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KDDI社員ボランティアによるタブレット教室、被災地で実施

 KDDIは、東日本大震災の被災地支援の一環として同社の社員ボランティアによる「タブレット体験教室」を仮設住宅や復興住宅の居住者向けに実施している。本誌では、2月21日に開催された仙台市若林区三本塚地域での教室を取材した。

仙台市若林区三本塚地域の集会所で実施されたタブレット体験教室

 この日は筆者が取材した三本塚地域での教室のほか、仙台市内2カ所で同様のタブレット教室が実施されていた。三本塚地域での教室には十数名の参加者があり、そこにマンツーマンでKDDIのスタッフがついて、講師の指導の下でタブレット(iPad)の使い方を説明していった。

 パソコンやスマートフォンとタブレットの違いの解説に始まり、電源の入れ方、タッチ操作などを一つずつ丁寧に説明。参加者のほとんどがタブレット初体験だったが、最終的にはタブレットやその上で動作するアプリの便利さや面白さを実感した様子だった。

 KDDIでは、被災地や被災者支援のためのボランティア活動を行う場合を対象に、年間5日を上限として1日単位で「ボランティア休暇」を取得できる制度を導入。さらに東日本大震災の被災地支援に向かう場合の交通費や備品購入費用の一部を補助する制度も作った。

 今回のタブレット教室に先立ち、同社ではスタッフ向けの事前研修を実施。総務部 CSR・環境推進室長の鈴木裕子氏によれば、これに出席することを条件に今回のボランティアへの参加を認めた。普段からスマートフォンやタブレットに接しているKDDI社員ではあるが、多くは被災者に直に接するのが初めてということもあり、ITのリテラシーだけでなく、被災者とどう向き合うかを研修で説明したという。

 その甲斐もあってか、タブレット教室は終始和やかなムードで進行し、終了後には参加者とスタッフがタブレットを囲んでじっくりとコミュニケーションをとる姿も見られた。

講師として進行役を務めた山形豊氏

 今回、講師として教室の進行役を務めたのは、コーポレート統括本部 総務・人事本部 総務部 CSR・環境推進室 マネージャーの山形豊氏。同氏は以前、簡単ケータイなどの商品企画を担当していたが、それらを販売していく中でシニア向けのケータイ教室を実施するようになり、現在は日々、シニア向けのケータイ教室やスマートフォン教室で講師を担当するようになったという。

 同氏は教室の最後に「阪神淡路大震災の時から災害時にはインターネットが一番早く復旧することが実証されている」とした上で、各通信事業者が無料で提供する「災害用伝言板」や「災害用音声お届けサービス」といったサービスの使い方を紹介。実際に使用する場面で戸惑わないように、事前に試しておくことの重要性を参加者に呼びかけていた。

湯野 康隆