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Wi-Fiの近接サービス向け新機能「Wi-Fi Aware」認定プログラム開始

 Wi-Fi Allianceは、Wi-Fiの規格の中で近接情報をやりとりしサービスを利用しやすくする新機能「Wi-Fi Aware」が、まもなく市場に登場すると発表した。14日には都内で記者向けに説明会が開催され、「Wi-Fi Aware」の特徴などが解説された。

Wi-Fi Alliance マーケティング担当 ヴァイス・プレジデントのケリー・デイヴィス フェルナー氏。既存の近接情報を使う規格の課題を指摘、「Wi-Fi Aware」の特徴を語った

 「Wi-Fi Aware」は、Wi-Fi機器同士で近接情報をやりとりできる機能で、近くにあるサービスを自動的に発見し、Wi-Fi Directなどの広帯域の通信に、簡単に移行できるのが特徴。Wi-Fi Directを近接情報と結びつけやすくし、ユーザー同士やサービスを発見しやすくする機能になっている。「Wi-Fi Aware」は、対応するスマートフォンではアプリから利用できる形になる見込み。

 Bluetoothのビーコンなどとは異なり、「Wi-Fi Aware」では相互に情報をやりとりできるのも特徴に挙げられ、低消費電力で稼働しながら、Wi-Fiと同様の通信範囲で利用できる。

 例えば「Wi-Fi Aware」対応アプリを利用するユーザー同士は、ゲームの対戦相手やSNSの友人、ビジネスマッチングサービスなどの形で、お互いを発見することが可能になり、Wi-Fi Directに移行してリッチなアプリやコンテンツを利用できる。また、Wi-Fiのスポットで写真や動画などのコンテンツが提供されている場合には、ユーザーは「Wi-Fi Aware」によって近くにサービスがあることを発見でき、そのままWi-Fi Directの接続に移行してコンテンツを素早く入手できる。

 スマートフォンにおける「Wi-Fi Aware」への対応は、最終的にはOSまたは端末メーカーに委ねられることになり、OSが標準的にサポートするか、端末メーカーが独自に対応するなどの展開が考えられている。基本的な要件は、IEEE802.11a/b/g/n/acとWPAをサポートすることで、技術的には、すでに発売されているモデルも対応できるとしている。

 「Wi-Fi Aware」認定製品としては、すでにチップベンダーが支持を表明、BroadcomやIntel、Marvell、Realtek、Media Tekが対応製品を明らかにしているほか、Qualcomm Atherosも支持を表明している。

 Wi-Fi Alliance マーケティング担当 ヴァイス・プレジデントのケリー・デイヴィス フェルナー氏は、「Wi-Fi Awareは、Wi-Fiの“次の波”に向けて補完してくれるものになる。考えたこともないものが実現でき、ワクワクするようなものをアプリ開発者が提供できる」と、その可能性に期待を語る。市場に登場する時期については「Wi-Fiの来年の取り組みの中に反映させられるのではないか」としたほか、Wi-Fi AllianceにはOSベンダーも参加していることから、OS側でサポートされることにも期待を寄せた。

太田 亮三