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Gooute、日本デザインのスマホ「ARATAS」を新興国で提供

 シンガポールに本社を置き、元ニフティの横地俊哉氏がCEOを務めるGooute(グート)は、スマートフォンの外観デザインやホームアプリ、コンテンツを、スマートフォンメーカーに提供する取り組み「ARATAS(アラタス)」を本格的に展開する。今春から、ARATASのプロダクトを搭載するスマートフォン2機種が登場する。

K01(左)とK02(右)
K01
K02

 ARATASのスマートフォンとして発売されるのは「KAZE01(K01)」「KAZE02(K02)」の2機種。どちらも1.3GHz駆動のクアッドコアCPU(Mediatek製)や1GBのメモリ、8GBのストレージ、1280×720ドットの5インチディスプレイを搭載するAndroid 5.1スマートフォン。LTEに対応したミドルクラスの機種に位置付けられる。K01の価格は160米ドル、K02は140米ドルと想定される。

K01の外観とスペック
4インチディスプレイのN01(左)。今回はモックアップが披露された

 さらにK02をベースに、4インチディスプレイに採用した3G端末「NAMIシリーズ」の「N01」として80米ドル程度で提供される予定。

 販売エリアは、インド、インドネシア、フランス、フィリピン、スペイン、シンガポール、台湾、香港、マレーシア、バングラデシュ、ベトナム、南米、北米。海外での実績を踏まえて日本での取り扱いも検討される。元amadanaデザイナーの鄭秀和氏が外観デザインを担当し、約10カ国で年間30〜50万台、販売される計画。

 Gooute自身はメーカーではなく、デザインやUI、マーケティングを提供する立場。第1弾の「KAZE01」「KAZE02」は、中国・深センに拠点を置くキングテックモバイル(Kingtech Mobile)社が製造・販売を手がける。

K02の外観とスペック

 ユーザーインターフェイスはARATAS UIと名付けられ、デザイナーの河田彩氏らが担当。着信音や起動音などは、音楽家の谷口尚久氏が手がける。

 Goouteでは、あわせてニュースなどのコンテンツを各国語で提供するアプリ「ARATAS NET」も展開する。ARATAS NETでは、インドに拠点を置き、グローバルでモバイル向け広告配信を手がけるインモビと協力する。アドテクノロジーの開発・投入や広告在庫のコントロールはインモビが担当しつつ、ユーザーの利用履歴などをGooute側が管理し、ダイレクトなターゲティング広告を展開できる素地を用意する。これにより、ODMメーカーが不得手なコンテンツ面をサポートし、メーカーも広告での収益を得られるような体制を提供するとのことで、既に5〜10社での採用が決まっている。

5000万台〜1億台の搭載を見込む
経産省の石井氏

 特に中国以外の新興国に向けてスマートフォンを提供するメーカーは、コンテンツ面の取り組みが「担当者が社内にいないレベル」(横地氏)とのことで、Goouteからすればもったいない、と感じたという。こうした企業への採用によって、2016年内には5000万〜1億台の搭載を見込む。

 プレゼンテーションの終盤には、日本のベンチャー企業の支援に向けた政策に携わる、経済産業省 新規産業室調整官の石井芳明氏も登壇し、Gooute社の事業へ期待するコメントを述べた。

日本発が付加価値に

 本社はシンガポールながら、日本発で世界にチャレンジすることを目指して設立されたというGooute。その企業名は世界に手をかける、という意味で「Go 王手」からとられたものだという。

 昨夏の段階で、日本から世界を目指すという方針自体を正式に打ち出してチャレンジしてきた同社の活動の背景には、「世界のスマートフォン市場の多くはAndroidが占めるものの、利益は薄い」という現状がある。大規模な開発研究部門が必須だった携帯電話メーカーも、今は製造自体を請け負う、いわゆるODM/OEMの中国メーカーが爆発的に増えた。そうした状況下では、ODM/OEMメーカーは、1000万台規模でグローバルに端末を出荷するものの、端末価格の競争が激しく、利益を得ることが難しい。そうした企業をターゲットに、外観デザインやユーザーインターフェイス、コンテンツといった付加価値を提供する、というのがGoouteの目指すところ。

 こうした取り組みは、日本市場で展開する国内外のメーカーにとっては当然のものであり、日本のユーザーにとっても目新しさに欠ける。それでも、中小規模のメーカーにとっては、カバーしきれていない領域であり、また、「日本でデザインされた(Designed in Japan)」ことを示す刻印がある、ということも付加価値になるのだと横地氏。

 最初のパートナーとなるキングテックモバイルも、グローバルのスマートフォン市場では10位に手が届くかどうか、という規模だが、デザイン性やコンテンツでの取り組みが評価されたことで、採用に至ったのだという。

ODMメーカーが販売

 スマートフォンの販路について、横地氏はキングテックモバイルの場合、キングテックモバイル自身の製品として提供されるケースと、各国にあるメーカーに向けてキングテックモバイルがODMとして製造を請け負うケースがある、と説明。つまりキングテック自身が販売するものと、各国の企業が持つ販路を通すものがあるのだという。これは、「日本の大手携帯会社が、ソニーさんのXperiaを販売する場合、キャリアのロゴとXperiaのロゴが端末に入る。これに似ている」と説明。端末が売れれば、Goouteにとってはライセンス料が収入になる。

 海外で展開する場合、インドネシアやインド、ベトナム、バングラデシュなど、国によって事情が異なる。既にキングテックのように既に各地で活動しているのであれば、既に培われているノウハウを活かして流通させる。

 新興国で低価格スマートフォンを展開する上で、先進国の企業ほど、知財面での意識が高くないのは事実、と横地氏は率直に認めつつ、著作権に隣接する権利を含めて、各国でデザインやサウンドなどの知財を保護する手続きを進め、シンガポールにある法務チームで対応する体制を整えているという。

日本市場は「数が少ない」

 ARATASの製品を採用するスマートフォンが日本で展開するかどうか、横地氏は「今、格安SIMなどの流れがあって、引き合いはある」としつつも、MVNOなどから受注しても数千台程度の規模しか販売が見込めないため、今夏以降の展開を検討しているのだという。

 特に第1弾のKAZEシリーズを製造するキングテックモバイルは、ある程度、海外で販売実勢はあるものの、日本での知名度はないに等しい。そうした中、コストのかかる技適マークの取得などを行って、さらにわずかな生産規模で日本市場へ参入するのは厳しいと判断。まずは引き合いのある新興国マーケットをターゲットに、5万台という規模を1つの目安に参入。今回、製品を展開するエリアとして発表されたインド、インドネシアなどは、引き合いがすでにあるエリアという。

 横地氏は「中国を中心に、シャオミのような企業が成長している。でも、さまざまな課題があってシャオミも日本にまだ参入していない。せっかく日本で生まれたんだから日本でも使ってみたい、とARATASが捉えられるようになれば日本でも展開していく」と語る。ただ、今夏展開する場合は、KAZEシリーズでいくのか、あるいはK02をベースに100米ドル以下の価格帯となるNAMIシリーズにするのかなど、実際に日本で展開する商品はまだまだ検討している段階とのこと。

(関口 聖)