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ヘッドマウントデバイスが注目を集めるウェアラブルEXPO

 東京ビッグサイトで1月14日〜16日の3日間、ウェアラブルの技術展示会「ウェアラブルEXPO」が開催されている。今回が第1回目となる展示会で、まだ展示会面積もそれほど広くはないが、多数の来場者が集まり、ウェアラブル技術への注目度の高さを窺わせていた。ここでは展示されていた一般向け製品やユニークな要素技術をピックアップしてご紹介する。

スポーツ向けヘッドマウントデバイス「Recon Jet」

Recon Jet

 ウェアラブル機器やセンサー、3Dディスプレイなどを販売する美貴本は、米Reconが開発中のサングラス一体型ヘッドマウントデバイス「Recon Jet」を実機で展示している。Recon Jetは2013年の夏に発表されたデバイスで、発売は延期が続いていたが、日本での販売代理店を美貴本が担当することが決まり、3月〜4月ごろの発売を予定しているという。日本での価格は決まっていないが、米国での価格は699ドル(約8万2000円)。非常に人気の高い展示となっていた。

 Recon Jetは片眼・非透過のカラーディスプレイを搭載しており、本体もサングラス部に一体化している。Androidベースの「Recon OS」を搭載し、側面の光学式タッチセンサーと下部の決定ボタン、バックボタンで操作をする。Wi-FiとBluetoothでスマートフォンと連携する。主に自転車での利用を想定していて、速度やナビなどを表示させる。

Recon Jetの裏面。メインモジュールをよく見ると日本の技適認証マークが付いている
Recon Jet正面。カメラがついているほか、光学式のカーソルキー(スワイプ操作)も搭載されている

 美貴本のブースでは、同じくReconのスキーヤー向けデバイス「SNOW2」も展示されていた。こちらも同じくRecon OSを搭載しているが、操作デバイスはリストバンド型で本体から分離している。また、「ReconReady」規格に乗っ取った各社のゴーグルに装着する形式になっていて、ブースではオークリーのゴーグルに装着したものが展示されていた。このほかにも美貴本のブースには、美貴本が販売代理店を務めるフィットネスデバイス「FitBit」も展示されていた。

Recon SNOW2。これはオークリーのゴーグルと組み合わせたもの。ゴーグルの中に内蔵できる
美貴本が取り扱うウェアラブルカメラ「Contour」と組み合わせた展示もされていた

M100やV720など幅広いヘッドマウントデバイスを扱うVuzix

M100を使ったNTTドコモのデモ

 Vuzixは同社のヘッドマウントデバイス「M100」を使ったソリューションのデモや同社の製品の展示を行なっていた。M100は一般向け製品ではなく、新しいデバイスでもないが、ほぼAndroidそのままのOSを搭載し、開発環境として使いやすく整備されていることから、さまざまな企業によってソリューションなどの開発ターゲットに用いられている。ブースではNTTドコモによるデモも行われていた。

 NTTドコモではM100だけでなく、さまざまなIoT機器を連携させるための「DeviceConnect WebAPI」を開発しており、それをGitHubにてオープンソースソフトウェアとして公開している。

V720

 このほかにもVuzixのブースでは開発中の「V720」も展示されていた。V720は両眼・非透過型のヘッドマウントディスプレイで、主に映像視聴用のデバイスになっている。まだ数台しか試作機が存在せず、前週にラスベガスで開催された2015 International CESの会場から届いたばかりのプロトタイプが展示されていた。すでに映像表示などは可能だが、表示視野角などは変更される可能性があるとのこと。

国産ヘッドマウントデバイス「InfoLinker」

InfoLinker

 日本の企業ウェストユニティスが手がけるヘッドマウントデバイス「InfoLinker」も展示されていた。これは片眼・透過型の情報端末で、主に業務用途を想定している。メガネにマウントする部分に本体も内蔵されている。InfoLinkerはウェストユニティスのブース以外にも、同デバイスを使ったソリューションなどを開発するブースにも展示されていた。

ブラザーのヘッドマウントディスプレイ「WD-200S」」

WD-200S

 ブラザー工業はヘッドマウントディスプレイの新モデル「WD-200S」を展示している。これはディスプレイ部のみで、別途モバイル端末などとHDMIで接続するもの。ディスプレイは片眼タイプで、主に作業現場でマニュアルを表示するといった用途などを想定している。透過・非透過は選択可能。従来モデルでは800×600ドットだった解像度が、今回のモデルでは1280×720ドットにまで向上した。秋頃の発売を予定している。

フランスのヘッドマウントデバイス「Optinvent」も展示

 フランス製のヘッドマウントデバイス「Optinvent」も展示されていた。これはOptinventのディスプレイ部に旭化成のWGFという偏光フィルムが使われていることから、その採用事例としての展示となっている。

 現在、開発者向けモデル「ORA-1」は片眼・透過型のディスプレイとAndroidベースのOSを搭載し、メガネ部分に本体も一体となっている。ORA-1の価格は949ドル(約11万1000円)。コンシューマ向け製品はヘッドフォン一体型になっており、今年後半に登場予定。

Optinvent ORA-1
Optinventのコンシューマモデル

BIGLOBEの3G内蔵ウェアラブル端末を展示

BIGLOBEのウェアラブル端末

 ビッグローブ(BIGLOBE)は、3G通信機能を搭載したウェアラブル端末を展示している。これは超小型Androidスマートフォンのようなもの。発売時期や価格などは決まっていないが、商品化の際には、同社が提供するMVNOのSIMカードとセットで販売される見込み。Android 4.2と1.3GHzのデュアルコアプロセッサ、512MBのシステムメモリ、1GBのストレージを搭載し、IEEE802.11b/gのWi-FiとBluetooth 4.0 LEに対応、ディスプレイは1.6インチで220×176ドット。マイクとスピーカーを搭載し、防水仕様にもなっており、nanoSIMカードを利用する。

ぷらっとホームのIoT向けマイクロサーバー

OpenBlocks

 ぷらっとホームはIoTなどに利用するマイクロサーバー「OpenBlocks IoT BX1」を展示している。これは3Gの通信機能を内蔵したマイクロサーバーで、Wi-FiやBluetoothで接続する機器のインターネット接続を仲介したり、このデバイス自体が内蔵するサーバー機能を利用したりする。中身にはインテルのEdisonモジュールが使われておりフルパッケージのDebian GNU/Linuxを搭載している。電源は内蔵していないが、オプションケーブルでI2CやSPI、PWM出力可能なGPIOも利用可能。すでに先行開発キットが発売されているが、2月に量産モデルが発売予定。価格は3万円程度の見込み。

ペット向けウェアラブル「Anicall」

Anicallの開発に協力するスタッフのにゃっさん

 日本のスタートアップ企業Anicallは、ペット向けツール「つながるコル」を展示している。これはBluetoothを内蔵したデバイスを使ったもので、スマホアプリ側では近くにデバイスがあるかどうかを判別することができる。たとえばこのデバイスを装着したペットが迷子になったとき、ソーシャルネットワーク上で迷子情報を共有することができ、ほかのユーザーのスマホが対象ペットを検知したかがわかるようになっている。

 つながるコルは3月に3000円程度で発売される予定。5月頃には活動量測定機能などを追加した「しらせるアム」が発売されるとのこと。

 このほかにもAnicallでは畜産業向けのBluetooth端末を使った個体管理システムも開発している。

Anicallの開発に協力するスタッフのアムール。Anicallには複数の開発協力犬猫スタッフがいるという
Anicallのアプリの画面

防水ソリューションも複数の企業が展示

 IT機器向けの防水ソリューションも複数の企業が展示していた。

HZOの展示

 HZOは真空蒸着で樹脂を基板などに塗布し、機器を防水化するソリューションを展示している。この加工を施すと、機器の内部に浸水しても大丈夫になり、ボディにはむしろ水抜き穴があった方が良いくらいになる。コーティングの厚みは数十ミクロンとのことで、重さなどにはとくに影響はないという。同社のソリューションはデバイスメーカーが製造ラインに組み込むようなことを想定しているというが、製造ラインをカスタマイズできない少量生産などの場合は、同社の工場に機器を送って防水加工を施してもらうこともできるとのこと。ブースでは防水加工を施したスマートフォンやタブレットを水没させたデモを行なっていた。

KISCOの展示

 KISCOも真空蒸着でコーティングするソリューション「diX」を展示している。こちらは防水だけでなく、耐薬品性能や手触りの改善などにも利用される。同社のソリューションは基本的に同社の工場内で施すものになるとのこと。すでにさまざまな製品で同社のソリューションは利用されているという。

JawboneはUP3などを展示。発売は少し遅れ中

JawboneのUP3

 JawboneはUP3など同社のアクティビティトラッカー製品のラインナップを展示している。最新のUP3は当初、1月発売予定とされていたが、現在では少し遅れており、2月か3月の発売を予定しているという。

通電・センシング・発電などに広がる機能性布地

 布に導電性やセンサー機能、発電能力を付け加えたものも、各社が展示していた。

 拓殖大学前山研究室とムネカタ、コーンズテクノロジーは共同で、発電性能を持った布地の展示を行なっている。これは高分子タイプの圧電素子を柔らかい素材に吹き付けて作ったもの。圧電素子は圧力が加わると電圧が発生するもので、さまざまな分野で利用されている。通常は高効率な無機結晶が使用されるが、無機結晶だと変形に弱いため、ここでは高分子のものが利用されている。この圧電素子は衣類に組み込まれ、それが曲がるときに発生する力が電圧となっている。トレッドミル上のランナーの体の数カ所に設置した圧電素子により、Bluetoothモジュールで温度情報を送るデモや、手のひらサイズの圧電素子をぶんぶんと軽く振ることでLEDを点灯させるデモが行なわれていた。

発電素子を組み込んだトレーニングウェア
発電素子を振るとLEDが点灯する
帝人の圧電ファブリック

 同じく圧電素子を使ったものとして、帝人は、ポリ乳酸繊維を使った圧電ファブリックを展示している。完全に布地に一体化しており、織り込み方法によって折れやねじれを検出することが可能で、ジャケットに組み込んだ圧電ファブリックにより、ロボットを操作すると言ったデモも行なわれていた。

ヒーター内蔵靴下

 グンゼは伸縮性のある導電性布地などの展示を行なっていた。織り込まれた導電性布地をヒーターとしている靴下も展示されていた。

AmiVoiceの音声認識ウェアラブル端末

WT01

 AmiVoiceブランドの音声認識技術を開発しているアドバンスド・メディアは、音声認識向けのウェアラブル端末「WT01」を展示していた。これはクリップで衣類に取り付けたり、ヘッドセットを装着したりして利用するヘッドセットデバイスで、音声認識向けに耐騒音性能や耐風性能を持たせているという。音声認識自体は接続するスマートフォンやパソコンで行う。主に業務向けの製品で、3月までに開発キットを先行販売する。

将来的に眠気も検知できるようになる心拍センサー

WHS-2

 ユニオンツールは、胸に貼る心拍センサ「WHS-2」を展示している。WHS-2はスマートフォンと連動する心拍センサーで、計測したデータはCSV形式で共有できる。対応アプリ開発に必要な情報はGitHubに公開するなど、ほかの開発者によるアプリとの連携を重視している。一方でユニオンツール自身もアプリを提供しており、現在、眠気を検知し、スマートフォンに通知したり他の人と共有したりできるアプリも開発中とのこと。

ウェアラブルでお年寄りを見守る「ワラッテル」

ワラッテルのデモ

 ネクストはお年寄りを見守るサービス「ワラッテル」を展示している。これは大阪電気通信大学とネクスト、ユカイが共同開発しているもの。ウェアラブル端末で笑い声や会話状態、咳、転倒の有無を記録し、必要に応じて他の人に通知もする。現在、サービス化を検討中という。

(白根 雅彦)