ニュース

Twitterのニュース機能が日本から産まれた理由

 「売上の9割が広告」「今、加速しているのはスマホアプリのダウンロードを促進する広告商品」「Twitterが7月に立ち上げたニュース機能は日本のユーザーの利用スタイルにあわせたもの」――3日、Twitter Japanの新オフィスで同社幹部から明らかにされた、日本に関連する興味深い話だ。

左からTwitter Japan代表取締役の笹本裕氏、執行役員オンラインセールスの王子田克樹氏、執行役員日本・東アジア地域事業開発担当本部長の味澤将宏氏、執行役員 事業成長戦略本部長の牧野友衛氏

 2006年にサービス開始、2008年に日本語版がはじまり、2011年の東日本大震災では多くの人が情報をやり取りした「Twitter」は、グローバルでの月間利用者数が3億1600万人、ログインしていない状態でTwitterにアクセスする人が月間5億人、Twitter以外のサイトでのツイート表示回数が四半期で1850億回と、今さらあらためて紹介するまでもないほど、多くの人に利用される世界有数のWebサービスだ。

 相当規模に成長したTwitterが日本でどのように利用されるのか、Twitter Japan執行役員で事業成長戦略本部長の牧野友衛氏は「日本が米国と違うのは、電車が遅延したらチェックする、地震が起きたらチェックする、という形になっていること。街を歩いていて、ある店に行列ができていたら、そのことを検索すると、Twitterで行列ができる理由がわかる。そこまで(細かく、多くの情報が投稿されるほど)普及しているのは日本だけ。米国が行くべきところの先の部分に行っている」と、日本のユーザーが高いリテラシーのもと利用している様子を紹介する。

 また最近では、アプリ開発キット「Fablic」を提供しているが、これは、アプリのクラッシュレポート、Twitterのログインシステム、広告ネットワークなどをアプリに組み込めるもので、アプリ開発~収益化までカバーできる無料の開発キットとしてアピールしている。国内外あわせて10億ものデバイスで、既にFablicを使ったアプリがインストールされており、Twitterの経済圏の広がりが紹介される。

 Twitterにおける広告ビジネスは約3年前に開始され、当初はフォロワー情報からターゲティング広告(ユーザーの属性にマッチした広告配信)を行っていた。2012年秋にはユーザーの行動から得たインタレストグラフをもととする「インタレストターゲティング」を開始、2013年夏にはツイートした話題を解析してターゲティング広告を配信する仕組みが採り入れられた。ターゲティング広告の進化がはかられる一方で、最近では「モバイルアプリプロモーション」という、スマホアプリのダウンロードを促進する広告商品が伸びているという。またツイートをリアルタイムで検索できるヤフー、あるいはアプリのプリインストールなどを行うMVNOを含めた通信事業者との連携も重要視されている。

 こうしたなかで、Twitterを実際に利用している人と、していない人の間では少しギャップがあるのだという。利用者からは「Twitterでは情報を得る」ことが主な用途とされるのに対して、まだ使っていない人からは「ツイートするために使う」、つまりコミュニケーションが主目的だと捉えられている。利用者をさらに拡大するため、具体的なアプリケーションとして提供されることになったのが、7月に登場したニュース機能。もともとニュースをシェアするツイートが多いなか、キーワードで話題を紹介するトレンド機能もあったが、「情報を得る人が多い」状況を踏まえて、日本発の機能として、話題となっているニュースを見つけやすくするニュース機能が開発された。最近では、米国やインド、ブラジルでテストが開始されている。日本での利用も、ログイン回数、滞在時間、タイムライン閲覧時間への影響など複数の指標から、ニュース機能は良い影響をもたらしており、日本のユーザーに受け入れられていると評価しているという。

創業者のジャック・ドーシー氏からビデオレター

Twitter Japanの新オフィス

 3日の説明会は、8月に移転したばかりのTwitter Japanの新オフィスで開催された。「いかにTwitter Japanらしさを出すか」「社員のコミュニケーションをいかに深めるか」というテーマのもと、デザインされたオフィスは、いくつも和のテイストをアクセントに採り入れた。

オフィスのあるフロアに降り立つと木目調のTwitterのアイコン

 エレベーターを降りて、Twitter Japanのオフィスがあるフロアに降り立つと、杉を用いたTwitterのアイコンが出迎える。世界各国のオフィスには、同じようにTwitterのロゴマークがオフィスのどこかにあしらわれているとのことだが、木目調のデザインを採用したのは今回のオフィスが初めて。受付の背後にある壁も、焼き目を付けた杉の板を日本独自の技術という組子技術(釘を使わずに組み合わせていく技術)が活用されている。会議室などには、洋風な家具を配置するなかで壁紙に和紙を用いたり、ラグに畳みをイメージしたTwitter Japanがオーダーメイドしたオリジナルのものを用いた。会議室は鳥の名前。大会議室の脇にはゲームスペースがあり、その一画には、Twitter Japanオリジナルのプリントシール機まで設置されている。

プリントシール機
説明会は大会議室で行われた
お馴染みのアイコンをあしらったケーキも

関口 聖