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SIMロックは原則解除可能へ、総務省が報告書案を作成

 総務省は、消費者保護の観点から通信サービスの在り方などを検討する研究会の報告書案を作成し、意見募集を開始した。

 同報告書案は、2014年2月から開催されている「ICTサービス安心・安全研究会」や、関連した下部ワーキンググループの検討内容をまとめた報告書の案。7月14日に中間とりまとめ案が公開されており、さらに検討を進めたものとして、10月10日に「ICTサービス安心・安全研究会 報告書」(案)として公表された。意見募集は11月10日まで。総務省は報告書の考え方を踏まえ、関連する法令の改正や制度設計を行っていく。

 同研究会では、通信サービスの苦情や相談件数が依然として増加傾向にあること、その内容が通信サービスの契約解除希望、契約解除料などの内容に集中していることなどから、事業者の自主的な取り組みだけでなく、制度的にも消費者保護を図るものとして、さまざまな見直しが検討されていた。具体的には、契約内容の説明方法やクーリングオフの導入、長期契約の解除方法、苦情・相談処理の体制の強化など。

 この中で、通信サービスの現在の在り方も密接に関わることから、通信サービスの提供方法についても検討されることになった。ここでは、キャッシュバックの在り方やSIMロック解除について、検討が進められた。

 以下では、影響が大きいと考えられるSIMロック解除について先に記述している。

SIMロックは原則解除可能へ

 報告書案では、中間とりまとめ案を踏襲する形でSIMロックについての課題が記された後、以下のように記載された。

 「最近のモバイル通信の技術、サービス、市場環境、海外との交流の増加等の変化を踏まえれば、事業者は、端末に最初からSIMロックをかけないか、仮にSIMロックをかけるとしても、少なくとも一定期間経過後は、利用者の求めに応じ迅速、容易かつ利用者の負担なく解除に応じることが適当である」

 同時に、2010年に策定された「SIMロック解除に関するガイドライン」が、NTTドコモ以外には実質的に無視されている状況を鑑み、実効を確保する形でガイドラインの改正を行う。加えて、端末のアフターサービスの体制を明確にすることなども示されている。

 一方で、大きな仕組みの変更であることから、キャリアの体制整備のために一定の準備期間が必要とし、合わせて、キャリアの予見性を確保するために、総務省から対象端末、解除方法、具体的な運用方針、スケジュールなどを示すことが適当ともされている。

キャッシュバック

 SIMロック解除と同様に、現在のサービスの提供方法を見直す対象となったのが販売奨励金で、最近ではキャッシュバックなどとして提供されてきたもの。

 報告書案では、中間とりまとめ案を踏襲し、キャッシュバックの直接の規制は適当ではないとした上で、SIMロック解除と端末・通信サービスの分離といった競争環境の整備を通じて適正化を促すことが適当とした。キャリアに対しては、販売奨励金の状況について、定期的な報告を求める方針。

 なお、直近では、端末の下取りという形で大幅な割引が提供されている。

“通信サービス”にクーリングオフ導入へ

 同研究会の主題である消費者保護に関連した見直しでは、クーリングオフを規定した特定商取引法が適用されない通信サービスに対し、高度化・複雑化し理解に限界があること、使ってみなければ品質が分からない、といった点があるとし、店舗などの販売形態によらずクーリングオフの導入が適当とした。

 この際、工事が必要な通信サービスは異なる扱いとしているほか、クーリングオフで契約を解除しても、使用した期間のサービス利用料はユーザーに請求できるとしている。

 なお、今回議論されたクーリングオフの導入は通信サービスについてで、店舗における端末の販売とは区別された。店舗における端末の販売は、試用サービスなどが各キャリアで実施される方向とし、通信サービスと合わせる形でのクーリングオフの導入と制度化は見送られている。

 期間拘束型の長期契約の解除料、および自動更新については、更新月にプッシュ型の通知でユーザーに告知すること、無料で契約解除できる更新期間の拡大などが電気通信事業者協会(TCA)から表明されたことを受け、自主的な取り組みの推移を見守ることになった。

(太田 亮三)