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中田英寿監修による “酒飲み”のための日本酒アプリ「Sakenomy」

自分探しの旅でたどり着いたのは、日本文化の素晴らしさ

 蜷川実花監修の“カメラアプリ”や、ゲッターズ飯田監修の“占いアプリ”など、直球勝負でヒットを飛ばしたプロダクトはいくつも存在するが、元サッカー日本代表の中田英寿氏が監修したのは“サッカーアプリ”ではなく“日本酒アプリ”だ。モバイルコンテンツ事業を手がけるエムティーアイは、中田英寿氏と共同で、スマートフォン向け日本酒情報検索アプリ「Sakenomy(サケノミー)」を開発した。

「Sakenomy」アプリのアイコン

 「Sakenomy」は、スマートフォンのカメラで日本酒のラベルをスキャンするだけで、情報を検索したり、飲んだ日本酒を記録したり、ユーザーの好みに合う日本酒をレコメンドしてくれるというアプリ。iOS版が10月20日に、Android版が2015年1月にリリースとなる。利用は無料。

 アプリ内には、選りすぐりの日本酒約1000種類のデータベースが収録されている。日本酒の名前を検索したり、ラベルをスマートフォンのカメラでスキャンすると、味の特徴や蔵元(生産地)、酸度・酵母・原料米・仕込み水などの詳細な情報が閲覧可能。また、“華やか”、“淡麗”、“穏やか”、“濃厚”の4つの指標で評価できる「利き酒マップ」で、味の印象を残せるほか、お気に入り度や、飲んだ日付と場所、アテ(つまみ)の写真なども記録しておける。

アプリ内でカメラを立ち上げてラベルをスキャンすると、データベース内の銘柄を検索できる
収録された銘柄の詳細な情報を閲覧でき、“お気に入り度”などを記録しておける
味の印象を残しておける「利き酒マップ」。ボキャブラ天国の「ボキャブラ・マトリックス」のようなもの、と言えばわかりやすいだろう

 アプリ内に記録された「飲んだ」「飲みたい」「お気に入り」などの情報を分析して、ユーザーごとにおすすめの日本酒を紹介してくれるのも、このアプリの特徴だ。使い込むうちに、それまで知らなかった“好みのお酒”に出会えるかもしれない。今後は、多言語化を進め、収録銘柄を増やすとともに、レコメンドの精度をさらに上げていくとしている。

なぜ日本酒なのか? そして、そのキッカケは?

 プロサッカー界で時代の寵児となった中田氏が、「自分探しの旅に出る」と言って現役選手を引退した時のことは、印象強く残っているだろう。その後、中田氏は世界中を旅して回ることになるが、異国の地で出会った人々との会話において、必ずといっていいほど「日本はどんな国なんだい?」と聞かれたという。旅を続ける中で、「自分は日本人であるにもかかわらず、日本の良さを伝えられない」と気づく。

 世界に目を向けていた中田氏が、旅の舞台を日本に移し、全国各地をまわる中で、日本の伝統文化の素晴らしさに触れる。もともとワインなど、お酒を好んで飲んでいた同氏は地方で出会う日本酒の美味しさ・奥深さに魅了されていく。地方の酒蔵を回りながら、「日本の伝統文化である日本酒を世界の人々に伝えたい」という想いが強くなっていったのだという。世界を知ることが、日本を知るキッカケになったともいえる。

2012年、ロンドンで開催された日本酒イベントの様子

 そうして生まれたアプリ「Sakenomy」は、年内にも英語版をリリースする。2020年の東京オリンピック開催に向け、仏語、中国語などの多言語に対応したものを順次配信する予定なのだという。アプリを通じて世界中の“SAKE飲み”たちに、日本が誇る日本酒の魅力を伝えるという壮大なプロジェクトだ。中田英寿が自分探しの旅でたどり着いた“日本酒文化の発信”というひとつのゴールは、世界に向けたキラーパスとなるだろうか。

川崎 絵美