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KDDI第3四半期決算は増収増益、2期連続の2桁成長に自信

 KDDIは、2014年度第3四半期の決算を発表した。2014年4月~12月の累計の営業収益は3兆3519億円で、通期予想に対する進捗率は73%、営業利益は5850億円で進捗率80%、EBITDAは9859億円で77%になった。

 決算発表会ではKDDI 代表取締役社長の田中孝司氏が登壇し説明を行った。営業利益を四半期別にみると、第3四半期は2003億円と2000億円を突破している。増益の要因については、モバイル通信料収入の増加と、au販売手数料の削減が貢献したとしている。

 純増数が第3四半期に大きく伸びたこと、MNP純増数についても、相対的なグラフで第3四半期が大きく伸びたことが示された。販売台数、スマートフォンの割合なども順調に拡大したことが示されている。

 収益や契約数など、ほとんどの切り口で好調な結果になっているが、au通信ARPUのみ、前年同期比で0.2%増に留まり、4250円となった。4250円という数字自体は通期予想と同じ。直前の第2四半期と比べると、データは+10円、音声は-30円という結果。

 田中氏は、「カケホとデジラで、通信容量の少ないプランを選ぶユーザーが多かったので、弱含みになった。多いデータのプランに誘引するような施策はうっている。足元は、それなりにうまくいくと思っている」と説明。また、ユーザーは、自身の利用実態と比較して通信容量が少ないプランを選ぶ傾向があるとし、こうした行動も原因になったとした。

 このほか業績として、auスマートパスの会員数が1205万人になり、会員数は前年同期比で36%増と、順調に推移していることや、その解約率が低いことが説明された。「au WALLET」は1月12日に会員数が900万人を突破、「1000万人が目前。取扱高1兆円を目指す」とした。

 現在および今後の国内のモバイル事業の競争力を高めていく施策については、ネットワーク、端末、料金、サービスの各分野で取り組んでいることが紹介された。特に先日の春モデルの発表会で拡充されることが明らかになったジュニア向け、シニア向けの端末や料金については、スマートフォンの浸透率が小学生や60代などに限るとまだまだ少ないという調査結果を示し、「セグメントごとの対応が必要だ。新たな層を開拓していく」と細分化していく様子を示した。

 田中氏はまとめとして、「MNP純増を中心に、auのモメンタム(勢い)が持続している。モバイル収入と付加価値収入は順調に拡大し、順調な進捗」などとし、中期計画の内容に沿って、営業利益で10%成長を達成できる見通しであるとした。

セット割「そうやすやすとは追いつかれないだろう」

 前日の29日にNTTドコモが「ドコモ光パック」を発表、30日もソフトバンクがNTT東西の光コラボレーションモデルを採用した「SoftBank 光」および「スマート値引き」を発表したこともあり、質疑応答ではこれらへの対抗策が聞かれた。

 KDDIは、NTT東西の光コラボレーションモデルによるドコモのセット割について、「脱法的行為」とするスタンスを崩していないが、説明会のプレゼンテーションでスライドを使って非難するようなことにはなっていない。KDDIは、関連したパブリックコメントで意見を表明していく方針で、総務省に対して提出した要望書の回答を待っている状況ともしている。

 田中氏は、ガイドラインが定まりきらない中で「ドコモ光パック」が発表されている点についても言及し、ユーザーには混乱が起きると予想する。

 KDDIへの影響を聞かれると、「現実的には、それほど大きな影響が、即発生することはないのでは」とする。

 「まだまだ卸(光コラボレーションモデル)に関しては、オペレーションのルールが落ち着いているとは思えない。パブリックコメントの最中で、ガイドラインがフィックスするのに時間もかかる。番号ポータビリティが事業者間でも発生するが、そこも決まっていない。『転用』は1回限りという話だが、ハッキリしていない。当面は業績に大きな影響は出てこないだろう。スマートバリューは想いを持って開始したサービス。そうやすやすとは追いつかれないだろう」などとした。

 田中氏は、auスマートバリューを設計した際の苦労や、「ドコモ光パック」とは割引に至る発想が異なるといたった点も指摘する。固定回線とモバイル回線のセットについて、どちら側に大きな割引を適用するか、という点では、ユーザーへの調査からモバイル側を割り引く内容に決めたという経緯を明らかにし、「家庭内のシェアが上がるように、ひとりひとりに同額の割引を付けていくと決めた。今もって、それなりの競争力がある」と自信を見せる。

 また、光コラボレーションに関連した競争がどのように始まるのか、という点について聞かれると、「転用が1回限りなら、どこが獲得するのかという固定回線中心の戦いがまず起こる。これは(光コラボレーションを利用しないKDDIには)直接大きくは関係ない。その後、モバイルとのセット割りの戦いが、少し遅れて始まるのではないか。auスマートバリューはシンプルで、それなりに割引がある。優位に進められるのではないか」などと分析した。

太田 亮三