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JTB、スマホを使った電子チケットサービス「PassMe!」

PayPalの決済でレジャーチケットを簡単に購入

 ジェイティービー(JTB)は23日、スマートフォンを使った電子チケットサービス「PassMe!」(パスミー)の正式サービスを開始した。

ジェイティービー 事業創造部長の鈴木雅己氏(左)と、PayPal東京支店 カントリーマネージャーのエレナ・ワイズ氏(右)

 「PassMe!」は、スマートフォンで購入から利用までできる電子チケットサービス。ブラウザ上でレジャー施設などのチケットを購入後、施設で提示し、画面上に専用のスタンプを押すことで、チケットとして利用できるというもの。

 ログインと決済のシステムにPayPal(ペイパル)が組み込まれており、一度ログインするだけで、決済まで完了できるという簡単さが特徴となっている。

利用の流れ

 「PassMe!」のアカウントは、PayPalアカウントと連携し、PayPalアカウントでもログインすることができる。

 サイト上に並んでいるレジャー施設などの加盟店のチケットを選択して、購入ボタンを押すと、PayPalアカウントに登録されたクレジットカードや銀行口座により決済される。PayPalアカウントを利用してログインしている場合、決済時にパスワード入力は不要。

 加盟店を訪れたユーザーは、購入したチケットをスマートフォン上で提示する。表示されたチケット画面にはスタンプ欄があり、店員から、スタンプのような形をした「電子スタンプ」を画面上に押してもらう。画面上にはスタンプが表示され、サービスを利用できるようになる。チケットは複数枚まとめて提示可能。

 チケットの購入はパソコンでも可能だが、利用の際にはタッチパネルを搭載したスマートフォンが必要。

 購入した電子チケットを他人に配布する機能も備えている。チケット配布機能は、専用のURLを生成して、メールやLINEといった方法で伝えることで、受け取ることができるというもの。チケットを受け取ると、相手側の「PassMe!」アカウントに追加され、自分で購入したものと同じように利用できる。

加盟店のメリット

 「PassMe!」の加盟店は、決済後に平均10%の手数料を差し引いた代金を受け取ることができる。成果報酬型のため、初期導入時の費用が発生しないとしている。

 チケット利用の確認に使う「電子スタンプ」は、人間の手の静電気を利用して、スマートフォンのタッチパネルに特定の模様を伝えるという仕組み。電源などは一切必要としないため、メンテナンス不要だという。このスタンプは、加盟店に無料で貸出される。押すだけで利用できるため、加盟店の従業員に対する教育もほぼ必要ないという。

 また、加盟店は、チケットの利用者の属性情報をマーケティングに活用できる。加えて、「PassMe!」のLINE公式アカウントにて、自店舗をお気に入りに入れたユーザーにクーポンを送るといった活用も可能。

「PassMe!」提供の狙い

 23日に都内にて行われた、JTBとPayPal東京支店による発表会では、サービス提供の狙いが説明された。

ジェイティービー 事業創造部長の鈴木雅己氏
PayPal東京支店 カントリーマネージャーのエレナ・ワイズ氏
サービスコンセプトを紹介した、ジェイティビー事業創造部 企画担当部長の花園総一郎氏

 これまで全国の代理店による旅行の際の宿泊や交通手段を中心として事業展開してきたJTB。旅行市場におけるシェアは大きいが、宿泊を伴わない近場のおでかけなどのレジャー市場でのシェアは2.8%と出遅れていた。

 この要因を紙チケットでのオンライン対応の難しさと、加盟店負担の大きさにあると分析し、今回スマートフォン上で全てのサービス利用が完結する「PassMe!」を開発したという。

 PayPal決済については、加盟店側にクレジットカード情報を知らせる必要がないことや、ペイパルの提供する不正利用検知システムを利用でき、万一不正利用された場合も、ペイパルによる補てんサービスが提供されることから、安心・安全な決済手段として採用したという。

 加盟店負担については、エム・フィールド社の電子スタンプソリューション「HiTAP」を利用することで、費用と手間の両面から解決したという。

 今後のサービス拡充については、近日中にLINEアカウントを利用したお気に入りスポットの新着情報の通知機能の追加、9月を目途に回数券型や、いくつかのサービスから選べるチョイス型のチケット導入を予定している。

 当初は国内向けのサービスとして、加盟店の拡大を積極的に行っていくが、2017年度を目標として、訪日外国人向けに多言語対応でのサービス提供を目指しているという。

 現時点での加盟店は234店舗・施設で、23日時点で191店舗・施設が実際に販売している。目標として、2015年末での加盟施設数を3000カ所、取扱いチケット数は6000種類、取扱額3億円で、利用者数では10万人を目指す。中期目標としては、2019年度末までに加盟施設数5000カ所、取扱いチケット数が1万5000種類、取扱額80億円を挙げている。

石井 徹