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Mozilla、Firefox OS端末を使ったハッカソンイベントを開催

 11月22日〜24日の3日間、Mozilla Japanが主催するMozilla Factoryは、KDDIが開発しているFirefox OS端末や開発ツールを利用した学生向けワークショップ「コモジラ研究所」を開催した。

 Firefox OSは、開発者向けとしてFirefox OSを搭載する端末がすでに発売されているほか、KDDIが一般ユーザー向けに年内に発売するとアナウンスしている。本稿では、Firefox OSの特徴であるオープンな開発環境とモノ作りを組み合わせたユニークなイベント「コモジラ研究所」の模様をレポートする。

 Mozilla Factoryは「オープンなモノ作り」を実践できる場を学生などに提供する取り組みで、「コモジラ研究所」はそのMozilla Factoryのプロジェクトのひとつ。今回のワークショップは小学生から大学生までの学生を対象としたハッカソンの形で、3連休の昼間を集中的に使い、アイデア出しから実物の製作までを行った。

 今回のハッカソンは、KDDIが開発しているドングル型端末「Open Web Board」と開発ツール「Gluin」を利用するのがテーマとなっており、KDDIからOpen Web BoardとGluinが提供されている。

 KDDIはかねてより、Firefox OS搭載端末を年内に発売するアナウンスしており、年内に発表があることも示唆されている。なお、Open Web Boardについては、現時点では製品化の予定はないという。

Open Web Board。手作り感あふれるアクリルケースに入っている

 「Open Web Board」はFirefox OS 1.4を搭載するデバイスで、HDMIやUSBホスト機能を備え、テレビやマウス、キーボード、USBカメラなどを接続できる。プロセッサーにはRK3066(Cortex-A9のデュアルコア、1.2GHz)、メモリは1GB、ストレージは8GBと、スマートフォン並のスペックで、無線LANとBluetoothをサポートしている。

Open Web Boardには国内技適認証も確認できる
バッテリーは搭載せず、microUSBで給電する
Gluinの画面。アカウントがないと利用できない

 「Gluin」はクラウド型のアプリケーション開発ツール。インターネット上のサーバーで運用するもので、連携するデバイスとはWebSocketでデータをやりとりする。プログラミング作業はWebブラウザから行い、コードを書くことなく、グラフィカルなインターフェイスでアルゴリズムをデザインできるのが特徴。

Arduino Uno(右)。XBeeという無線通信モジュールで拡張されている

 Open Web BoardとGluinに加え、電子工作で幅広く使われているマイコンボード「Arduino」も利用する。センサーやスイッチ、LEDなどはArduinoに接続され、ArduinoとOpen Web BoardはWi-Fiもしくは有線で通信し、Open Web BoardがGluinに接続する構成となっている。

 このように既存のコンポーネントを活用することで、開発を簡略化している。一方でArduino以外にもBluetooth搭載のマイコンボードなどを接続したり、Webとも連携しやすいなど、拡張しやすい構成にもなっている。

 今回のコモジラ研究所では、参加者全員にOpen Web BoardとArduinoが与えられ、持参したパソコンを使って製作を行った。ただし作業の都合上、製作にはOpen Web Boardを使わず、パソコン上のFirefox OSシミュレーターが主に利用された。Firefox OSシミュレーターはFirefoxのアドオンになっており、こちらは誰でも利用できる。なお、Open Web Boardはイベント後、参加者に無償で譲渡された。

Firefox OSシミュレーターはWindows/Macを問わず利用できる。「B2G」はFirefox OSのプロジェクト名
Arduinoへのプログラム書き込みなどもパソコンから行う

 開催スケジュールは、1日目と2日目の昼過ぎまで、ガイダンスと開発環境の構築が行われ、午後からアイデア出しと作業が行われた。作業は夜に終了し、参加者は会場では徹夜で作業はできない(自宅で行う分には自由)。参加者は22日と23日のいずれかもしくは両日参加でき、3日目は午後から作業、夕方に製作物の発表が行われた。

会場スペース。奥のスペースはMozilla Japanのオフィスの一部

 会場は都内のMozilla Japanのオフィス1階にあるスペース。Mozilla Japanでは同スペースで今回のようなモノ作りイベントを不定期に開催しているほか、イベントがない土曜日は同スペースを開放している。あまり大きな工作機器は用意されていないが、3Dプリンターが設置されているほか、基本的な工具、電子部品などが用意されている。

 作業は、各自が持ち込んだパソコンでプログラムの微調整などを行いつつ、ブレッドボード(電子工作の試作台)に必要な配線をしていく。電子部品は、抵抗器などに加えて各種のスイッチ、圧力センサー、光センサー、距離センサー、曲げセンサー、各種のLEDなどが提供された。

部品置き場。そこかしこに電子工作でおなじみの秋月電商や千石電商の袋が転がっている
半田ごてにはFirefox OSのシールが

 これらの材料や工具を元にアイデア出しと製作が行われるが、各自が材料や部品を持ち込んだりすることも可能で、たとえばマイクロソフトのモーションセンサー「Kinect」を使う参加者もいた。

 参加者は小学生から大学生までと世代やスキルにも幅があり、参加者は自身のスキルに合わせた課題に取り組んでいた。たとえばWeb技術に慣れている参加者は、光センサーの情報をリアルタイムでWebブラウザに送り続けるシステムを構築していた。また、前述のKinectを利用していた参加者は小学生と、若い世代でも高いスキルを持っている参加者も見られ、世代を問わず、お互いにアドバイスを出し合って作業を進めていた。

会場の風景。参加者、メンター(相談役スタッフ)が混じって作業をする
製作風景。Macを持ち込む参加者が多かった
アイデア出し風景。コモジラ研究所のメンターが相談にも乗る
Kinectをシステムに組み込んでいる小学生の参加者
Kinectで人間の動きを検知し、左手を前に出すとArduinoに信号を送る作品
赤外線リモコンの信号を学習し、プレゼン用プロジェクタをコントロールする作品
卓上の光センサーが測定した1秒ごとの明るさデータをスマホのブラウザにグリグリ表示する作品
植木鉢の乾燥状態を検出する作品。コーヒーを育てたいのだという
ゴミ箱にゴミが投げ入れられたことを検知し音を鳴らす作品。距離センサーとスイッチを併用している
人が通ると距離センサーで検知してビー玉を転がす作品。参加者中、小学生2名と大学生1名が接近する親を検出するシステムを構築していた

 Mozilla Japanでは今後も同様のハッカソンイベントを継続して開催していく方針。今回の成果物を見ると、IoTを強く意識した製品やサービスの登場に期待が膨らむ。今後はKDDIからFirefox OS搭載端末が発売されることもあり、こうした流れは一層加速しそうだ。

(白根 雅彦)