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HTCのSIMフリー端末戦略「デザイン、機能、サポートで“格安市場”を変えていく」

今後は旬なグローバルモデルを最適なタイミングで投入

 HTC NIPPONは、SIMロックフリーのAndroidスマートフォン2機種「HTC Desire EYE」「HTC Desire 626」を10月中旬に発売する。10月1日には都内で記者向けの発表会が開催され、SIMロックフリー端末を投入する同社の戦略や、端末の特徴的な機能などが解説された。端末については別記事を参照されたい。

「HTC Desire EYE」
「HTC Desire 626」

グローバル市場でも高機能化・低価格化への要望

 発表会では台湾HTCの北アジア統括代表取締役 ジャック・トン氏がまず登壇し、HTC本社の意向を語った。

台湾HTCの北アジア統括代表取締役 ジャック・トン氏

 トン氏は、HTCが2000年代初頭からスマートフォンを投入し、常に新しい技術や製品を投入してきたと振り返った上で、日本市場においては、KDDIとのパートナシップにより日本オリジナルのハイエンドモデルを開発し、多くのユーザーに支持されていることを紹介した。

 一方でトン氏は、「日本に限らず、グローバル市場でもスマートフォン市場は大変な進化をしている。すべてのグローバル市場において、ファッショナブルなデザイン、先進的な機能を搭載し、なおかつ手頃な価格で提供してほしいというニーズが高まっている。HTCは世界のコンシューマーにすばらしいSIMロックフリーのスマートフォンを提供できると信じている。日本のユーザーにも、ぜひ体験してもらいたい」と語り、グローバル市場で進行する端末の高機能化と低価格化の波が、日本のSIMロックフリー端末の市場の拡大と交差する様子を語った。

デザイン・機能、サポートでも差別化

 HTC NIPPON 代表取締役社長の玉野浩氏からは、「HTC Desire EYE」「HTC Desire 626」それぞれの特徴が解説され、SIMロックフリー端末の投入に合わせて提供されるサービスも紹介された。

HTC NIPPON 代表取締役社長の玉野浩氏

 「HTC Desire EYE」は特に、メインカメラとインカメラがどちらも1300万画素のカメラで、さらにどちらにも調色対応のLEDフラッシュを搭載するなど、セルフィーやカメラにこだわったモデル。プレゼンテーションではほかの機種と比較しながら、肌や髪、ホワイトバランスに優れる様子がアピールされた。ゲストを招いたトークセッションでも、合成、同時撮影といったカメラ機能を中心に紹介された。

 デザインについてはファッショナブルであることや「ほかにない」ことが優先され、無難なカラーや配色は、今回のラインナップからはあえて外されている。側面がマットな質感で仕上げられ、「滑りにくく、安心してホールドできる」と、落としにくい点もアピールされている。

 端末の機能とは別に、玉野氏から「一番説明したいポイント」と紹介されたのは、端末の購入に関するサポートの部分。HTCのサービスセンターは、購入前の相談から、SIMカードに関する問い合わせ、購入後のトラブルまでカバーするサポートセンターとして提供される。

 加えてアフターサービスの修理対応は、配送でのやり取りが主体となるものの、国内の拠点で2日以内に作業を行い、最短5日間で返却が可能とする。日本全国では7日間以内の対応を目指す。玉野氏はこの素早い修理体制について「HTCのコミットメント(約束)と思ってもらっていい」と決意を示しており、サポートセンターを含め、購入前・購入後の安心感の部分でも手厚くサポートしていく方針を示している。

質疑応答

 質疑応答や囲み取材では、SIMロックフリー端末の投入が継続されるのか、どういった端末が今後投入されるのかといってた点について多くの質問がなされた。

 「今回はミッドレンジと、我々が言うところの“ミッドロー”の2つ。ハイエンドが出るのかという点については、SIMロックフリー端末の市場を見ながら検討していきたい」と、玉野氏は慎重な姿勢を見せるが、「フラッグシップ端末はキャリアの端末の市場。コンシューマーがお金を払ってでも(SIMロックフリーの)フラッグシップ端末を購入する時代が早く来て欲しい。グローバル市場向けの新製品や旬な端末は、適切なタイミングで投入していきたい。グローバル市場向けのフラッグシップ端末を投入するかどうかについては、日本の市場が熟した段階で、できるだけ早く導入していきたい」と、市場の拡大に合わせて準備していく様子を示している。

 では日本のSIMロックフリー端末の市場規模をどう分析しているのか。玉野氏は「さまざまな情報を元にすると、現段階では、市場で新規に販売されるスマートフォンの一桁%という規模だ。今後、SIMロックフリー端末の販売台数は増えていく。新規販売台数の10%以上を占めるようになれば、ラインナップも揃えやすい」とし、その新規販売台数の10%以上にまで拡大する時期は「来年度の春商戦頃ではないか」と予測した。

デザインや品質で差別化

 「気になっているのは、店頭で“格安スマホ”として販売されるモデルが多いこと。安くないとSIMフリーではないのか。この点を変えていきたい。我々はサポートも提供していく」と、玉野氏は、価格競争とは別の軸で差別化していく意向も強調している。

 ジャック・トン氏も質疑応答の中で、「日本はシーズンごとにキャリアが端末を発表・投入していく非常にユニークな市場。キャリアの端末の間を埋めるような、さまざまなレンジのスマートフォンを提供していきたい。KDDIと共同開発してきた品質基準の高さや、キャリア向けにハイエンド端末を提供してきた技術を、ミッドレンジやアフォーダブル(手頃な価格)な端末に反映できる。その流れで、SIMフリーの新たな市場を作っていきたい」と意気込みを語っている。

 なお、SIMロックフリー端末の投入に関係なく、KDDIなどキャリアへの提供は継続していくとしている。また、国内のMVNO向けに、今回発表の端末を提供していく方針も明らかにされた。

囲み取材に応じる玉野社長

ゲストによるトークセッション

 ゲストによるトークセッションの時間には、HTC DesireシリーズのPR大使として大渕愛子、大澤玲美の二人が登場。先行して試用した「HTC Desire EYE」によるプライベートショットやデモンストレーションが披露された。

太田 亮三