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総務省が3キャリアに値下げと販売適正化を“要請”

高市総務大臣が3キャリア社長に要請書を手渡し

 総務省は、12月16日にタスクフォースが取りまとめられたことを受け、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社に対し要請を行った。18日午後、総務省には3キャリアの社長が呼ばれ、高市早苗総務大臣から要請書が手渡された。

 各キャリアの社長に要請書が手渡される際、高市総務大臣から読み上げられた内容は以下の通り。

 「総務省は本日、スマートフォンの料金負担の軽減および端末販売の適正化に関する取り組み方針を公表したところです。ついては、この取り組み方針を踏まえ、貴社におかれては、スマートフォンの料金負担の軽減、および端末販売の適正化に取り組むとともに、取り組み状況について、総務省に報告することを要請します。詳細についてはお渡しする要請文の通りです。総務省としては今後、新たにガイドラインを策定するとともに、各事業者の取り組みをフォローアップしていくこととしており、貴社におかれては、しっかりとした取り組みをお願いいたします」

要請書の概要を読み上げる高市総務大臣と、NTTドコモ 代表取締役社長の加藤薫氏
ソフトバンク 代表取締役社長兼CEOの宮内謙氏
KDDI 代表取締役社長の田中孝司氏
NTTドコモ 代表取締役社長の加藤薫氏

高市総務大臣「競争の質を変えたい」

 高市総務大臣は要請文を手渡した後、短い時間ながら、報道陣からの取材にも応じた。冒頭に高市総務大臣は、「しっかりと要請を受け止めていただいた。今後、多くの利用者にとって、納得感のある、また分かりやすい料金体系・サービスが実現することを期待している」と挨拶。要請を受けた各キャリアの反応については、「各社とも要請の趣旨について理解いただけた」とした。

 一般ユーザーが変化を感じられるのはいつかという質問には「実際にいつから新しい料金プランを導入されるのか、どの程度のものになるのかは、それぞれの事業者の経営戦略上の判断。時期について話をしたわけではないが、今後、総務省としては、ガイドラインを策定し、事業者には年が明けてから取り組みの状況をうかがう。その後は、販売店の状況も見せていただくことによって、フォローアップしていく」と回答。具体的な料金プランは各キャリアに委ねる一方、販売店の状況についてもチェックしていく方針を示した。

高市早苗総務大臣

要請は「電気通信事業法の目的が達成できていない」から

 料金については、長年に渡って自由化や競争環境の促進が取り組まれてきた中で、直接的に料金の要請をするのは自由化などに“逆行”しているのではないかと問われると、高市総務大臣は「電気通信事業法第一条に規定された目的の中で、“公正な競争の促進”、“利用者の利益の保護”、これを私達はしっかりとしていかなければいけない。現状を見ると、ライトユーザーや長期ユーザーの負担が非常に重くなっていたり、乗り換えを頻繁にされる方に対して過剰な補助金が出されていたり、分かりにくくなっている。健全な市場の競争のあり方ではないように思う。多くのユーザーもそう思っているのではないか」と理由を挙げ、「電気通信事業法の目的が達成できていない場合に、行政として手を講じるのは必要なこと」とした。

 「私達は、競争の質を変えたいと考えた。最新の、非常に高価な端末が、実際には(本体価格と)同じくらいの割引によって手に入る。これは決して健全な形ではない。歪んだ形だと私は思う。今回の要請を受けて実行されると、ライトユーザー、長期ユーザーにとっての負担は軽くなっていくだろうと考えている。ヘビーユーザーもいるので、それぞれの人のニーズにあったプランを提供していただければと思う」。

 高市総務大臣は「生活インフラとしてのスマートフォンが、もっともっと多くの人に持ってもらえるように、より多くのスマートフォンが売れて、消費者にとっても分かりやすい形ができていくのが、目指している姿」とも語り、タスクフォースなど一連の取り組みの方向性を示している。

ソフトバンク宮内社長、ソフトバンクのプランで「前向きに検討」

囲み取材に向かうソフトバンク 代表取締役社長兼CEOの宮内謙氏

 ソフトバンク 代表取締役社長兼CEOの宮内謙氏は、総務大臣から要請文を受け取った後、報道陣からの取材に応じた。

 要請の内容については、「1GBプランをしっかりと出して欲しいということ。それから、新規やMNPだけでなく長期ユーザーも安くつかえるように、そういう要請。僕らとしては、ユーザーにとって不利にならないように前向きに対応していきたい。いろいろなユーザーニーズに対応するということ」と説明。

 「ワイモバイルでは1GBもずっと前からやっている。ただ、ソフトバンクでもあまり使わないユーザー向けに1GBのプランを作るということ。やっぱりカスタマーファーストだから」と、ソフトバンクとして新たな料金プランを追加していく方針を示した。(1GBで)5000円以下のプランはいつから? という問いには「これはね、今、思案中」と回答。

 キャッシュバックの抑制については「元々私もそう思っているが、激しい競争の中でこういうことが生まれてきた。できるだけキャッシュバック戦争をしないような方向に努力していきたい。ただしこれは競争環境の中で、非常に難しいところだが、私はやっていけると思っている」とした。

 2年契約と毎月の割引で、高額な端末でも実質0円とする販売方法については、「少しずつ形が変わってくると思う」とする。宮内氏は米国の通信事業者の例を挙げ、競争の中では北米のような完全な分離型になっていく可能性もあるとしている。

KDDI田中社長「持ち帰って考える」

要請書の受け取りを終えたKDDI 代表取締役社長の田中孝司氏

 KDDI 代表取締役社長の田中孝司氏は、総務大臣から要請文を受け取った後、報道陣からの取材に応じた。

 「だいたいのことは予想していた通り。改めて大臣から聞いて、持ち帰って検討しますとお答えしたところ。驚きというより、メディアで報道されているような内容の指導をいただいた」と田中氏は要請を受けた後の感想を語る。

 具体的なプランについては「いろいろ検討してきたが、まず、持ち帰って考えるしかない。指導内容に基づいて検討していく。ここで(1GBで)5000円と言ったって仕方ない」と、これから検討していく方針。

 “要請”が業界と競争環境に与える影響については「それなりの影響はある。事業者、端末メーカーもそう。ユーザーの受け止め方をもう少し分析してから対応を考えていく」と、一定の影響があるとする。

 「具体的に要請を受けたのは、ライトユーザーに対し、何かしら考えなさいということ。ライトユーザーは個人だけでなく、いろいろなユーザーがいる。具体的なことはここで言えないが、ユーザーがどういう使い方をしているか、要請された内容ともう少し考えてから。今日の時点でこうする、というのは決まっていない。いつから開始するかとかを発表するのは、もう少し時間がかかる。春商戦の前にやるべきなのか、後なのか、もう少し考えたい」

 長期ユーザーへの対応は料金の割引なのかという問いには、「複数のやり方がある。今日、指示をいただいたので、考えたほうがいいと思っている」。

 キャッシュバックについては「指導内容はあの通り。なんらかのアクションはとらなければいけないと思っている。申し訳ないが、今日は(具体策を)何も言うつもりはない」とした。

 端末価格で、“実質価格”が上がっていくとの見方については、「販売奨励金を減らせば、実質○○円という価格は上がっていくことになる。今日、具体的な程度や時期に指導があったわけではない。ユーザーがどう思うのかは重要で、市場の変化もみないといけない。今日この場で、どうだ、というのは決めていない」。

NTTドコモ加藤社長、「新料金プランにどのような多様性を持たせていくか」

要請書の受け取りで入室したNTTドコモ代表取締役社長の加藤薫氏

 NTTドコモ代表取締役社長の加藤薫氏は、総務大臣から要請文を受け取った後、報道陣からの取材に応じた。

 「真摯に受け止め、検討を始めていく」と感想を語った加藤氏。ライトユーザー向けプランの導入が収益に与える影響を聞かれると、「まだ(要請にあった)ライトユーザープラン云々は考えていないが」とした上で、自社のプランについて「現状は、ユーザーが自由に設計でき、月々の結果に基づいて選択できる。その結果としてアップグレードが起こって、(収益の)回復が順調に進んでいる。新料金プランの導入で“競争ステージを変えたい”と考えた。それに、特徴のある料金プランを理解してもらい、末永くお付き合いいただきたいという趣旨で導入した。ユーザーにも理解してもらい、いい方向に動いている。家族でパケットをシェアして、うまく融通するのが定着している。確かに利用が1GB以下のユーザーもいるが、スマートフォンで1GB前後のユーザーのうち6割はシェアをうまく使っているという実態もある。この特徴にどのような多様性を持たせていくのかも考えていきたい」として、新料金プランをベースに、対応していく方針を示している。

 報道陣から「一部報道でキャッシュバック廃止の方針を固めると報じられているが?」と問われると、「まだ何も決めていないが、今日の要請にどのようにこたえていくか、これから具体的なことを検討していく」とした。

 そのキャッシュバックについては「競争環境にあって、仕方なく(キャッシュバックに)対応することもあったが、去年の4月に新料金プランを発表したときに、競争ステージを変えたい、不健全なキャッシュバックをやめたいと、ずっと申し上げてきた。もうすこし徹底すべきところはあるだろうが、きちっとやっていきたい」と、すでに抑制していた取り組みを強化していく方針。

 ドコモは折にふれてキャッシュバック廃止を表明していたとあって、総務省の要請は「渡りに船か?」と問われると「そうではないが、私どもの方向性と一致している部分はあると思う」とした。

(太田 亮三)