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低容量/低廉な料金の新設と、実質0円補助の抑制を〜総務省タスクフォースとりまとめ

高市大臣「早急に対応する」

 安倍晋三総理大臣の指示を受けてスタートした、総務省での有識者会合「携帯電話の料金その他の提供条件に関するタスクフォース」が16日、開催された。5回目の会合となり、これまでの議論をとりまとめ、今後どういった取り組みが求められるか、方向が示された。

高市総務大臣

 会合ではまず、とりまとめ案が示され、それに対して構成員が意見を述べていき、最終的に案が了承された。携帯電話料金や端末割引の在り方などに大きく踏み込む内容となった一方、実現するかどうかは事業者の自主性次第といった形で、「実際どうなるかが課題」(全国地域夫人団体連絡協議会の長田三紀氏)など、実効性を疑問視する声が挙がる。これに対し、会合に出席した高市早苗総務大臣は、会合の終盤、「速やかに対応する」と語気を強めてコメント。何らかの形で、事業者へ強く迫ることを示唆した。

高市総務大臣
「10月の第1回からタイトなスケジュールで進行し、構成員の方々は開催日以外にも検討を重ねてこられた。感謝している。本日、とりまとめとなって、1つはライトユーザー、長期ユーザーの負担軽減。もう1つが端末価格の適正化。そしてMVNOのサービス多様化ということ。これらについて方向性を示していただいた。議論にもあったが実効性が重要。これまでと同じというわけにはいかない。総務省としては、政府としての対応、方針を速やかに策定する。私どもの目的は生活インフラとしての携帯電話がもっと使いやすくすること、そして競争の質を(端末価格から料金プラン・サービスへ)変えていくいうこと。サービスや料金の面で、多様性があって、わかりやすくていいと国民のみなさまが、より安心して携帯電話を使っていただけるよう、しっかりした方針を策定して取り組んでいく」

低容量プランの検討求める

 とりまとめでは、大きく3つの分野で課題があり、それぞれの方向性が示されている。

 1つは「利用者のニーズや実態を踏まえた料金体系」で、これはライトユーザーや長期契約のユーザーに関するもの。ライトユーザーや長期契約ユーザーへの負担が大きくないか、といった指摘を受け、既に子供向けやシニア向けで提供されているような料金プランを参考にしつつ、そうした年齢や機種に縛られない料金プランを検討すべき、との方向を打ち出した。

 「低容量のデータ通信プランの低廉化」「より少ないデータ通信容量プランの創設」などが例として挙げられているが、具体的な内容は各社に委ねるべき、とされている。また各社の料金プランがユーザーの実態にマッチしているかどうか、不公平さを是正できているかどうか、総務省が事後的に検証すべき、とされている。

 地域夫人団体連絡協議会の長田三紀氏は、「ライトユーザー向け料金となるが、実際どうなるかが課題」と指摘。また平野晋 中央大学総合政策学部教授(主査代理)は「透明性の確保が必要だと明らかになった。とりまとめでそこまで触れたのは非常に大きな進歩」と評価した。

数年かけて適正化を

 2つ目は「端末価格からサービス・料金を中心とした競争への転換」で、特にMNP(携帯電話番号ポータビリティ)での勧誘で、「実質0円にするような高額な補助(奨励金)は著しく不公平でMVNOの参入を阻害する恐れがあり、補助を適正化する一方、補助を受けないユーザーの料金負担軽減に取り組むべき」とされた。

 また型落ちとなった機種の購入補助(割引)も対象にするかどうかは、端末の流通に与える影響が大きいと考えられるため配慮すべき、とされている。

 こうした点について、構成員の1人で、野村総合研究所(NRI)上席コンサルタントの北俊一氏は「今回の方向性で、どういう報道になるか危惧している。実質0円にするような高額補助の是正という点を受けて、『もう0円端末がなくなる』『端末価格が高騰する』といった反応が出てくるのではないか。だが、そもそも高騰ではなく、元の価格に戻るということ。0を潜るような(キャッシュバックになるような)補助が対象で、0円に慣れているかもしれないが、それは世界的に見ても異常であり、少し是正しましょうという話。では、どれくらい是正されるのか、という点は今回のとりまとめでは読み取れない。数年かけて適正にしていく。そのプロセスのはじまりと捉えて欲しい」と解説する。携帯電話市場へ急激な変化をもたらそうとしているのではなく、端末価格への割引に加えてキャッシュバックにまで行ってしまうような施策を取りやめるべきとの考えを示す。

 また同氏は、型落ち端末についても「どのタイミングで行うのか。毎年、年度末は“お祭り”(春商戦のこと)になるので、その前から実行するのか」と問いかける。最終的には、型落ちの機種もキャッシュバックのような過剰な奨励金はなくすべき、との考えを示しつつ、こちらも段階的に取り組みを進めていくべき、とする。

 これに関して平野教授は、「消費者保護の問題、持続可能性の重要性から、新品の出し過ぎは資源のムダではないか。在庫の解決などに繋がるのではないか」と語った。

MVNO進展、中古市場も

 3つ目の分野は「MVNOサービスの低廉化・多様化を通じた競争促進」で、このところ総務省が積極的に進めてきたMVNOによる競争促進にまつわるもの。ここでは、MVNOに対して、大手携帯各社(MNO)が加入者管理機能(HLR/HSSという装置)を開放すべき、とする。さらにユーザーの選択肢をさらに拡大するため、「中古端末市場の発展が望まれる」という方向も打ち出された。

座長役の新美氏「改善命令出せる道筋つけた」

 会合終了後、座長役(会合主査)を務めた新美育文 明治大学法学部教授は「競争という抽象的な概念の外枠を示すことができたのではないか。事業者もそれなりの具体的な提案が出てくるだろう」と期待感を示す。

新美教授

 ライトユーザーや長期契約ユーザーへのプランについては、「各社がビジネスとしてどういうプランを出すのか考えて欲しい。一律に1GB〇円ということではない。5000円以下と資料で触れたが、あくまで例として出しただけ」と説明。

 さらに端末価格への高額な補助金(割引、キャッシュバック)については、「これまでのビジネスを急に変更するのは難しいかもしれないが、総理大臣の意見をもとにかなり強い覚悟でもって、行政の指針としてウォッチしていくことが示されたと思う。既にNTTドコモもキャッシュバックをやめると、ある意味、公にした。他の2社のフォローも期待している。今回は(電気通信)事業法の第一条が根拠になっており、改善できなければ改善命令を出すという道筋を示せたことが大きい」と位置付けた。

 タスクフォースが開催されてきたこの3カ月、事前の報道などで「大手キャリアでの1GBプラン導入」「端末割引・キャッシュバックの廃止」などが取り沙汰されることになった。16日に示されたとりまとめは、一定の道筋をつけつつ、強制力はない形で、ガイドラインなどで行政から各社へ実行を迫るものと見られる。高市大臣の言葉の通りであれば、ごく近い時期に、その具体的なアクションが披露されることになりそうだ。

(関口 聖)