語られた。GALAXY Noteシリーズを踏襲した外観デザイン、メタルフレーム、背面パネル、曲面ガラスなど外観やボディの特徴が語られた後は、約5.6インチのスーパーAMOLEDを使用した2560×(1440+160)ドットというディスプレイが紹介され、「エッジスクリーン」として追加された右端の曲面部分が大きく取りあげられた。

 「エッジスクリーン」は、表示するアイコンやショートカットをカスタマイズでき、動画やカメラなどアプリによっては操作ボタンをエッジスクリーンに集約して表示が可能。着信があると、エッジスクリーンだけに通知を表示して、メインの画面を覆い隠さないなど、使い勝手にも配慮されている。定規などを表示するクイックツールなども用意されている。

 マルチウィンドウも従来のGALAXY Noteシリーズより進化し、ウィンドウサイズの変更や、アイコン化していつでも呼び出せるようになっている。

 GALAXY Noteシリーズに共通の特徴であるスタイラスペン「Sペン」は、ディスプレイとペンの両方のデバイスの進化により、圧力の感度は「GALAXY Note 3」と比較して2倍に向上。傾き、回転も検知でき、毛筆モードも精巧に再現できる。

 「Sペン」はパソコンのマウスのようにも使え、ペン本体のボタンを押す操作で範囲指定や「スマート選択」を呼び出せる。スマート選択では、選択した範囲を画像として切り出すことができ、メールやメッセージサービスなどに簡単に添付・投稿できる。

 カメラはインカメラの強化に注力し、F1.9の明るいレンズに約370万画素のセンサーを搭載。角度は90度で、パノラマ撮影のように左右に向きをかえて撮影する「ワイド自撮り」モードでは120度までの範囲を収められる。

 サウンド面でも強化しており、録音については、3つのマイクを搭載。3つのマイクにより、会議モードで最大8方向を判別できるようになっており、再生時に特定の方向の音声だけ聞くといった利用もできる。

 サウンドの再生については、ハイレゾオーディオの再生に対応。さらに、CDの音源(16bit/44.1kHz)をハイレゾ相当にリアルタイムに変換して再生する「K2HDプロセッシング」技術が搭載されていることも明らかにされた。

「Gear S」「GALAXY S5 ACTIVE」なども解説

 発表会ではまた、「GALAXY Note Edge」などと同時に発表された腕時計型の端末「Gear S」、ネックレス型のBluetoothヘッドセット「Gear Circle」、「GALAXY S5 ACTIVE」、ドコモおよびauから販売されるLTE対応版「GALAXY Tab S」の2機種についても、それぞれ紹介された。

 「Gear S」はウェアラブルデバイスとして市場をリードする製品と位置付けられた上で、曲面のスーパーAMOLED、心拍計測機能、文字盤のデザインを変更できるといったポイントが紹介された。最大の特徴は単体で3G通信機能を備えている点で、メールや電話の確認、画面に表示されるキーボードによる自由な文章での返信が可能と紹介され、運動などなら「スマートフォンを持ち歩く必要がなくなった」とアピール。これまでGearシリーズ向けにアプリが提供されてきたことから、Gear Sではすでに1000以上のアプリが利用できことも紹介された。

 「Gear Circle」はネックレス型のBluetoothヘッドセットで、イヤホンのドライバーユニット部分が磁石でくっついて、ネックレスのような形になるのが特徴。首にあたる部分には通信ユニットが搭載されており、バイブレーションモーターも内蔵。着信などは振動で分かり、磁石を外すとそのまま着信に応答する形。磁石を再びくっつけると終話になる。apt-Xコーデックをサポートするなど、音質にもこだわっている。

 「GALAXY S5 ACTIVE」はMILスペックとして18の項目に準拠したことが紹介され、ステージ上で腰あたりの高さから床に落下させるデモも。タッチアンドトライの会場でも1.5mの高さから落下させ、問題なく動作する様子が披露されていた。

サムスン担当者が語る「GALAXY Note Edge」の開発背景とは

 「GALAXY WORLD TOUR 2014 TOKYO」の後には、グループインタビューの形で、サムスン電子ジャパンの糸櫻幹雄氏を中心に、「GALAXY Note Edge」について質問する機会が得られた。

サムスン電子ジャパンの糸櫻幹雄氏

 「GALAXY Note Edge」のコンセプトについては、ペンを中心としたアナログの使い勝手とデジタルの利便性を融合させるというNoteシリーズの延長線上にあるが、紙のノートや本などにインデックスとして付箋を貼り付ける使い方にインスパイアされたとのことで、Noteシリーズでありながら、新しい領域を提案する端末であると位置付けられている。

 強化されたマルチウィンドウの使い方や、クリップボードの扱い方について、本来であればOSが提供するような領域の使い勝手にも踏み込むことで、かえって機種ごとに使い勝手に差が生まれているのではという懸念を向けられたが、サムスンとしてはまず、ユーザーが使いやすいものを搭載し提供することが第一で、OSの領域なので手を付けないということはしないという。使い勝手を進化させていくことは「ネガティブなことではない」とし、今回の具体的な進化ポイントも、Noteシリーズを提供した各国のフィードバックを得て開発されたもので、盲目的に共通化や踏襲するのではなく、あくまで進化の道を探るというスタンスになっている。

 従来のNoteシリーズのユーザーの声で、具体的に「GALAXY Note Edge」に反映された部分を聞かれると、大画面化や「Sペン」の使い勝手の進化が挙げられた。スマートフォンは機能面で平準化が進んでおり、手にするデバイスに差別化を求めるユーザーに、Sペンの使い勝手と進化したマルチタスクが魅力になるとしている。また、エッジスクリーンとその使い勝手で新たな価値を提供できることも、今のユーザーが望む差別化のひとつではないかとした。

 サイズについては、初代のNoteシリーズを開発する際に悩んだこともあったとした上で、「GALAXY S」シリーズをフラッグシップモデルとして提供している現在、Noteシリーズについては、幅や大きさについては自由度をもたせたラインナップが可能になっているとした。

 日本のサムスン電子から、韓国のサムスン電子本社への要望として送られていたのは、インカメラの強化だという。世界的に「セルフィー」(自撮り)がブームになっていることから、日本からの要望もまとめられてスペックが強化されることになり、撮影後のペンによる編集機能などにも注力された。

 エッジスクリーンの形状は携帯電話やスマートフォンの歴史をみても珍しいものだが、実現にあたってはさまざまな形状が試作され、強度や持ちやすさなどもさまざまな試行錯誤がなされたという。開発者にとって、曲面ディスプレイを見た当初は驚き感動したというが、実際に提供されたら、ユーザーは喜ぶのか? なにを期待するのか? という悩みも大きかったという。

 エッジスクリーンについては、こうしたことから、差別化することと面白くすることという2点に注力され、スワイプを中心とした回転ドアのような操作感や、アイコンの間隔を広めに取って誤操作を防止する配慮、カメラなどでは操作部分をエッジスクリーンに集約する、エッジスクリーンだけ背景を変えられるといった、さまざまな特徴が生まれることになった。

 防水性能は「GALAXY S5」「GALAXY S5 ACTIVE」で実現されているが、「GALAXY Note Edge」などNoteシリーズは対応していない。この点について、現時点では本体のサイズや、モデルのターゲット層を考慮した上で対応を検討していくとした。一方、「GALAXY S5」が防水に対応したことで、発売した世界各地で非常に好評だったとのことで、「本社も、防水に対して以前ほどは(開発のハードルが上がるという意味で)ネガティブには考えていない」という。ただし、「GALAXY Note Edge」については、「防水へのチャレンジよりも、画期的なものを出すのが我々に求められているものではないか」ともした。

会場での展示、「GALAXY Note Edge」

会場での展示、「GALAXY S5 ACTIVE」

会場での展示「GALAXY Tab S」

会場での展示「Gear S」「Gear Circle」

会場での展示、日本未発売の製品

太田 亮三