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ヤフーがIoTの事業者向けプラットフォーム、ユーザーが組み合わせて使えるアプリも

 ヤフーは、IoT(Internet of Things)に対する取り組みとして、事業者向けプラットフォーム「myThings」を発表した。IoT関連のハードウェアやサービス、SNSなどを、ユーザーが自由に組み合わせて連携させられるというもので、すでに対応製品・サービスが用意されており、エンドユーザーはアプリ「myThings」で利用を開始できる。利用は無料。

 今回の取り組みは、IoTの取り組みの中でも、これまでにないという、サービスレイヤーを中心にプラットフォーム化を図るもの。機器メーカーやサービス事業者に参加を呼びかける一方で、その結果である「myThings」のアプリはエンドユーザーが利用するサービスとあって、具体的な利用シーンも紹介されている。

 メーカーや事業者が「myThings」で公開されるAPIに対応することで、ユーザーは、センサーや家電といったIoT機器と、既存のSNSやメールといったサービスを自由に組み合わせて連携させられるようになる。「myThings」アプリではトリガーや通知先を選ぶだけで、簡単に連携させることが可能になっている。

 サービス開始時点では、10程度のIoT機器(ハードウェア)が対応。「チャンネル」と呼ぶ対応サービスは30チャンネルでスタートし、ユーザーは「MyThings」上で6万通り以上の組み合わせが可能としている。

 パートナー企業としてシャープ、ソフトバンクが参画しているほか、マイクロソフトやインテル、IDCF Cloudなどがクラウド分野で連携。Twitter、Facebook、Gmailなどとのサービスと連携も可能になっている。

 IDCF Cloudのクラウドサービスを経由することで、自作のセンサーなどの機器についても、「myThings」上で連携できるようになる。

 すでに世の中にある同種のサービスとして、SNSなどさまざなサービスの動きをトリガーにして組み合わせられる「IFTTT」が挙げられるが、「myThings」は日本語で提供されるほか、クラウドサービスを経由してIoT機器と連携。さまざまなシーンを想定した組み合わせを予め用意し、ユーザーに提案していく点を特徴としている。

 ヤフーでは「myThings」による連携や利用の促進を図るイベントを開催する予定で、ハッカソンなどのイベントも開催する方針。

「myThings」の連携デモ

 27日に開催された発表会では、具体的な連携のデモンストレーションも展示された。例えばソニーの「MESH」を使った組み合わせでは、ゴミ箱の蓋に開閉をカウントできるセンサーを取り付け、開閉の回数をトリガーにして「myThings」からSNSに自動的にコメントが投稿される仕組みが紹介されていた。

 自作ガジェットが「myThings」と連携できるデモでは、水耕栽培中のアボカドの状態をモニターし、開発者向けツールである「Slack」に計測結果を投稿するというデモが紹介された。スイッチサイエンスからは、自作ガジェット向けに、クラウド連携が可能な汎用キットも発売される予定。

 自宅の見守りロボット「BOCCO」との連携では、アクティビティトラッカー「UP」の起床情報をトリガーに、自宅にいる子供などに(遠くにいる父親などが)起床したことを知らせる連携を紹介。シャープの「COCOROBO」も同様に、「UP」の起床情報をトリガーにして、お掃除ロボットが朝に必要な言葉をしゃべるといった連携が紹介されていた。

 シャープは開発中の冷蔵庫も展示。製品は、クラウド連携により旬の食材情報などを音声で案内できるというものだが、「myThings」での連携では、ネットにつながる体重計と組み合わせ、体重が予め指定した値を上回る(目標よりも太っている、など)と、おすすめの食材情報を変化させるといった連携のデモを行っていた。

 ソフトバンクの「PhotoVision TV2」は、基本機能としてメールで受信した写真を表示できるが、「myThings」上で連携できることにより、Facebookに写真を投稿すると、「PhotoVision TV2」にも写真が表示されるというデモが表示されていた。

 ドアの鍵をスマートフォンで開閉できる「Akerun」は、ソフトバンクのロボット「Pepper」と連携。「Akerun」の開錠情報をトリガーに、「おかえりなさい」と喋りかけるデモが披露されていた。

“IoTはローカル”、プラットフォーム上で無限の組み合わせを実現

 27日に都内で開催された発表会では、ヤフー CMO(チーフ・モバイル・オフィサー)の村上臣氏が登壇し、IoTへの取り組みを語った。村上氏はまず、IoTの世界観について以下のように語る。

 「IoTの世界では、モノ自体がダイレクトにインターネットの恩恵を受ける。スマホも言ってみればIoTの一種だが、“手のひら”以外の、周囲のモノがネットにつながり、それらが相互にコミュニケーションし、クラウドにつながり、便利になっていき、モノ、Web、企業や人も、つながっていく。街そのものがWeb化していく、それがIoTのポテンシャルだ。モノや人だけの話ではなく、街そのもの、世界そのものがつながっていく。受け身ではなく、それぞれが能動的に動く。そういう世界観」。

 その上で村上氏は、「IoTのサービスはすでにあるが、それぞれが個別に動いている。いくつかのアライアンスもあるが、まだまだ個々で閉じている。要素技術も力関係でバラバラだ」と現在のIoTを取り巻く状況に対し、問題点を指摘する。

 「こういう状況がはたしていいのか。これらをつなげるのは我々だけではできない。開発者に対して公開し、オープンなエコシステムの中で提供する」と、APIを公開して提供していく方針を示した村上氏は、ファーストパートナーとしてのシャープやソフトバンクを紹介。マイクロソフトやインテルのクラウドサービスとも連携していくと紹介した。

 具体的な「myThings」アプリの使用例を動画で紹介すると、村上氏は「IoTの良いところは、生活に深く溶けこむところ。日常生活の中で、向こうから通知してくれる」とポイントを紹介。「すべての企業、開発者に対し、オープンにして、デファクトスタンダードを狙っていく。将来的にはAPI課金はあるかもしれないが、まずは無料で提供する。ぜひ仲間を増やしたい。今がスタートだ」と、事業者にメッセージを送った。

 質疑応答の中では、GoogleやAppleが開発中のIoTプラットフォームとの差が聞かれた。村上氏は、それらはOSを含む垂直統合型のモデルを含んでおり、「完全なオープンではない」とした上で、「完全にオープンなものを提供したいというのが我々の思い」とした。また、「参加する人(企業・サービス)にかかってくるが」と前置きした上で、「今後キラーなユースケースが出てくるだろう」と期待も語っている。

 村上氏は、IoTという業界が持つローカル性についても言及し、完全にオープンであること、ローカルを重視できることが重要とする。「今IoTにはヒット商品がない、と思われているかもしれないが、ニーズは細分化する方向にある。IoTは、業界自体がローカルな事情に影響を受ける分野。それは、日常生活に浸透しているからだ。現在は、小ロットでも採算がとれるモノが増えている。100人、1000人が便利だと思うものが出てくるのがIoTの世界。なので、それらをつなげるプラットフォームを作った。そういう市場の見立てで進めている」。

プレゼンテーション

プロモーションビデオ
「myThings」のサービス例など
「myThings」アプリについて

(太田 亮三)