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VAIO、サードウェーブ、トリニティがWindows 10スマホ開発へ

 VAIO、サードウェーブ、トリニティ(NuAns)はそれぞれ、Windows 10 Mobile搭載のスマートフォンを開発する。14日に日本マイクロソフトが開催したイベントで、日本マイクロソフトの平野拓也社長が明らかにした。

サードウェーブ代表取締役社長の尾崎健介氏が手にするWindows 10スマホ

 具体的な提供時期やスペックなどの詳細は今後明らかにされるとのことで、今回は開発する方針だけが示された。

 Windows 10搭載デバイスを提供する各社の幹部が壇上に上がった際には、トリニティ、サードウェーブのほか、Acer、プラスワン(FREETEL)の代表者の手にWindows 10搭載スマートフォンが握られていた。

トリニティ星川氏が手にするWindows 10スマホ「NuAns NEO」
日本エイサー(Acer)代表取締役社長のボブ セン氏が手にするWindows 10スマホ

サードウェーブの「Diginnos Mobile」

 新たに開発を表明した企業のうち、サードウェーブは、スペックを公開しており、本誌の関連記事をご覧いただきたい。今回は「Digginnos Mobile DG-W10M」の実機が披露された。

 5インチのHDディスプレイを搭載し、16GBのストレージを搭載するモデルで、ある程度のスペックを確保しつつ、手頃な価格帯を目指すとのこと。

NuAns NEO

 トリニティでは、これまでiPhone向け周辺機器を提供してきた製品ブランド「NuAns(ニュアンス)」の新製品として、Windows 10 Mobile搭載のスマートフォン「NEO」を提供する。スマートフォンを手がけるのはトリニティにとって初めて。発売時期や詳細なスペック、価格帯は未定で、今後、あらためて案内される。発表会は年内に開催したいという。

 代表取締役の星川哲視氏は、「当社は埼玉県の新座市に拠点を置く、わずか15人ほどの企業。リファレンスモデルを使わず、ゼロから設計した。今回はひとまず開発表明だけ」と説明。NuAnsでは「生活が少しだけ心地良くなるもの」といったコンセプトを掲げてきたが、星川氏にとっても手に取りたくなるスマホがこれまで存在しておらず、それならばいっそ、と自社で手がけることにしたという。

 ユーザーインターフェイスは、Windows 10 Mobileそのままで、外観のほか、現在準備中の他の部分で差別化を図っていく。その“他の部分”が周辺機器、ソフトウェアなど、どういった分野なのかは、今後の発表会で明らかにする。

 14日に披露された「NEO」は、星川氏の手にずっと握られ、報道陣も触れることはできなかったが、複数のカラーバリエーションがあるなかで、その1つにはボディの下半分が木目調にデザインされたものもある。プリントか、合板など木材かと問うと、星川氏は詳細は今後、と断わった上で「素材を含めて本物をご用意する。(木目調のものに限らず)今までにないものを提供する」とコメント。「NEO」の対応周波数は日本市場向けに対応しているとのこと。

VAIOはB2B向け

 今回、モックアップを含め、スマートフォンの姿は一切披露しなかったVAIOだが、広報担当者によれば、法人向け端末として現在、開発を進めているとのこと。

 日本通信から発売された「VAIO Phone」はいわばライセンスを供与する形だったが、今回はVAIO社自身が手がけるモデルで、「VAIO社として初めてのスマホ」という位置付け。スペックとしてはミドルクラスになるとのことで、法人向けとあってContinuumもサポートすべく検討している。発表会は2016年早々になる見通し。

AcerのWindowsスマホが日本市場へ

 グローバルではWindows 10 Mobileを披露していたAcerが今回、正式に日本市場へWindows 10 Mobileスマホを投入することを明らかにした。

 ただし機種はまだ未定。今回は「Liquid M330」という機種が披露されたが、これも日本向けに提供されるかどうか、正式には決まっていないとのこと。M330はコストパフォーマンスを特徴の1つとしつつ、オーディオ面にもこだわった機種になるという。

ジェネシスが参考出展

 geeneeブランドでAndroidスマートフォンを展開するジェネシスでは、今回、会場にWindows 10 Mobileスマホ「WPH-451」を参考出展。背面はブラックでヘアライン加工が施され、側面はゴールドと、落ち着いた色彩を採用した。

FREETEL「KATANA 02」

 「KATANA 02」は、FREETELブランドで提供されるWindows 10 Mobile。プラスワンマーケティングでは9月、スペックを発表しており、5インチのHDディスプレイ、2GBメモリや16GBのストレージを搭載し、価格は2万9800円となる。

Continuumとスペックの関係

 Windows 10では、利用するデバイスの状況に応じて、ユーザーインターフェイスなどを最適化する「Continuum(コンティニュアム)が目玉機能の1つとされる。たとえばWindows 10 Mobileスマホを40インチディスプレイに接続し、キーボードやマウスを繋げば、パソコンと同等のインターフェイスで表示される。

 この機能はどういったスペックの機種で利用できるか、まだ検証中とあって具体的には示されていない。ただし、「Continuumを使える機種は、プレミアムの一番の形と考えている。当然、ハイエンドのチップセットになることから、端末メーカーがどのチップセットを選ぶかによって異なり、メーカーの意向による」(日本マイクロソフトWindows本部本部長の三上智子氏)とのことで、ある程度のスペックが必要になるようだ。

キャリアとの関係は

 国内では多くの携帯電話が、携帯電話会社(キャリア)を通じて販売される。この点について、今回の会見では特に発表はなかったが、現在、さまざまな議論をしているとのこと。

 また囲み取材で平野氏は「活発に話はしているが、私から今日は(これ以上)コメントしないほうがいいだろう。しかるべきタイミングでアナウンスがあるだろう」と述べた。

Lumiaの国内発売について

 今回の発表会は、日本マイクロソフトのWindowsデバイスにおけパートナー企業が一堂に会した。マイクロソフト自身のデバイスは今回お披露目されず、先だって米国で発表された「Surface」の新モデルは今後、あらためて発表会が開催される見込み。

 海外で提供されているWindowsスマホ「Lumia」シリーズについて問われた平野氏は「当面の間はサードパーティに注力していく。Lumiaの話をできる段階ではない」と短くコメントした。

「今後が楽しみ」

 Windowsスマートフォンを提供するメーカーが拡大したことについて平野氏は「今後が楽しみ。6社同時は、海外にもない」と目を細める。

 また今後登場するであろうWindows 10 Mobileスマホのラインアップについて、日本マイクロソフトは市場に関するアドバイスや情報をメーカーに提供することはあれど、ラインアップ全体の指示やコントロールは行わないという。

関口 聖