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「受信実効速度は14.1〜37.6Mbpsです」総務省が実効速度の計測手法に指針

キャリア共通の計測手法、結果は“一定幅”で表示へ

 総務省は、モバイル通信キャリアが通信速度の実効速度を計測する手法に関して、ガイドラインの案をまとめ、公表した。キャリアによらない、共通の計測手法を確立することで、実効速度を比較可能な形でユーザーに提示し、より正確な情報の提供を図る。6月19日まで意見募集を行い、その後ガイドラインとして策定される。

 ガイドライン(案)では、キャリア(MNO)自身が行う、通信速度の実効速度の計測について、その手法や流れ、計測結果のユーザーへの提示方法、広告などでの表示について、ガイドラインや望ましいとされる対応が示されている。詳細は総務省のWebサイトで公開されている。

計測手法

 計測方式は、計測員による実地調査方式を採用する。

 計測場所は、人口規模で分類された各分類から合計10都市が選定され、「オフィス街・繁華街メッシュ」「住宅街メッシュ」の中からランダムに選定する、選定されたメッシュ(500m四方)内で計測地点を5地点を選定する。10都市で約300メッシュ、メッシュあたり5地点が計測され、合計約1500地点程度が計測対象になる。計測場所の選定にあたっては、総務省が実証時に作成した計測地点選定ソフトを活用する。

 計測は屋外で静止した状態で行う。

 計測時間は、「オフィス街・繁華街メッシュ」では12〜18時の間、「住宅街メッシュ」では15〜21時の間で行う。計測回数は同一地点で3回計測し、平均を出す。

 計測項目として、上り、下りの実効速度の計測に加えて、位置・時間、LTEなどの通信規格、端末情報、信号強度(iOSは取得できないので対象外)、遅延、パケットロスを取得し、参照情報とする。

 データの集計にあたっては上下切りをせず、計測頻度は「少なくとも1年に1回以上」、計測のタイミングは各キャリアが任意に設定できる。

 計測端末は、対応周波数や通信規格、OSが同一の機種ごととされている。

 計測ツールは総務省が提供するソフトを活用する。これは米FCCが公開している、スマートフォンなどに向けた計測ソフトをベースに総務省が作成したもので、計測ソフトをインストールした端末は、専用に用意される共用の計測サーバーに接続して通信速度を計測する。

計測の流れ

 キャリアは計測の実施を申請すると、計測場所の通知を受ける。計測作業はキャリアが主体となって実施する。

 計測期間は2カ月以内で、各キャリアで共通の計測ソフトと計測サーバーを利用して計測を行う。計測結果は、計測サーバーなど、各キャリア共通の実施プロセスを経てキャリアに送付される。計測結果の集計はキャリアが行う。

 キャリアはWebサイトなどに、計測地点ごとのすべての計測結果や、付随する参照情報を掲載し、結果を広告にも表示できる。

 計測にあたっては、共通プロセスとして、計測場所の選定作業や共用計測サーバーの運用、計測結果の送付といった実施プロセスを担う部分が、キャリア共通の負担で外部に委託される。計測作業と結果の集計は各キャリアが行う一方、地点の選定やデータの運用などの中間プロセスは、第三者組織による「共通プロセス」としての運用と確認を経る形になっている。

 加えて、実施の適切性の確認機能は、電気通信サービス向上推進協議会が担当する。同協議会内の第三者組織が有識者と総務省で構成され、運用の受託者やキャリアに意見を聞ける体制とする。また、実施プロセスの事前・事後で、受託者の契約内容や、計測ツールなどの運用状況も確認できる体制としている。

ユーザーへの情報提供の手法

 計測結果をユーザーに提供するにあたっては、基本的な考え方として、一般ユーザーにとってかりやすく誤認しにくい表示であること、一般ユーザーにとって必要と考えられる情報の表示であること、の2点が示されている。

 集計結果の表示方法は、統計学的グラフの「箱ひげ図」を活用する。ばらつきのある実効速度のデータから、最小値、第1四分位数、中央値、第3四分位数、最大値の5種類の値を出すもので、中央値に近い半数である、第1四分位数〜(中央値)〜第3四分位数の値を「実効速度の一定幅」として表示する。単位はMbpsが想定されている。

 広告などでの表示イメージとしては、主要な文言として「受信最大150Mbps(ベストエフォート)、受信実効速度は14.1〜37.6Mbpsです。」といった例が示されている。

 なお、箱ひげ図の活用は、将来、一層分かりやすい手法が提示された場合には代替可能としている。

 計測・集計結果の具体的な手法としては、Webサイト、テレビCMや紙面広告など広告、総合カタログなどの広告が想定されている。Webサイトでは、計測地点の詳細のデータを公表するものとし、時間や通信規格、端末情報も併せて公表、計測場所をユーザーが任意に絞り込んだり検索したりできる機能があることも望ましいとしている。

 テレビCMや紙面広告では、時間や掲載スペースが限られることから、詳細を公表するWebサイトの閲覧を促す仕組みを構築した上で、実効速度のみを提供することを考慮しつつ、電気通信サービス向上推進協議会で検討を進めるとした。

 各キャリアが発行する総合カタログでは、実効速度について解説するページを新たに設けた上で、箱ひげ図に基づく実効速度を一定の幅で掲載、詳細を掲載するWebサイトのURLも併記する。

 キャリアが独自に選んだ場所で計測した結果については、これの掲載を妨げないとした上で、誤解を与えないよう、条件を掲載するとしている。

新サービスは開始から1年後に計測

 今後登場するような、最新の高速通信サービスについては、「登場後すぐに実効速度を計測すると、利用者が少ないために、サービス普及後の実態とはかけ離れた計測結果となってしまうおそれがある」と指摘。一定程度普及した段階で計測するものとし、過去の例から、サービス開始から1年後を目処に、計測結果を広告表示に適用できるとした。また、サービス開始後は、利用者の増加に伴って実効速度が下がることを示すシミュレーション結果などをWebサイトに掲載するなどして、リテラシーの向上に努めるとされている。

 今回ガイドラインで示された計測手法は、サービスの基盤となるMNOが利用することが優先される。MVNOについては、MNOの計測結果を活用できる方向で検討される。

(太田 亮三)