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「dヒッツ」はハイブリッド型で“量よりも質”、担当者が特徴を語る

ナップスターなどの失敗から学んだ独自性とは

 NTTドコモとレコチョクは、「dヒッツ」など定額制音楽配信サービスへの取り組みを解説する記者向けの説明会を開催した。ストリーミング型で定額制の音楽配信サービスの市場が急速に立ち上がる中、すでに300万会員を獲得し、これらを迎え撃つ形となっている、「dヒッツ」の特徴や独自性が語られた。また同日にはドコモから、Facebookとの連携を9月上旬に開始すると発表され、説明会の会場では実機による動作のデモも公開された。

NTTドコモ コンシューマビジネス推進部長 前田義晃氏
レコチョク 執行役員 板橋徹氏

 説明会では、ドコモの音楽配信への取り組みの歴史に始まり、世界の音楽配信市場やサービス形態の違い、日本の音楽市場全体や音楽配信市場の現状、各サービスの違いなどが解説された。

 日本の音楽配信サービスという市場に限ってみると、ダウンロード型の音楽配信市場は直近で年18%の伸びをみせており、音楽配信市場の8割を占めている。

 定額制音楽配信サービスは配信市場の中で18%と2割のシェアで、市場規模は小さいものの年119%と大きく伸びている最中。サービスを利用する会員の総数は400万人とされている。

 日本には無料で続けられるフリーミアムモデルが無く、有料モデルとして、楽曲を自由に選べないラジオ型、自由に選べるオンデマンド型の2種類に分類される。

世界の市場
日本の市場
サービス形態
世界の定額制音楽配信サービス
日本の定額制音楽配信サービス

 「dヒッツ」はラジオ型のサービスを基本とし、ラジオ型許諾であることで、配信できるアーティストの数を早期に拡大できたという側面を持つ。一方、ユーザーが根付くことで、好きな曲を自由に聴けるオンデマンド型サービへの要望も高まったことから、お気に入りの楽曲を毎月10曲まで登録できるプレイリスト機能「myヒッツ」の提供を開始している。「myヒッツ」の楽曲もダウンロードではなくストリーミングだが、年間では最大120曲を登録でき、月額500円のサービスの中でオンデマンド型配信の体験も可能な「ハイブリッド型」であると位置づけている。

 ドコモによると、ダウンロード型のサービス「dミュージック」における会員のダウンロード数は、月平均で2.5曲。このため、月額500円で毎月10曲を「myヒッツ」に登録できる「dヒッツ」は、ターゲットユーザーの多くの需要に応えられるものとしている。

 「dヒッツ」が対象しているのは、音楽のライトユーザー。過去にも音楽配信サービスを手がけてきたドコモの担当者は、ナップスターがモバイル連携プランで月額1980円という価格だったことを引き合いに出し、月額400円~500円の価格帯でないと、ライトユーザーが選択するのは難しいという見方を示す。

 また、ナップスターの配信楽曲数は1000万曲と謳っていたが、洋楽を中心にインディーズアーティストの楽曲も多数含まれていたことなどから、楽曲数が多くても、日本のライトユーザーに受け入れられるのは難しかったと分析。タワーレコードでは洋楽CDの売上は全体の20%以下で、J-POPの売上に偏っているという現状も示され、ライトユーザーにとっての判断基準は、価格と、好みのJ-POPアーティストが配信されているかどうかによる、という認識が示された。

 レコチョクの担当者によると、「dヒッツ」の配信楽曲数は2015年度中に500万曲を目指す。CDでリリースされているような楽曲を中心に拡充していくほか、CDアルバムの先行配信なども手がけていく予定。2015年末には大幅なリニューアルを予定し、ユーザーインターフェイスをはじめ、ユーザーの嗜好がより反映されやすくなる使い勝手を目指すとしている。

 これに先駆ける形で、Facebookとの連携が9月上旬に開始されることが発表された。Facebookとの連携については、概要やイメージがすでに発表されていたが、スマートフォン上での動作が公開された。「dヒッツ」側では、試聴が可能な配信楽曲はすべてFacebookのシェアに対応する。Facebookアプリなどのニュースフィード側では、表示された再生ボタンを押すと、そのまま音楽が再生され、最大30秒の試聴が可能になる。

新機能のデモ

Facebookアプリのニュースフィードにシェア・表示されたdヒッツの楽曲
dヒッツにFacebookシェアボタンが追加される
シェアする際の投稿画面
こちらはインディーズアーティストやアマチュアアーティストが楽曲を投稿し、誰でも無料で聴ける音楽SNS「Eggs」のアプリ。タワーレコード、ドコモ、レコチョクが取り組むサービスで、ライブやCD化などの企画も

太田 亮三