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「VAIO Phone」発表会、キーパーソン囲み取材一問一答

 12日、日本通信とVAIOが「VAIO Phone」を発表した。そのスペックやプレゼンテーションの内容は関連記事でお伝えしつつ、本記事では、会見後に実施された報道陣による、日本通信副社長の福田尚久氏とVAIO執行役員の花里氏への囲み取材の様子をお伝えする。主なやり取りは以下の通り。

花里氏(左)と福田氏(右)

――販売数の目標は?

福田氏
 かなり台数を追いたいと思っている。具体的に言えないが、(両社の協業による成果として)このモデルだけかどうかは別にして、年間で見ると数万ではなく数十万というレベルを狙いたい。

――当初の発表からずいぶん遅れたが。ODMのコントロールが難しかったのか。

福田氏
 設計へのこだわりを含め、いろいろなところをずっとチェックしてきた。その分、良い製品に仕上がった。

――発売日は?

福田氏
 我々としては出荷日を案内できるが、発売日は販売店からの案内になる。

――デザインの監修としてホームアプリなど今後の予定は?

花里氏
 今後は具体的に話せる段階ではない。今回はハードとしてのパッケージ面を監修した。中身はシンプルにした。

福田氏
 オートセットアップ機能というものを搭載している。私どもの「マイページ」という専用のサイト、ポータルがある。そこであることを申し込むと、自動的にアプリをインストールして、自動的にセットアップするという仕掛けがある。それにより、各販売パートナー、ソリューションでのパートナーの方々が、これ(VAIO Phone)を素材としてプラットフォームとして、いろんなアプリとしてプリインストールできる状態にしている。

――ということは、パートナーによってバンドルされるサービスなどが変わるのか。

福田氏
 そうだ。従来の携帯電話で言うと、どこのショップでも同じ製品が同じように用意されている。何十万台規模で生産されている。しかし今や、使い方は1人1人違う。たとえば企業で1000人にあるアプリを一斉にインストールしたい、というニーズがある。あるいは、リテラシーが高ければ自分で必要なアプリをインストールできるが、父親のスマートフォンに私がセットアップする、という仕組みだ。それを提供しやすくすることが重要なコンセプトだ。変な言い方だが「後からプリインストールできる」という仕組み。そこがマスプロダクションとして、全部メーカーとして、あるいは大手キャリアとして、プリセットアプリを用意するという手法ではない。たとえばVAIO Phoneでヘルスケアサービスを提供しようとする事業者もいるのだが、別モデルを開発せずとも、その企業が手がける端末1万台にはアプリを追加できる、という仕組みだ。

――日本通信がやりたいことと、ユーザーが求めるVAIOスマホに対するイメージにズレがあるのでは。

花里氏
 VAIOとしては今、福田氏が語った内容に共感して取り組んでいる。VAIOユーザーが求める、たとえば(2010年にリリースされたコンパクトな)「VAIO P」のようなイメージとわかった上で、最初の協業としてこれが良いのではないか、というのが答え。

――ハードに長けたVAIOが製造を担当して、日本通信が企画を担当する形にしなかったのはなぜか。

花里氏
 VAIOは新しい会社で、通信に関するノウハウなどがさほどない。最初からできるとも思っていない。そこで今回の形がよいと考えた。

――VAIOがデザインを監修し、ライセンス製造するという形か。

福田氏
 いっしょに開発してきた。VAIOが主にデザイン、日本通信が主に製造面という形。たとえば技適マークも日本通信が取得手続きを行った。

――5万1000円という価格で販売するが。

福田氏
 数量で言うと、圧倒的に分割払い、1980円のほうが多いだろう。しかし一括購入への希望も強く用意した。

――5万1000円という価格は、ソニーのXperiaと競合になるのではないか。

花里氏
 この協業の形態で、ソニーと競合になると最初から考えていない。もしそう思っていたら、(VAIOの商標を持つ)ソニーは商標の利用を許諾しないだろう。すみ分けられると思う。VAIOもそうだが、ソニーも意識していないのではないか。

――中身もゼロからVAIOスマホを開発する計画は?

花里氏
 今のところその計画はない。まずはこういう形でしっかりと始めて、IoTの世界を含め、さまざまな可能性を考えたい。

――法人向けにも注力するのか。

福田氏
 法人からのニーズは高い。これまでは、たとえばドコモの契約を変えたいと思っても良い選択肢がなかった。今回の製品はコンシューマーはもちろん法人でも利用してもらえるデザインにした。当初はコンシューマーが多いだろうが、現状のMVNOは法人向けで穴があいている状況だ。

――プレゼンでは、三田社長がプレミアムと述べた一方、福田氏はど真ん中のストライクゾーンとした。ボリュームゾーン向けの機種なのか、上位機種なのか。

福田氏
 花里氏がプレゼンで紹介した「ミニマム」感に集約されると思う。持ちやすさを追求して余分なものはそぎ落とし、必要な機能は備える。トータルコストでも贅肉はない。価格についても、割賦がメインになるだろうから、一括価格を出すことも躊躇した。通信サービスの価格も現在の市場では圧倒的に安い。トータルで見ると、高品質にカバーしている。

――なぜVAIOと組むことにしたのか。

福田氏
 過去4年、話をしていないメーカーはない。メーカーの事業本部長クラスと「やろう」と握手したことは何度もある。しかし最後の最後で、ある力が働いて動かない。それを繰り返してきた。販売網を拡げ、さまざまな事業者がMVNOとして参入してきたが、メーカーが踏み込めないことが繰り返されてきた。ソニー時代からVAIOとは縁があった。独立して、ソニーさんにも説明しながらやっていこうと。我々は百数十人、VAIOさんは240人ほどという規模でもやれるんだと。お話を持って行っていない日本メーカーは存在しないということ。

――どういうビジネスモデルなのか。

福田氏
 一緒に成功していけば両社の収益になる形だが、中身は秘密保持もあるので明らかにできない。

――VAIOは事前の期待ほどコミットしていないような印象だ。

花里氏
 我々としては(通信機器に関する)ノウハウもなかった。(デザインという)得意なところしかできることがなかった、というのが正確なところ。販売は(日本通信に)任せることになるが、まずはとっかかりと思って欲しい。

福田氏
 やることをリストアップして検討してきた。たとえばサポートをどうするのか、という点も検討し、日本通信には現在コールセンターがある、ということで専用窓口を設けることにした。協業は、従来のやり方で線を引くのではなく、必要なことを洗い出してやることをやろうというものではないか。

――海外にVAIO Phoneを出していくのか。

花里氏
 将来はわからない。今回は日本通信との協業によるもので、日本向けになる。

――VAIO Phoneは日本通信の独占なのか。

花里氏
 独占ではない。最初から話し合ってきたが、まず始めようと。

――なぜAndroidなのか。法人向けということもあればWindows Phoneでもよかったのではないか。

花里氏
 Windows Phoneは非常に興味がある。いろんな可能性を探っているが、今回はスピードを重視した。Windows Phoneには非常に興味がある。

福田氏
 私どもも(Windows Phoneに)たいへん興味を持っている。

――付加価値として提供するサービスは、日本通信の通信サービスのなかでもVAIO Phoneだけとなるのか。

福田氏
 そうだ。いろいろな仕掛けをしているのでサービスを提供していく。法人関係では4月ころから始める。3月から納品するところもある。

――コンシューマー向けは?

福田氏
 4月中ではないか。法人でもFMCのニーズは高い。出張中でもオフィスにかかってきた電話に応対できる。タブレットへのニーズもあるが、まず通話。そして業務アプリとして、企業のシステム管理者が対応できるかどうかという点もある。

――VAIOから発表されたパソコンは「究極のPC」とうたっていた。VAIOファンとしては“究極のスマホ”を求めているのではないか。

花里氏
 スマートフォンで“究極”がどういったものか、それが本当に必要なのか。“究極のPC”では、PCでなければできないことがいっぱいあると思っている。もしスマートフォンで究極があるのであれば当然考えるべき。そうではないのであればトータルのパッケージで商品性を高めていくことが重要だ。

――VAIOのロゴを隠しても購入してもらえると思うか。

福田氏
 それは購入されないのではないか。ブランドは重要な価値。安心感などを含んでいる。今回はデザインとしてミニマルさに徹しており、そこがフィットする方も多くいるだろう。単なるハードとしての選択肢ではない、というところを模索している。

(関口 聖)