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グローバルの月間アクティブは1億7000万人、リアルへ飛躍はかるLINE

 LINEは9日、事業戦略説明会を開催し、決済サービスの「LINE Pay」や、楽曲配信サービス「LINE Music」を発表した。目玉の新サービスはあくまで予告に留まり、その詳細は明らかにされなかった一方、今回初めて、グローバルでの月間アクティブユーザー数(MAU)を公開。さらにリアルとの連携を図り、新たに「LIFE Platform」を目指して事業を展開していく方針が示された。

LINEの森川社長

 ユーザー数は8月10日付けで5億人に達し、直近では5億6000万人に達した。その一方で、今回、MAUは1億7105万人であることが、初めて明らかにされた。代表取締役社長の森川亮氏は、店舗などに限定していた「LINE@」が誰でも使えるようになるなど、1人で複数のアカウントを用いる状況になってきたことから、今回、MAUを明らかにした、と説明する。

MAUは1億7000万人
ユーザー数は5億6000万

リアルとエンタメに注力

 以前からプラットフォーム化を志向するLINEでは、これまでスタンプ、ゲームを基軸に、LINE電話、店舗向けアカウントなどが提供されてきた。

 今回は、上級執行役員CSMO(最高戦略・マーケティング責任者)の舛田淳氏が従来からあるゲームやマンガ、そして新たな音楽サービスを含む、エンターテイメント分野について紹介。そして、新たなテーマである“LIFE”でのプラットフォーム化に関しては、決済サービス「LINE Pay」や屋内向け地図アプリの「LINE Maps for Indoor」などがLINE代表取締役COOの出澤剛氏から紹介された。

舛田氏
出澤氏

 ほとんどの分野でLINE単独ではなく、それぞれの分野でのパートナー企業と協力して展開しようとしている。ただ決済サービスのLINE Payは詳細が今後明らかにされるとはいえ、現時点ではLINEが単独で進める事業とされ、囲み取材でも森川社長は「決済サービスはベースとなる機能。これを入れることで、新しいサービス領域である“LIFE Platform”のサービスも便利に使えるようになる」と解説。プラットフォーム化を目指すLINEにとって中核にあたる機能になるようだ。

今冬、LINEのお店が原宿にオープンする予定

止まらないアカウント乗っ取りに

 新サービスへ意欲的なLINEだが、この夏からアカウントの乗っ取りが続いている。PINコードの登録を求めるなど、「7月から本腰を入れた」(森川社長)こともあって、以前よりは減少傾向とされたが、その具体的な数字は、「(警察の)捜査もあって開示できない」(出澤氏)とのこと。ただ、9月下旬にPINコードを義務化したところ、その前週までと比べて、被害件数はかなり減った、という。

韓国政府に見られている?

 一部で韓国政府機関(韓国国情院)がLINEを傍受しているのではないかと報じられた件について、森川氏は、同社内での調査を踏まえて、「そうした事実はないと判断している」とコメントした。

トライアンドエラー、上場については焦らず

 事業の多角化を進めているようにも見えるLINEだが、全ての事業が成功するかどうかわからない、と森川氏は笑う。

 舛田氏も「LINE自体がトライアンドエラーの上で登場したサービス」として、LINE社内にも積極的に試行錯誤に挑む文化がある、と胸を張る。

 そして、噂される株式公開(上場)については報道陣から幾度か質問が挙がり、当面、予定はないことが示唆された。森川氏は、LINE側から時期などをコメントしたことはない、としつつ、まずは安定した成長を目指す方針を紹介。「他社からの出資を受けるつもりはない。安定的に成長するまで(上場を)見送るということ」とした。

関口 聖