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ドコモのLTE-Advancedが3月に登場、その実力は

横須賀ドコモR&Dセンターでデモ

 下り最大225Mbps――ドコモがこの3月に実現させる、「Xi(クロッシィ)」の通信スピードだ。

 ドコモでは、現在主流の通信方式である「LTE」を発展させた「LTE-Advanced」を導入することで、通信速度をさらに向上させる。このLTE-Advancedは、いくつかの技術によって成り立っており、ライバルのauが要素技術の1つ、2つの電波(周波数)をたばねて1つにするキャリアアグリゲーション(CA)を導入済だ。

 他社に先行されたかのように見えた次世代技術において、ドコモはそのCAと、大小の基地局を組み合わせて下り最大225Mbpsを実現させる。そして、将来的には262.5Mbpsへの高速化を見込む。

 この“理論上の数値”が実際にはどの程度の効果があるのか。ドコモでは、3月より提供するLTE-Advancedで導入される新技術を用いて、屋外で下り240Mbpsという通信が成功したと発表。用いた電波が多く商用版よりも高速だが、技術そのものは同じ。今回は、その新技術と、現状のLTEとの違いを横須賀にあるNTTドコモのR&Dセンターでチェックした。

実測で下り最大235Mbpsに

 今回披露されたのは、LTE-Advanced方式で導入される新技術「高度化C-RAN」の屋外デモ。それも3月に実現するスピードよりも多くの電波を使って、理論上、下り最大262.5Mbpsになる環境で、実際にどうなるか紹介された。

 デモでは、住宅を模した場所で、2階のベランダにあたる場所にアンテナを設置。その真下にモバイルルーターを置いておき、通信速度を計測した。その結果、新技術であるLTE-Advanced対応のルーターでは、下り最大で235Mbps、平均でも230Mbps程度となった。ドコモが2月3日に計測した際には240Mbpsを超えたが、報道陣が訪れた今回はあいにくの雨で、モバイルルーター周辺にテントを設置したこと、バルコニーより屋内側へ入った場所にルーターを移動させたことが影響したのか、5Mbpsほど遅い形となった。

高度化C-RANで高速化・安定化を実現

 ドコモが開発した高度化C-RANとは、C-RAN(Centralized-Radio Access Network、中央制御型の無線アクセス技術)を発展させた技術。簡単に言えば、広いエリアをカバーする“マクロセル基地局”のエリア内に、ごく一部だけをカバーする“スモールセル基地局”を設置し、それぞれの基地局を一カ所で集中制御しつつ、それらの基地局から発せられる電波をひとまとめ(キャリアアグリゲーション)にして高速化・安定化を実現する。

 今回のデモンストレーションでは、最高速度だけではなく、移動した場合にどうなるか、という状況も紹介された。具体的には、1つのマクロセルがカバーするエリア内で2つのスモールセルの境目がある場所を、LTE対応モバイルルーターと、LTE-Advanced対応モバイルルーターが通り過ぎるとどうなるか、という内容。LTE-Advanced対応機種は、新技術の高度化C-RANによって、マクロセルに繋がり続けるため安定したスピードを維持したが、LTE対応機種はスモールセルだけに繋がる形となって、基地局の切り換えの際には極端にスピードが落ちて繋がりにくい状態になった。

快適なサービス品質の実現へ、対応スマホは2015年度に

 200Mbpsを超える速度が実現されること、そして安定的な通信が可能なことを今回のデモンストレーションは示してみせた。ユーザーが多い場所、それも実際の街中であれば、電波をシェアするため速度も落ちることになるが、ドコモでは3月、通信が集中するエリアから順次、高度化C-RANによるLTE-Advancedを導入していく。

 導入された場所では通信容量が増えることになり、対応機種を使えば、これまでより快適な通信ができそう。なお、当初の対応機種は2月発売予定の「Wi-Fi STATION HW-02G」、3月発売予定の「Wi-Fi STATION L-01G」の2機種で、どちらもソフト更新なしで最新規格が利用できる。ドコモでは、まだLTE-Advanced対応のスマートフォンを投入していないが、昨年9月の新機種発表会では、2015年度の早い時期に登場する予定と案内されている。

 ドコモでは、東名阪で1.7GHz帯と800MHz帯という組み合わせ、それ以外の地域では1.5GHz帯と2GHz帯という組み合わせで、あわせて30MHz幅を確保して、下り最大225Mbpsを実現させる。今後は700MHz帯のLTEサービスも活用する意向で、さらには昨年12月に割り当てられた3.5GHz帯も2015年度末に運用し、キャリアアグリゲーション用に活用していく。

1つ1つは力業でも……

 高度化C-RANは、キャリアアグリゲーションという技術、そしてエリアの大きさが異なる基地局の混在と集中制御という技術で成り立っている。またLTEのなかでも、新しい部類に入るカテゴリー6という規格を採用して、高速化がはかられた。

 4日、説明を行ったNTTドコモ取締役常務執行役員 R&Dイノベーション本部長の尾上 誠蔵氏は、「それぞれは力業」でありスマートな技術ではなく、複数のアンテナを光ケーブルで1カ所の制御装置に繋ぐという取り組みも2003年から取り組んでいた、として、それぞれ単独では革新的な技術ではない、としつつも、組み合わせることで新たな特徴を打ち出せると紹介する。

ドコモ尾上氏

 高度化C-RAN用の制御装置は最大48の局(セル)を接続可能で、将来的には、セルが追加されたときに、セル間の干渉を抑える仕組みもソフト更新で手軽に追加できるのだという。なお、3月の導入時に1つの制御装置がどれくらいのセルを管理することになるのか、という点は、ドコモならではのノウハウの部分として公開されていない。

 また競合他社が簡単にキャッチアップできるのか? という問いに、尾上氏は「ドコモでは、昔から(光ケーブルで制御装置と繋ぐアンテナの)光張り出しをたくさん展開しており、全体の8割をしめる。そういう経緯があるため、高度化C-RANもどんどんと導入しやすい」とアドバンテージがあり、すぐには追いつかれないと見ている。

 その一方で、「こういった仕組みは世界中に拡がって欲しい、当たり前になって欲しい。韓国や中国では既にこういう仕組みが出てきており、もっと一般的な技術になって欲しいが、これは光ケーブルがある程度、行き渡っている日本や韓国では導入しやすい技術。そうなっていない地域では、“デュアルコネクティビティ”という仕組みが標準化された。これは無線の取り扱いを共通でやらず、そこそこにしておきながら、ビットストリーム(データ通信)で足す、という形。こういうアーキテクチャーが今後増えていくのだろう」と述べる。

 ちなみに、キャリアアグリゲーション対応エリアで通話サービスの「VoLTE」を使うと、より品質のいい電波のほうで通話を行うという。

 下り最大220Mbpsのサービスを導入し、使い放題を掲げるUQコミュニケーションズに関する質問では、「他社の方針にはコメントしがたい」としつつ、「将来的にすごい技術が開発されて、使い放題でも大丈夫と言える世界になればいいが、今のところ、大きな流れは違う方向。(使い放題とうたった場合)お客さんが増えたときにどうするのか」と述べた。

 また尾上氏は2015年度、取り組むのはどういった点か、という問いに「2015年度末に実用化する3.5GHz帯。もう1つがネットワーク仮想化だろう」と回答している。

(関口 聖)