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フュージョン、音声付LTEで2.1GB/月額1600円の「楽天モバイル」

 フュージョン・コミュニケーションズは、ドコモのLTE網と音声通話に対応し、2.1GBで月額1600円(税抜、以下同)〜で利用できる通信サービス「楽天モバイル」の提供を開始した。「楽天グループとして携帯電話事業に本格参入」と位置付けており、既存キャリアの通信サービスに替わるものとして、安さや簡単に申し込める点などを打ち出していく。

 LTEに対応する音声付きSIMカードは4つのプランが用意される。「ベーシック」は、高速通信に利用できる容量の設定がなく、通信速度は200kbpsで月額1250円。「2.1Gパック」は月間2.1GBで月額1600円、「4Gパック」は月間4GBで月額2150円、「7Gパック」は月間7GBで月額2960円。

 いずれも通信速度は下り最大150Mbpsで、月間の通信容量が超過すると通信速度は200kbpsに制限される。ほかにも「2.1GBパック」では3日間で360MB、「4GBパック」では3日間で400MB、「7GBパック」では3日間で1.2GB以上の通信をすると規制の対象になる。月間の容量超過時は、100MBにつき300円で通信容量を追加できる。

 通話料は30秒につき20円。同社は通話料割引サービス「楽天でんわ」を提供しており、これを利用した場合は30秒につき10円になる。

 月額200円でキャッチホン、月額300円で留守番電話も用意する。最低利用期間は1年間で、期間内の解約には9800円の違約金が発生する。

 MNPの利用は、サービス開始当初は2〜3日かかるが、今後は即日で乗り換えできるようにする。

 1つの契約で提供されるSIMカードは1枚のみ。サイズは標準、micro、nanoの3種類を用意する。

 いずれのプラン、下記の端末購入も、支払いはクレジットカードのみ。

 ASUS JAPANから28日に日本での販売が発表されたSIMロックフリーのスマートフォン「ASUS ZenFone 5」と「楽天モバイル」のセットも用意する。フュージョンが販売する「ZenFone 5」は、ストレージが8GBのMVNO向けモデルとなる。端末単体での販売は予定されていない。

 端末価格は2万6400円で、キャンペーン期間中の一括購入では楽天スーパーポイントを1500ポイント付与する。MNPは11月6日より開始し、24回などの分割払いは今後提供する。端末発売日は、11月8日と案内されている。

 アプリは、Viber、楽天でんわ、楽天gateway、SMARTalkなどをプリインストールする。これらは、利用しない場合にアンインストールすることも可能としている。通信容量の確認や追加ができるアプリもGoogle Playを通じて提供される。

 同社では12月と2015年2月にも、新たな端末をラインナップする計画。

 サービス開始を記念したキャンペーンは11月19日まで実施される。各プランの月額の利用料は初月が無料になるほか、「楽天モバイル」のサービスを新規に契約し「楽天でんわ」に登録すると、楽天スーパーポイントが1000ポイントプレゼントされる。「楽天でんわ」の既存ユーザーも対象。また上記にあるように、端末の一括購入で1500ポイントが付与される。

楽天の三木谷社長が紹介

 29日には都内で記者向けに発表会が開催された。「楽天グループが携帯電話事業に本格参入する」と謳うことから、楽天 代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏が登壇し、サービスの紹介を行った。

楽天 代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏が登壇

 三木谷氏はまず、「2200円」という価格をキーワードとして挙げる。これは、大手3キャリアが提供するプランに対し、「楽天モバイル」を利用した場合の利用料のイメージで、月額1600円の「2.1GBパック」に、「楽天でんわ」で(30秒10円で)月に30分の通話をすると想定したもの。

 料金を「3分の1にしたい」と言う三木谷氏は、このシミュレーションでは節約額が4300円になり、家族4人だと1年間で20万円(4人のグアム旅行)、10年間で200万円(トヨタのアクア)、40年間で800万円(北海道の別荘)という、冗談を交じえながらの例を示し、「家計を助けたい」という背景にある考えを明らかにした。

価格競争力を持たせた4つのプラン、目標は1000万台

 発表された4つのプランは、いずれも、音声通話ができるLTEのSIMカードとして競合他社のプランよりも安いとアピール。ドコモ網に対応することで、NTTドコモの端末についてはSIMロックを解除しなくても利用できることにも触れた。

 端末は、28日にASUS JAPANから日本投入が発表された「ZenFone 5」の8GBモデルが用意される。三木谷氏は「サクサク動く」と軽快に動作するのが特徴とし、12月、2月にも新たな端末を投入する計画であることを明らかにした。追加のメーカーについては現在検討中としており、フュージョンによれば、日本で展開していない海外メーカーを含めて、国内外のメーカーと検討を進めているという。

 三木谷氏は最後に、「販売目標は1000万台」と宣言。楽天グループの会員が約9400万人、楽天カードの会員が約1000万人になっていること、MVNO市場の拡大が見込まれることなどから、「現実的な数字」とした。「(1000万台達成の)目安としては、3〜5年。MNPをいかに簡単にできるようにするかがキーになる」との見方も示しており、MNPの受付については実店舗を利用した展開も検討している。

楽天グループの総力で展開、リアル展開も検討

 報道陣からの質問に答える中で、三木谷氏は、これまで楽天グループが提供してきた通信サービスとの違いを聞かれると、「3大キャリアの代替サービスとして、グループで総力をあげてマーケティングを行っていく。これまでとは戦略的に大きな違いがある」と説明。大々的に展開していく方針を示した。

 通話サービスの将来性については、ViberやLINE電話のようなメッセージアプリ系に移行していくとの見方を示し、注力していく方針。現在はいわゆるMVNEを介してドコモ回線をユーザーに提供する形だが、「ボリュームが出てくれば、直接ドコモとやりとりすることもある。そのほうが番号の書き換え(MNP)などで、ユーザーの利便性も高まる」とした。

 AmazonのKindle Fireシリーズのようなオリジナルの端末を開発・販売する可能性について聞かれると、三木谷氏は「ないですね」と即答。Amazonの端末は「そんなにうまくいっていない」と切り捨て、「餅は餅屋だと思っている」とした上で、「今後、販売台数が増えてくれば、メーカーさんにある程度カスタマイズしてもらうことは可能かと思う」とした。

 1000万台の目標に向けてリアル店舗の展開を聞かれると、「販売はネットでもいいが、重要なのは書き換え(MNP)。これについては時間がかかることもあり、どうしてもリアルの店舗が必要だと思う。需要が非常に大きい場合は、リアルで展開をしていくことはある。家電量販店との連携、自社で展開の、両方を検討していく。渋谷の楽天カフェは使おうと思っている。ただ、1店舗しかないので(笑)」。

「これからはMVNOがメインというシナリオも考えられる」

 “本格参入”のタイミングについては、「ずっと携帯の料金は高いと思っていた。なんとかできないかなと思っていた。もうひとつは、SIMロックフリーという大きな方向性を、国として出したのも、大きな要因のひとつ」と説明する。

 同時に提供する「ZenFone 5」については「サクサク動く。iPhone以外は(プリインストールアプリなどで)メモリをたくさん使うなどの問題があった。今回はアプリは4つしか入っていない。使わない人はアンインストールできる。極めて軽快で、サクサク動くという印象。自分が今使っているGALAXYとiPhoneをリプレースしても、むしろ快適になるのではというぐらい」と太鼓判を押している。

 アプリ取り放題などの大手キャリアならではのサービスが無い点などをもって、ターゲットとするユーザー層を聞かれると、アプリの購入は「人による」とし、「今、基本的に無料のアプリがたくさん出てきている。一部そういう人はいるかもしれないが、少数だと思う」とした。

 その上で、サービスのターゲット層については「層を絞らず、全方位外交で行く。楽天市場の会員、楽天グループの会員9400万人に向けて、楽天カードのように、全面的に営業を行っていく。非常に低料金なので、スマートフォンへのスイッチに躊躇していた中高年層もターゲットで、料金に敏感な若年層もターゲットになってくると思う。2台持ちも出てくると思う。フランスではMVNOがかなり契約数を伸ばしている。今までは補完的なのがMVNOだったが、これからはMVNOがメインというシナリオも考えられるのではないか」とした。

(太田 亮三)