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「最近、ソフトバンク化していないか」、株主が突きつけたドコモ経営陣への注文

 18日、NTTドコモの株主総会が開催された。質疑応答の際には、経営陣に対して「ユーザーよりもNTTのほうを向いて経営していないか」「MVNOとどう差別化するのか」「最先端の技術をいつ利益に還元するのか」「最近のドコモは、ソフトバンクのようになっていないか」など、投資家らしいものや、消費者サイドに強く立ったものなど、さまざまな質問が挙がった。

新たな成長のための「+d」

 ドコモでは2015年度に入って、他社とのパートナーシップで新しい価値を作り上げる「+d(プラスディー)」という取り組みを開始した。

 今回の株主総会では、株主から「日本の人口減少と高齢化が進むなか、携帯電話業界は消耗戦に入っている。消耗戦では体力を消費するが、海外の話がまったくない。どうなっているのか」と問いが挙がるも、副社長の坂井義清氏が「今後、契約数の増加による成長は確かに難しい。だがネットを使ってサービスが高度化していく。そこで成長が図れる」と回答。「+d」戦略は、IoT(モノのインターネット)のような動きだけではなく、医療や教育などさまざまな分野でITと通信が活用されることでの成長を見込んだ取り組みと位置付ける。

ドコモの坂井副社長

「キャッシュバックが横行した」

 国内の携帯電話市場が消耗戦になっている、との株主からの指摘に、+dがその対策と回答するドコモ。そこへ加藤社長は、1年前の春商戦で「キャッシュバックが横行した」と振り返る。

ドコモ加藤社長

 「1年ちょっと前に、市場の飽和もあってキャッシュバックが横行した。2014年の2月〜3月だった。“キャッシュバック合戦”とも言える状況で、当社も迎え撃ったが、『事業者をころころ変える人のほうが優遇されている』と長期契約のユーザーからは多くの声をいただき、キャッシュバック合戦を辞めようと強く思った。そこで長期契約のユーザーに還元できる新料金プランを昨年6月から提供しはじめた。iPhoneの導入など、いろんな面でドコモが遅れ気味だと、そういうきらいはあった。だが、新料金プランは業界の先頭を切って導入した。その結果、想定以上に加入があり、前倒し的に減収の側面が2014年度の業績に影響したのは事実。だが、長期契約の方に利用してもらうために踏み出した。長期契約の方には還元したい」

先端技術がもたらす恩恵

 2020年ごろの商用化を目指して、今後、標準化が進められていく5G(第5世代)の通信技術。NTTドコモも熱心に取り組む姿勢を見せているが、株主からは「最先端の技術がいつ利益に還元されるのか」と質問が飛んだ。

 これに対して、副社長の吉澤和弘氏は、「通信ネットワークが収益の源泉になる。SNSや映像配信など、我々が多く享受しているサービスがさらに増えていく。それらを下支えする技術は必ず利益に結びつくと信じている」と語る。

 また加藤薫社長も補足して「技術革新そのものが新しいサービスを生み、データ通信の需要を喚起して、それが利益になる好循環を続けたい」と述べる。

ドコモ吉澤副社長

MVNOとの違いは「優しいサービス」

 携帯電話業界における競争を促進させる存在として、にわかに注目が高まっているMVNOに関し、「ドコモより安いが差別化要素は?」と株主から質問。

 これに対して、取締役常務執行役員で経営企画部長の阿佐美 弘恭氏は、MVNOはドコモ回線を利用するパートナーとしての側面もある、としつ、現在はMVNO側が価格面でドコモとの差別化を図っている、との認識も示す。それに対してドコモの強みは「dマーケットなどのサービス、使い続けることでおトクになるポイントなどがある。また全国に2400以上あるショップで接点もあり、優しいサービスを提供する事業者として差別化できているのではないか」と胸を張る。

ドコモの阿佐美取締役

ドコモが向いているのは

 質疑の中には、ドコモの方針に疑問を呈するものもあった。1つは、ドコモの方針がNTTを向いているのか、あるいはユーザーを向いているのか、というもの。もう1つが「最近、ソフトバンクと同じことをしていないか」というものだ。

 前者に対して加藤社長は、ユーザーに向き合うことが基本と回答。

 一方、「ソフトバンクと同じこと〜」という問いでは、12月に改定されるdポイントが「改悪ではないか」という指摘と「新料金プラン導入にともない旧料金プランを受け付けなくなった」という指摘を加えて、「長期契約のユーザーをないがしろにしていないか」という指摘でもあったため、須藤章二取締役はdポイントは他社との競争環境のなかでこれまでと概念を一新したものであり、そして旧料金プランもサービス自体は現在も継続していると説明。「ソフトバンク化している」との指摘に対して、ドコモの経営陣から明確な回答はなかった。

 明日、6月19日にはソフトバンクの株主総会が予定されている。

(関口 聖)