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ソフトバンク宮内社長、生活にスマホをビルトインで「スマホたのしい」

 「いろいろな生活の中にスマホをビルトインしていく。それが『スマホたのしい』」――ソフトバンクの2015~16年冬春モデルの新商品・サービス発表会に登壇した代表取締役社長兼CEOの宮内謙氏は、Androidを中心とした新たな端末ラインナップと新サービスの方向性を、ミニマルなキャッチコピーとともに示した。「スマホたのしい」という訴求は、大掛かりなCM展開も発表されている。

ソフトバンク 代表取締役社長兼CEOの宮内謙氏

 発表された端末のラインナップは、仕様において統一されたメッセージこそないものの、AQUOS、Xperiaなどのハイエンドモデルから「非常に安価なタブレット」(ただし価格は未公表)まで幅広く揃えた。加えて、サプライズ的にGoogleの「Nexus 6P」を日本の通信キャリアとしては独占提供すると発表、結果的にNexusシリーズの新モデル2機種のどちらもソフトバンクグループで取り扱うなど、Androidスマートフォンのラインナップにも特徴を出した。宮内社長として消極的な姿勢を示しているフィーチャーホン型の端末も、2016年春までのラインナップとして3機種を揃えている。

 発表会には、宮内氏の紹介で、世界で8人(Googleの上級副社長の人数)しかいないという、GoogleのAndroid担当上級副社長、ヒロシ・ロックハイマー氏もゲストとして登場。「Nexus 6P」の独占供給に加えて、ソフトバンクのユーザー向けに「Google Play Music」の無料キャンペーンが提供されることをアナウンスするなど、ソフトバンクとGoogleの関係がかつてないほど深まっている様子がアピールされた。

 会社として合併したこともあり、ソフトバンクとY!mobileという2つのブランドについては、ハイエンドモデルはソフトバンク、ミッドレンジや価格を抑えたモデルはY!mobileという棲み分けが示された。政府が介入を示唆した料金施策についても、高市総務相が興味を示している「月間1GB」などの比較的安価なプランは、Y!mobileでラインナップしているというスタンスを改めて示している。

宮内氏(左)とGoogleのAndroid担当上級副社長、ヒロシ・ロックハイマー氏(右)

 宮内氏からは、端末ラインナップの紹介に先駆けて、ネットワークの取り組みについても紹介されている。同社は、総務省が音頭を取って進めている「実効速度」の提示を先取りする形で、理論値ではなく、実効速度で優位性をアピールする方針に切り替えている。端末側を含めたビッグデータの活用によりネットワークチューニングを行っているとし、超高密度マイクロセルの展開で基地局あたりのトラフィックを分散、高速化としてキャリアアグリゲーション対応の基地局が関東一円に広がっている様子も紹介した。

 また、過去にはソフトバンクの社員が調査していたこともある速度調査について、「我田引水と言われるので、第三者のデータを紹介したい」と、イード、リーディア、クロス・マーケティングの各調査結果が紹介され、「北海道と九州・沖縄はまだまだ改善しないといけないが、全国ベースではナンバー1」と自信を見せた。

「日常生活」で活躍する新サービス

 スマートフォンでの利用を中心に据えた新サービスについては、「日常生活で活躍する」というコンセプトを推し進め、「買い物」「ポイント」「健康」「病院」の4つのジャンルで新サービスを発表した(リンク先は各ニュース記事)。

 このうち「スマート病院会計」は、他社が提供しているサービスと連携した仕組みだが、支払いに機能を絞って分かりやすくし、日常生活で活躍するというコンセプトの象徴的なサービスになっている。ヤフーが提供する「かんたん通販アプリ」を含めて、サービス面ではシニア層もカバーしながら、「スマートログイン」などで参加の障壁をなくしたいという、全世代に訴える内容になった。

 「パーソナルカラダサポート」はIBMのWatsonによる解析を活用するアプリで、「スマート体組成計」などの既存の製品も組み込んだ。近年では簡便さなど使い勝手が大幅に進化している、DNAや血液の検査キットなどを活用することで、「個人に最適化」という側面を大幅に強化する内容が特徴。宮内氏は「日本人の平均寿命は83歳だが、健康寿命は72歳と言われている。これを伸ばしたい」と背景を語り、高齢な従業員の健康問題も含めて、“スマホでヘルスケア”に本格的に取り組んでいく姿勢を示した。

「1億総スマホ時代」を確信、PHSの新機種は

 5月の発表会において、フィーチャーホンやそれに類する端末について、宮内氏が「提供しなきゃいけないと思っている」「でも本質的に、最終的に必要ないのではないか」などと回答していたことを受けて、質疑応答の時間には、Androidベースのフィーチャーホン3機種を今回発表した点に質問が及んだ。宮内氏は「不要とまでは言っていない。誇張して書かれた」と主張した上で、以下のように答えている。

 「本質的には、1億総スマホ時代がくると思っている。本気で思っている。ただし、そうは言ってもケータイ、フィーチャーホンのほうがいいんだ、という人がまだいらっしゃる。我々はユニバーサルなサービスを提供しており、スマホしか扱わないというのはできない。力の入れ方はどうかというと、“スマホをどんどん使っていただきたい”」。

 また、PHSの新機種が無い点については、「一時期は一生懸命がんばって伸ばした。しかし(LTEのスマートフォンでも)通話し放題の時代がきている。既存ユーザー向けのサービスは継続していくが、4Gに乗り換えてほしいということ。新機種はあまり出てこないと思う」とし、通信方式としては終息させる方針を示した。

 日本で初めてSIMロック解除の対象になったiPhoneである「iPhone 6s」「iPhone 6s Plus」が9月に発売されたため、6カ月の解除制限期間が明ける最速のタイミングは2016年3月下旬と、春商戦の最中になる見込み。その影響度合いについて聞かれると、宮内氏は「今までを見ていると、(ユーザーにおける)iPhoneのライフサイクルは24カ月か、その少し前ぐらい。(iPhone 6sの購入後)半年経ってすぐに解除する人がどれくらいいるのか分からないが、多数ではないだろう」との見方を示し、「ユーザーにはなるべく長く使ってもらいたい」とした。

 なお、「iPhone 6s」「iPhone 6s Plus」を巡っては、1年での機種変更を促す施策をiPhone取り扱いキャリア各社が導入。宮内社長も9月25日の発売記念イベントで「(買い替えを推奨するのは)商売ベースじゃなく、ユーザーにとって。本当にいろんな機能が入っている。アメリカではもっと早いサイクルで、1年ごとに買い替えられるサービスが登場している」と、1年ごとのiPhoneの買い換えを推奨していた。

 7日にはマイクロソフトが米国で「Surface」の新モデルや、Windows 10 Mobile搭載のスマーフォンなどを発表したが、宮内氏はこれらについて聞かれ「(Y!mobileから6月発売の)Surface 3はいい出だしだと思っている」とするにとどまった。マイクロソフトからはこの日、個人向けにはLTE版のみだった「Surface 3」のWi-Fi版を9日に発売するとアナウンスされている。5月の発表会では「順次やっていきたい」と前向きな姿勢をアピールしていたWindowsスマホについても、「検討段階。スタートするとかはお話できる段階ではない」と積極姿勢は後退している。

太田 亮三