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Raspberry Pi 2にもインストールできる「Windows 10 IoT」、5つのメリットとは

 かつて組込機器向けのソフトウェアプラットフォームとして提供されてきたWindows Embeddedの1つとして、今年、「Windows 10 IoT」が仲間に加わった。グローバルでは2020年に250億ものIoTデバイスが登場し、その市場規模は1.7兆ドル(約210兆円)にまで膨れあがる、と調査会社が予測するなか、Windowsのサービス化を図るマイクロソフトは17日、説明会を開催し「Windows 10 IoT」のメリットをアピールした。

3つのラインアップ

 IoTと一口で言っても、「Windows 10 IoT」がカバーする範囲は広い。コンシューマー向けでは、個人宅向けのスマートロック、家電コントローラー、気象センサーなどがIoT機器としてイメージされやすいが、マイクロソフトでは、IoTの主流ばB2B(企業向け)になると指摘。そこで「Windows 10 IoT」では、POSレジや業務用のタブレット、物流の現場で活躍するハンドヘルド端末、そしてマイコンボードと、さまざまなデバイスで利用できるようになった。

 もっとも、1つのバージョンでそれら全てのデバイスをサポートするわけではない。一般的なWindows 10に近く、タブレットなどでの利用が見込まれるのが「Windows 10 IoT Enterprise」。Windows 10と比べて、不具合の修正は自動的に行われるものの、将来的に新機能が開発されても、それが自動的にインストールされることはなくユーザーにとっては、一度固めた仕様のなかで継続的に業務で活用できる。そのサポート期間が10年に及ぶのも、業務での利用にあわせたものだ。

 「Windows 10 IoT Mobile Enterprise」はWindows 10 Mobileに近いバージョンで、ハンドヘルド端末での利用を想定したものだが、「Windows 10 IoT Enterprise」がx86プロセッサで動作するのに対して、「Windows 10 IoT Mobile Enterprise」はARMプロセッサで動作し、丸1日、外出先で使う、といった場面でも信頼性の高い環境を提供するプラットフォームだ。

 そして「Windows 10 IoT Core」は、組込機器向けのバージョンと言えるもので、自動販売機やカメラ、プリンタ、あるいは開発/マイコンボードで動作する。

5つのメリット

 「Windows 10 IoT」には、高い投資対効果や、既存設備との統合、セキュリティなど5つのメリットがある、とマイクロソフトでは説明する。たとえば投資対効果とは、デスクトップ向けやモバイル向けなど、バリエーションがあるWindows 10では、1つのアプリを開発する際、さまざまなデバイスで利用できるようユニバーサルWindowsプラットフォーム(UWP)という環境が採り入れられた。Windows 10 IoTもまた、その恩恵を受けることから、アプリの開発コストを抑えられる、という主張だ。

 メリットの1つとして業界標準プロトコルへの対応も挙げられている。これはクアルコムが主導する規格「AllJoyn」に、Windows 10が対応しているため。AllJoyn対応機器同士であれば、端末同士が直接繋がって、通知を送ったり、操作をしたりできる。IoT関連ではさまざまな規格が提唱されているが、マイクロソフトではその1つであるAllJoynにコミットすることで、業界標準のポジションを狙い、メリットを生み出そうとしている。

 17日の説明会では、さまざまなWindows 10 IoT対応デバイスが展示されていた。Windows 10 IoT Enterprise搭載のタフネスタブレットなどが並ぶなか、開発ボードの「Raspberry Pi2」や「Dragonboard 410c」は、気象センサーと接続してリアルタイムで気象情報を表示したり、ドローンのコントロール部として搭載されているところが紹介されていた。18日~20日には、パシフィコ横浜においてIoT関連の展示会「IoT Technology 2015」が開催され、そのなかで「Dragonboard 410c」などが展示される。

関口 聖