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cheero、13400mAhのモバイルバッテリー「Power Plus 3」

当初は2780円、中身は“三洋”の系譜を継ぐ

 cheeroは、容量が13400mAhのモバイルバッテリー「Power Plus 3」を12月6日10時に発売する。Amazon.co.jpを通じて販売され、当初の価格は2780円(税、送料込み)。

 「Power Plus 3」は、13400mAhという大容量のモバイルバッテリー。2013年にリリースした先代の「Power Plus 2」と比べ、容量は3000mAh増えつつ、重さは20%軽くなり、245gとなった。大きさは92×80×23mm。充電用(出力)のUSBポートは、2.4Aと1Aの2つ。また2A出力のACアダプタに繋ぐと8時間で充電できる。価格は3500円前後になる見込みだが、当初は2780円。この価格で1万台以上は提供されるという。

 1日に開催された説明会で登壇した、cheero事業部長の東潤氏は、「Power Plus 3」の特徴を“安全性”と“軽さ”が新製品のコンセプトと紹介。その2つの要素を実現したのは、市場を牽引した、あのメーカーの系譜を継ぐ工場、そこで生産される高品質なリチウムイオン電池だ。

ネット販売で拡大

cheero事業部長の東氏

 「ダンボーバッテリー」などで人気を得ているcheeroは、もともと立体駐車場などに使われる部品を扱う在阪企業、ティーアールエー(TRA)のcheero事業部によるものだ。モバイル関連とはまったく無縁だった同社がモバイルバッテリー事業に進出したのは、iPhoneユーザーとしてバッテリーの持ちに悩んでいた東潤氏のアイデアがきっかけ。父親でTRA社長の東享氏が事業に乗り出すと、当時、市場にはモバイルバッテリーは既に登場していたが、8000〜9000円という相場だった。値頃感を追求するため、中国で生産しつつ、販路をAmazon.co.jpを中心にしてコストダウンをはかり、2012年、2000円台前半で製品をリリースする。その後、cheero事業部に東潤氏がジョイン。価格面で訴求しつつ、機械メーカーとしてのノウハウも活かしてバッテリー検査機器を開発し、生産を行う中国・深センには検査チームを定期的に派遣した。品質も追求したことが効を奏して、徐々に人気を得ていった。今では不良率は0.3%とのことで「大手メーカーには敵わないが、(0.3%という数値は)かなり良いのではないか」(東氏)と胸を張る。

 そうした中で2014年にリリースした「ダンボーバッテリー」は初期ロット2万台が11時間で売り切れた。東氏は「こんなに売れるとは思っていなかった。11時間で売り切れたものの、(その後も売れるかどうかわからないため)どれだけ作っていいかわからず、在庫になったらどうしよう、などと当時言っていた」と笑う。

 Amazonに商流を絞ることのメリットとして、物流コスト、返品対応など一部のカスタマー対応までAmazon側で対応し、販売元は製品の数量が拡大しても、人員を増やさずに済むのだという。また調査によれば、モバイルバッテリーは、他のスマートフォン周辺アクセサリーと比べて、ネット通販での購入比率が高いという。今では米国や東南アジアなどでも販売され、徐々に広がりを見せている。ちなみに中国や東南アジアでは、「7000mAh」と表記されているバッテリーも、中身は5000mAhしかない、ということがざらにあるそうだ。

パナソニック製の電池、そのルーツは

 もともとは安さを求めて中国で生産してきたものの、人件費も上がり、最近では円安による影響も大きい。もともと薄利多売だったところに原価が上昇している、と率直に語る東氏は、新製品の「Power Plus 3」で安全性と軽さという品質面で差別化を図りつつ、パッケージの簡素化/小型化、Amazonだけでの販売とコストダウンを進めて価格面での訴求力を高めようとしている。

 中でも根幹となる製品コンセプトの「安全性」「軽さ」は、中身となるリチウムイオン電池の性能によって実現した。今回は、パナソニック製でも高品質な電池をチョイス。1本で3350mAh(先代モデルは2600mAh)というリチウムイオン電池を4本搭載した。リチウムイオン電池は、体積と密度を見ると、アルカリ電池5本分に相当する。その材質は取り扱いが難しく、きちんと安全装置が備わっていなければ、発火、爆発の危険もある。

 製品開発時、工場とのやり取りの中で、「さんよう」という言葉が幾度となく出てきた、と東氏。エネループを開発し、リチウムイオン電池市場を牽引してきた、あの三洋のことか、しかし今はもうパナソニックに吸収されたのでは……と調べてみると、今も「SANYO」の名を冠した会社(三洋エナジー)が大阪の貝塚などにあることを東氏は知る。そこで生産された部材が中国へ送られ、過充電、過放電への対応や耐熱など、最終的な安全対策が施され、製品として仕上げられている。高密度なリチウムイオン電池を選んだことで、その容量に比べて軽い、という特徴を打ち出すことにも繋がった。

東氏
「大容量は重い、というのがこれまで。それをちょっとでも軽くしたかった。安全性とコストは比例する。どうやったら1円でも安く提供できるのか。2780円という価格は、期間的にいつまでかわからないが、1万台以上はこれで提供する」

(関口 聖)