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オープンになったdポイント、ドコモ加藤社長「パートナー拡大の軸に」

 11日、NTTドコモは新ポイントサービス「dポイント」を12月1日よりスタートすると発表した。都内で開催された発表会で、同社代表取締役社長の加藤薫氏は、パートナー企業とともに新しい価値を提案するとして、「日本一ワクワクするポイントを皆様へ」とアピールした。

 ポイントサービスの概要については、関連記事をご覧いただきたい。

ローソンへの送客、2.2倍

 dポイントへのリニューアル自体は、今年5月、夏モデル発表会で予告されていた。そこでローソンとの連携が発表され、先行事例として、ローソンでの割引キャンペーンが実施されてきた。

 11日の発表会では、その送客効果として、ローソンにおけるDCMXの利用が2.2倍になったことが明らかにされた。担当者によれば、これまでのドコモポイントは機種変更時の端末代金に充当できることから、DCMXも男性の利用が多かったという。しかしローソンとの提携により、具体的な数値は明らかにされないものの、女性の比率がアップし、顧客基盤として広がりを見せているという。

 なお、これまで提供してきたクレジットカード「DCMX」は、2006年度に200万会員だったが、2015年度上期には約1600万(DCMXが750万、miniが850万人)となり、相当の規模に達している。ドコモユーザーは5400万人存在しており、潜在的なユーザーは4000万人に迫る。さらにdポイントがキャリアフリーになることで、他キャリアユーザーの利用も目指す。

ポイントで他社とのパートナーシップを推進

 ドコモでは、2015年度に入って「+d(プラスディ)構想」を掲げ、異業種他社との連携を推進。多くのユーザーを抱える強大な顧客基盤をベースに、パートナーとの事業へ積極的に取り組んでいる。NTTグループとしても、他社とのコラボを推進する姿勢だ。

 今回の「dポイント」のリニューアルは、ドコモ以外のユーザーに利用できるキャリアフリー化、あるいはドコモ以外の店舗でも利用できるオープン化となっており、+d構想をさらに加速させるもの。会見後の囲み取材でも「(+d構想におけるパートナーシップ拡大の)軸として大きく育てたい」と加藤氏は語る。

リニューアルで複雑になった?

 ドコモでは、dポイントの特徴を「普段の生活でお得」「たくさんためて、さらに特典がお得」ドコモの決済でお得」「ドコモのサービス利用でお得」と4つ、掲げている。dポイントカードを店舗で提示する、あるいはdカード(iD)で決済することでポイントを獲得できる環境を整えて、満足度の向上を図る。

 日々の生活でポイントが貯まるのは「関西出身の私にとってはたまらない」と加藤氏は笑い混じりに語り、その魅力を伝えようとする。その一方で、リニューアルにあわせたキャンペーンが複数存在するためか、加藤氏はプレゼンテーションの冒頭で「少々複雑になっております」、そして終盤では「キャンペーンづくりでこんがらがっています」と述べて、そのお得感をいかに伝えるか、苦心した様を垣間見せる。

iPhoneの影響?

 dポイントへの刷新で、新たにdポイントカードが無料で配付されたり、FeliCaチップ内蔵のdカード(現在のDCMX)が発行される。

 たとえばDCMXでは、かざして決済する形は当初、おサイフケータイ専用だったが、iPhoneの普及もあって、FeliCaチップ内蔵のプラスチックカードを用意してきた。ただしこれまでは希望者だけにFeliCaチップ内蔵カードを発行してきたが、リニューアル後の今回のdカードでは最初からFeliCaチップを搭載することになる。

 こうした流れは、プラスチックカードへの移行を促進するかのような印象を強めたのか、発表会やその後の囲み取材で、その意図について問う声があがる。加藤氏はiPhone普及の影響ではなく、目に見えないアプリやおサイフケータイという形よりも、カードという具体的な物のほうを求める声が強く、両方使えることが重要、と回答。またdカードではグレードの高いdカード GOLDのほうがポイント還元が多いと強調していた。

囲み取材一問一答

――ポイントがオープン化することの影響は?

 +dとしていろんな方とコラボしたい、協創したい。その1つのとっかかり、軸として大きく育てたい。キャンペーンが多く、混乱するが、良い物に進化させたい。

――総務省で料金値下げ関連のタスクフォースが活動している。料金とポイントの関係は?

 総務省のタスクフォースは、ある種、料金(に特化した内容)。企業として健全な発展をしつつ、お客さまの満足度向上と最大化を図るのは企業としての使命。dポイントの広がりとミックスしながら、ドコモを使ってやろうじゃないかという機運が高まるよう、取り組みたい。

――ドコモでは、「id」というクレジットブランドを発行しているが、パートナー企業のブランドで、dポイントとiDに対応した加盟店カードを発行する計画は?

担当者
 検討中です。

加藤氏
 パートナーさんの智恵、お力を借りながら進めたい。

――プラスチックカードを優先する施策を進める理由は?

加藤氏
 具体的な物を持ちたいという声がある。これまでおサイフケータイ、iDはスマートフォン、携帯電話だけだった。どちらかだけというのは不便。どちらもあって選択できることが大事だろうと。提示することで認知が広がるチャンスもあればいいなと思っている。

――iPhoneユーザーが増えてきたことが影響しているのか。

加藤氏
 それはあまり考えていなかった。

――おサイフケータイは日本メーカーの差別化要素になっている面もある。

加藤氏
 dポイントはプラスチックカード、おサイフケータイ用の両方あっていいと思っている。FeliCaベースで長年やってきたが、さらに飛躍したい。

――他キャリアユーザーも使えるようになったことで、目標の加入者数は。

加藤氏
 (冗談めいた口調で)1億くらい目指さなければいけないなと思っています。裏で聞いていた担当者はドキッとしているかもしれないが。

――加盟店にとってはドコモからの送客効果を期待できるということか。

加藤氏
 まさにその通り。私どものお客さまは多く存在し、送客のチャンスがある、ということ。カードも発行しており、全ての資産を活用しながらパートナーとの関係を深めたい。

――そのあたり、パートナーからの反応は?

加藤氏
 わりと良いですよ。あまり(大きな声で)言えませんけども。

――マーケティングデータの活用は?

加藤氏
 いわゆるビッグデータがマーケティングに役立つというのは、我々の顧客基盤とともにパートナーさんにとっては魅力。我々にとっても、パートナーさんのそういったものが魅力。Win-Winでやっていければ。

――おサイフケータイ時代に、マクドナルドと協力関係にあった。今回の取り組みに活かされたのか。

加藤氏
 確かにこれまでマクドナルドさんと浅からぬ関係にあった。そんな中にスマートフォンをベースとしたデータベースマーケティングなどがさらに加速する、そこで関係を深められるのはありがたい。そのあたりお互いの意識は強かったと思う。

――携帯電話料金と合算して支払う「ケータイ払い」はこれまでドコモユーザーだけだったが、今回クレジットカードを登録すれば、ドコモ以外のユーザーも利用できるようになる。

加藤氏
 我々のお客さまが一番大事だが、便利な仕組みであり、日本中のお客さまに使っていただきたいのが最初。クレジットカード番号をあちこち登録するのは、というのもある。

――ケータイ払いではクレジットカードを使えない若年層にも利用できた。今後、プリペイドカードなどを導入する可能性は?

加藤氏
 DCMX miniというサービスでは、デビットカードのように、クレジットの与信がない形で利用できている。指摘のあったプリペイドなども含めて検討している。お楽しみにしていただけたら。

――dカードにゴールド以上のグレードは設けるのか。

 どうしましょう。やっぱり要望があれば作りたいなと思ってるんです。(シニア向けとか? との質問に)これからはそういうものを考えなきゃいけないでしょうね。生活に密着するカードとして展開するならば、いろんな方の要望に対応する必要はあるかもしれない。

――ロールケーキを贈るなら、どなたに?

加藤氏
 それはやっぱり女房ですかね(3つくらい? という問いに)それは怒られます(笑) お互い(お腹周りを指しながら)来てると言ってますから。

関口 聖