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「やんちゃなことをやる」MVNO市場でau網拡大を図る「UQ Mobile」

 KDDIバリューイネイブラーは、11日に都内で記者向けの発表会を開催し、同社が手がける一般ユーザー向けのMVNOサービス「UQ Mobile」を発表した。同時に、パートナー支援事業を開始するとアナウンスし、同社の設立目的や「UQ Mobile」の具体的な内容が解説された。一般ユーザー向けサービスの内容に注目が集まるが、同社は「MVNO市場におけるau網の利用の拡大」を目的としており、事業の主軸はパートナー支援事業になるとの方針を示している。

 KDDIバリューイネイブラーは2014年8月に設立されており、MVNEではなく、auのLTE網を利用するMVNOと説明されていた。「mineo」を提供するケイ・オプティコムと同じ位置付けのMVNOということになり、MNOであるKDDIから、(ケイ・オプティコムなどの)他社と同じ条件で回線の卸提供を受けてサービスを提供する。

 それに加えて、同社は設立時から、MVNOでパートナーの支援事業に注力していく方針を示している。これは、自社ブランドなどで通信サービスを販売したいパートナー企業を支援するという取り組み。ドコモ網で例えるなら、MVNOであるビッグローブやIIJが、イオンに対してサービスを提供し、イオンがイオンのブランドで販売しているような取り組みに相当する。

 一方で、設立からまだ時間が経っていないこともあり、パートナー企業を通じて販売される通信サービスの内容も、当初は、基本的に同社自身が提供する「UQ Mobile」と同じ内容になる見込み。同社は「UQ Mobile サービス基盤」を構築することで、パートナーを通じて提供した通信サービスや販売した端末のサポートなども、KDDIバリューイネイブラー側が担当し、通信サービスを販売したいパートナー企業を支援していく。

ユーザーの低価格志向が増加、通信サービスを売りたい企業を支援

 11日の発表会に登壇したKDDIバリューイネイブラー 代表取締役社長の菱岡弘氏は、スマートフォンの普及や、各年代への浸透、利用の仕方も多様化している状況を示し、「自分の使い方に応じた料金を、ユーザーが求め始めている。そんな中で格安スマホといった低価格志向も増加傾向にある」と市場環境を分析する。

「UQ Mobile」のロゴを発表するKDDIバリューイネイブラー 代表取締役社長の菱岡弘氏

 そうしたMVNO市場の拡大が顕著になっている中で同社は設立されている。菱岡氏は、設立目的について、さまざまな企業において、通信サービスを販売したいというニーズが高まっていることを挙げた上で、NTTドコモのネットワークを利用したMVNOが大半を占める現在の市場環境に対し、「健全な競争を維持する必要性がある」と指摘。「ユーザーに選択してもらう、そういう環境を用意する。それがスマートフォンの拡大にもつながる」と語った。

 菱岡氏はまた、「MVNO=格安」という図式を肯定した上で、「ネットワーク品質やサポート体制にもこだわるMVNOになりたいと考えている」ともした。

 「UQ Mobile」という名称については、KDDIグループであるUQコミュニケーションズの「UQブランド」を使用している。しかし、サービス面、販売面のどちらにおいても、UQコミュニケーションズとの連携は予定されていないという。これはKDDIについても同様で、「UQ Mobile」のサービスは独自に構築する販売網で展開され、auショップなどでは取り扱われない。

 「(KDDIグループにおいては)UQブランドを使った兄弟ブランド。UQコミュニケーションズは長兄で、真面目にネットワークを構築している。UQ Mobileは、やんちゃなことをやる次男坊」(菱岡氏)。“やんちゃ”の具体的な説明はなかったものの、価格競争については、ほかのMVNOをみながら「臨機応変に」(菱岡氏)対応していくとした。

 菱岡氏はネットワーク品質や、安価に設定された料金プラン、端末ラインナップを紹介し、「さまざまなパートナーと連携しながら、スマートフォンの新しい選択肢を提供する」とアピールした。

 MNO(KDDI)から卸提供される帯域とその料金については、MNOの契約数との関係もあり、au網はドコモ網の2倍程度になる。今回発表された「UQ Mobile」が、他のMVNOと比べて遜色のない内容と価格帯になっている理由について、菱岡氏は、コスト削減に取り組んだ結果と説明している。

 パートナー支援型の販売モデルに比重を置いていくという菱岡氏は、同社自身がサービスを提供することについて、「会社をできるだけ早く安定化させ、経営基盤を整えるには、自分たちも販売していかないといけない。(パートナー向けとの)両輪でやっていく」と回答。これまでに語ってきたように、「さまざまな企業から、モバイルビジネスを展開したいという要望があり、それに応えていく。auのネットワークを利用するユーザーを増やしていくのが目的」として、MVNO市場でau網の拡大を図ることが最大の目的であるとした。

囲み取材で質問に答える菱岡氏。KDDIは離れ、KDDIバリューイネイブラーに専念しているという。「骨を埋める覚悟です」と意気込みも聞かれた

(太田 亮三)