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ドコモ、Tata Teleservices株の売却に関し仲裁を申し立て

 NTTドコモは、2014年4月に公表していたTata Teleservices Limited(TTSL)の株式売却に関連し、買い手の仲介を持株会社であるTata Sons Limited(タタ・サンズ)に要求する権利を行使したものの、未履行になっているとして、タタ・サンズを相手としてロンドン国際仲裁裁判所に仲裁申立を行ったと発表した。

 ドコモは2014年4月25日、ドコモが保有するTTSLの全株式を売却するため、株主間協定に基づき、TTSLおよびタタ・サンズに対し、買い手の仲介をタタ・サンズに要求する権利(オプション)を行使した。しかしその後、協議を重ねたものの、タタ・サンズによる義務の履行がなされなかったとして、仲裁を申し立てるに至ったとしている。

 ドコモは2008年にTTSLの普通株式の26%を約1307億ルピー(約2640億円、当時)で取得し、インドの通信事業に参入した。当時のドコモの社長である山田隆持氏は、「長期的なTTSLとインド市場の成長によるリターンを目指す」と方針を明らかにしていた。

 一方、インド事業からの撤退が発表された2014年4月25日には、同日開催された決算会見で、加藤社長が「苦渋の決断」であったことを報告。3Gの進展が遅れたこと、競争の激化でARPUが下がり経営が厳しかったことや、通信行政が汚職などに絡んで混乱し、取得していた周波数帯が取り上げられたこと、周波数オークションの実施や、周波数利用料の高騰などを挙げ、「想定外で、これらが効いていた。当初想定したものではなかった」と振り返っていた。

太田 亮三