ニュース

「Google Play Music」日本サービス開始、3500万曲を聴き放題

10月18日までの加入で月額780円、無料で5万曲を預けて聴けるロッカー機能も

 Googleは3日、音楽配信サービス「Google Play Music」の日本でのサービスを開始した。

 「Google Play Music」は、Googleのサーバー上に預けた自分のライブラリーの曲を楽しめるサービスで、月額制で聴き放題のサブスクリプション、1曲ごとに購入できるストア、ユーザーの保有する曲を5万曲までアップロードして保存できるクラウドロッカーの3つの機能から構成される。

 サブスクリプションは月額980円(税込、以下同)。10月18日までに加入すると、無期限で月額780円で利用できる。ストアは、サブスクリプションを利用していない場合でも音楽を単体購入できるサービスで、1曲150円~。ロッカー機能は無料で利用可能。

 日本でのサービス開始にあたり、エイベックス、ソニーミュージック、キングレコード、ビクターエンタテイメントなどの主要なレーベルと協力して、日本向けに3500万曲のラインナップを揃える。

左から、ソニー・ミュージック今野氏、エイベックス佐藤氏、ユニバーサル島田氏、Googleヴァルコネン氏、キングレコード田中氏、ビクターエンタテイメント三宅氏、ワーナーミュージック池山氏、ポニーキャニオン浅田氏

 ライブラリー上ではサブスクリプション、購入した曲、ロッカーにアップロードした曲は並列に扱われる。サブスクリプションの楽曲とロッカーにアップロードした曲を混在させたプレイリストも作成可能。

 1つのライブラリーを最大10台の端末で利用できる。ストリーミング視聴となり、再生品質は回線速度に応じて最大320kbps。曲を指定して端末上に保存することで、オフラインでも再生できる。アプリはAndroid 2.2以上とiOS 7.0以上に対応。パソコン(Windows、Mac、Linux、Chromebook)ではWebブラウザから利用可能。スマートフォンやパソコンを介して、Chromecast、Android TVやAndroid Wearなどでの再生にも対応。

 ロッカー機能へのアップロードはブラウザ版から行う。楽曲をドラッグ&ドロップするだけでライブラリーに追加される。アップロードツールを利用して指定フォルダーやiTunesなどの音楽再生ソフトウェアのライブラリーを同期することもできる。アップロードの対応形式はMP3/AAC/WMA/FLAC/OGG/DRM/保護された AAC/ALAC。MP3以外は最大320kbpsのMP3ファイルに変換される。

検索機能とレコメンデーション機能

 アーティスト検索ではアーティスト名の略称などのあいまい検索に対応。例えば、バンド「ゲスの極み乙女。」は「げすきわ」と検索することで表示される。

 ユーザーが作成するプレイリスト機能のほかに、音楽を探すための機能が3種類搭載されている。「ラジオ」機能は、ひとつのアーティストの楽曲を選ぶと関連するアーティストの曲を流し聴きすることができる。

 「ステーション」機能は、サブスクリプション楽曲から、Googleのキュレーターが選曲したプレイリスト。「朝」や「デート」といったシチュエーションや「幸せいっぱい」「夢うつつ」といったムードから選択できる。

 「I'm Feeling Lucky」機能では、ユーザーの好みを学習したアルゴリズムが自動でプレイリストを作成して、すぐ聴くことができる。

「モバイルファースト」と「マルチデバイス」がコンセプト

サミ・ヴァルコネン氏

 サービス提供開始にともなって3日に開催された発表会では、GoogleでGoogle Play 音楽パートナーシップ担当ディレクターを務めるサミ・ヴァルコネン氏が登壇し、サービスの狙いを説明した。

 「Google Play Music」のサービスコンセプトとして、「モバイルファースト」と「マルチデバイス」を挙げたサミ氏。全世界で1人当たり2.4台のデバイスが稼働している統計を示し、複数のデバイスからシームレスに利用できるサービスが求められていることを示した。

 「Google Play Music」のサブスクリプションサービスは2013年に米国など13カ国でスタートして以来、世界59カ国で提供されている。サブスクリプションサービスの提供開始から1年間で、ユーザー数は倍増したという。

 60カ国目となる日本市場についてヴァルコネン氏は、「音楽市場の規模は世界で2番目」、「スマートフォンの普及もトップレベルまで進んでいる」とした一方で、デジタルミュージックへの移行は大きく遅れていると指摘した。

 グローバルレベルでは、音楽市場に占めるデジタルミュージックの割合は増加しており、アメリカでは71%がデジタルミュージックとなっている。が、日本での割合は17%のみで、CDなど既存のメディアが依然として強いことを示し、「Google Play Musicの本格展開によって、音楽の聴き方を変えていきたい」と意気込みを示した。

 発表会ではゲストとして、レーベル各社から代表者が出席した。登場したのは、ソニー・ミュージックエンタテインメントの今野敏博氏、エイベックス・ミュージック・クリエイティヴの佐藤朝昭氏、ユニバーサルミュージックの島田和弘氏、キングレコードの氏、JVCケンウッド・ビクターエンタテイメントの三宅裕一氏、ワーナーミュージック・ジャパンの池山賢氏、ポニーキャニオンの浅田和朗氏。

左から、ソニー・ミュージック今野氏、エイベックス佐藤氏、ユニバーサル島田氏

 ソニー・ミュージックの今野氏は「日本の音楽レーベルは今まで、CDや着うた、ダウンロードなどの時代のテクノロジーにあわせた音楽の聴き方を提唱しきいた。ストリーミングとも言われる今年だが、その中でも真打ともいえるGoogleと協力して、新しい音楽の聴き方を提案していきたい」と話した。

 エイベックスの佐藤氏は、「日本レコード協会調べでは、音楽ユーザーの34.4%が無料で音楽を聴いている層だという。サブスクリプションサービスは、こういった層のユーザーにお金を使ってもらうかが成否を分けるカギだと思っている。Googleのような影響のあるプレイヤーの登場によって、定着するひとつの原動力となれば」と述べた。

 ユニバーサルの島田氏は「サブスクリプションサービスは、音楽市場だけでなく、エンタテイメント市場盛り上がりを感じており、我々もエキサイトしている。音楽を提供する我々とユーザーに届けるGoogleが組むことで、さらに盛り上げていきたい」と語った。

石井 徹