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Windows 10やiOS/Androidに対応、「ウイルスバスター クラウド 10」が登場

 トレンドマイクロは、パソコンやスマートフォンを含め、最大3台まで利用できるセキュリティソフト「ウイルスバスター クラウド 10」を発表した。ダウンロード版は7月29日、パッケージ版は9月4日に発売される。ダウンロード版の価格は1年間の利用料で5380円(税込、以下同)となり、2年間、3年間のライセンスも提供される。

スポンサー契約を締結したフェンシングの太田雄貴選手とトレンドマイクロ社長のチェン氏
ダウンロード版
ラインアップ価格
1年版5380円
2年版9680円
3年版1万2780円
プレミアム(サポートサービス付き)1年版7980円
プレミアム2年版1万3800円
プレミアム3年版1万8580円

 パッケージ版の価格はオープンプライスだが、同社直販サイトでの価格は1年版が6460円、3年版が1万3810円。

新製品を紹介するトレンドマイクロ副社長の大三川彰彦氏

Windows 10に対応

 「ウイルスバスター クラウド 10」では、新たにWindows 10に対応。新しいブラウザ「Microsoft Edge」に対応する。

 またマルチプラットフォーム対応で、Macに加えて、新たに、iOS、Android、Kindle Fireもサポートすることになった。これらのOSのなかから3台まで利用できる。各プラットフォームのアプリストアからアプリをインストールして利用する。たとえばパソコン版から「Androidで利用する」というメニューを選べば、QRコードが示され、アプリストアへすぐアクセスできる。スマートデバイス側では、事前に登録しておいたトレンドマイクロのID(メールアドレスとパスワード)でログインすれば、利用できるようになる。

 Windows版では、マイクロソフトのクラウドサービス「OneDrive」に対応し、OneDriveに保存されているデータをスキャンし、ウイルスを検出できる。この際、トレンドマイクロのクラウド上にあるエンジンでスキャンを行うため、ユーザーの手元にあるパソコンに負荷はかからない。スキャンを行うよう操作すると、トレンドマイクロのクラウドエンジンにその命令が届き、スキャンが終わればメールで通知する、といったこともできる。Windows 10ではOneDriveとの連携が強化されるため、トレンドマイクロでも対応することにしたとのことで、マイクロソフト提供のAPIを介してスキャンする。トレンドマイクロ側にユーザーのデータは保存されない。また他のクラウドストレージへ対応する予定はないとのこと。

 事前にマイナンバーの一部を設定しておけば、インターネット利用時、マイナンバーが外部へ送信されるのを防ぐ。

 ユーザーの操作を中断する広告、不快な広告を多く表示するプログラムなどを検出する機能も追加された。このほか、Facebookのプライバシー設定をチェックして、ゲームアプリなどが投稿するメッセージの公開範囲など、プライバシー保護の観点から推奨設定を示す。

 Mac版では、パターンファイルの一部をクラウドに移行するようになった。リアルタイム保護を行う際にもスキャンの負荷はクラウド側で一部担う形となる。

サポートを強化

 プレミアム版では、これまで提供されてきた、Windows、 Mac、周辺機器、ソーシャルメディアに関するサポートに加えて、Windows向けに新サポートツールを新たに導入した。

 OSのアップデートができない、インストールした覚えのないアプリのポップアップが出続けるなど、ユーザーから問い合わせがあればスタッフは、ユーザーが利用するパソコンの情報(OSのバージョンなど)を自動で取得する。

 これまでは電話でユーザーと話しながら、15分以上かけてそれらの情報をヒアリングしていたが、新サポートツールをパソコンにインストールしていれば、ユーザーの環境をチェックできる。この情報をスタッフが得るときには、トークンを得て、接続する。

 「コントロールパネルを開く」といった操作も、サポートツールを通じて、遠隔でスタッフが行える。

モバイル版も機能強化、不正送金を防止

 マルチプラットフォーム対応の「ウイルスバスター クラウド 10」に対し、モバイルプラットフォームでのみ利用できる「ウイルスバスター モバイル」の最新版では、Android版で「銀行の偽アプリ対策/Wi-Fiセキュリティチェック」「アプリの管理」、iOS版では「Web脅威対策のSafari対応」「SNSのプライバシー設定チェック機能でFacebookに加えてTwitterに対応」といった機能強化が図られている。

 Android版に搭載される、銀行の偽アプリ対策は、スキャンして通知、アンインストールを勧める。またWi-Fi接続時に銀行の正規アプリを起動すると、Wi-Fiの接続先が安全かどうかチェックし、銀行関連の情報の盗用を防ぐ。アプリ管理については、Android標準の機能よりもわかりやすく案内するため用意されたもので、削除などが簡単にできる。銀行側と連携しているものではなく、定期的にトレンドマイクロで銀行の正規アプリをチェックしてデータベースで管理する形になる。銀行アプリの新バージョン、あるいは銀行側から新たなアプリが登場した場合も定期的にチェックすることで対応していく。

 iOS版では、SafariでWebブラウジングする際、サイトが安全かどうか、手動でスキャンし、閲覧先のサイトが安全かどうか確認できるようになった。通販サイトなどへアクセスする際の利用が想定されている。SNSのプライバシー設定では、推奨する設定を適用することで、より安全にTwitterを利用できる。

モバイル版は350万会員、400万目指す

 同社では、新製品の投入により、今後1年間で、現在1000万以上のユーザー数というクラウド版を1500万、350万のアクティブ数となるモバイル版を400万件まで拡充する方針。
 同社代表取締役社長兼CEOのエバ・チェン氏は、「ウイルスバスターを利用すべき10の理由」と題して、オンラインバンキングや、ネットショッピング、業務、ソーシャルメディアなど、ネット上の脅威があり得る10の利用シーンを列挙。それらの場面でウイルスバスターが効果的にセキュアな環境を提供するとアピールした。

 同社では、家族全体でセキュアなデジタルライフを提供する、というコンセプトを掲げる一方、本製品では1パッケージあたり3台の保護となっており、報道陣から「家族とうたう一方で、本製品の保護対象台数は少ないのではないか」との指摘があがると、同社製品には保護台数の制限がないパッケージ(Trend Micro OKAERI)を提供しており、用途に応じたラインアップを揃えているとした。

 このほか同社では、フェンシングの太田雄貴選手とスポンサー契約を締結したと発表。アジア人で初めて世界選手権で優勝したばかりの太田選手との契約は、2016年8月末まで。すでに2014年の段階で、太田選手が主催する次世代の選手を育成するキャンプへの支援を行っており、8月にも同キャンプが再び行われる。

関口 聖