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富士通、IoT機器の組込ソリューション「ユビキタスウェア」を提供開始

 富士通は、法人向けのIoTソリューション「ユビキタスウェア」の新製品を、2月下旬に提供開始する。20日より検証用キットのレンタルパック「ユビキタスウェア パイロットパック」の提供を開始した。

「ユビキタスウェア」のコアモジュール

 ユビキタスウェアは、位置情報や生体情報などを取得するセンシングモジュールと、それを分析するクラウド上のアルゴリズム(ミドルウェア)を組み合わせて利用する組込ソリューション。企業などの法人ユーザーが自社のアプリケーションに組み込んで利用する。工場や倉庫での作業員の状態管理や効率化、農作業や学校での熱中症対策など、さまざまな分野で活用できる。

 同社は、2015年3月には、核となる部品をまとめた「コアモジュール」と、コアモジュールを搭載したヘッドマウントディスプレイの開発を発表している。今回新たにコアモジュールが組み込まれたセンサーデバイスが発表された。

 ユーザー企業が自社で開発したデバイスにコアモジュールを組み込んで使うこともできるが、今回発表されたデバイスを利用することで、センシングデバイスの開発や検証にかかる期間を省略して、アプリケーションの作りこみに注力できる。

コアモジュールが組み込まれたデバイス「ロケーションバッジ」
コアモジュールにパルスセンサーを追加した「バイタルセンシングバンド」

 コアモジュールは、携帯電話向けに搭載しているセンサーを制御する「ヒューマンセントリックエンジン」(HCE)を活用し、組込機器で利用しやすい形にパッケージしたもの。ヒューマンセントリックエンジンの制御LSIに加え、加速度、気圧、地磁気、ジャイロ、マイクといったセンサー、Bluetooth Low Energyの通信機能を搭載している。単体でセンサー情報を外部に出力できるほか、接続した外部センサーの制御も行える。

 センサーで取得した情報はコアモジュールとスマートフォンなど外部の通信機器を経由してクラウドサーバーに送られ、アルゴリズムを通してエンドユーザーの状態を「見える化」できる。アルゴリズムではAIを活用した分析技術が応用されており、活動量や健康状態、転倒、熱ストレス度などといった全68種類の情報として提供する。

 「ロケーションバッジ」と「ロケーションタグ」は、コアモジュールにGPSを追加で搭載。ビーコンを利用して屋内空間での、誤差30cmのリアルタイム位置情報把握にも対応している。工場でのラインの効率化や、病院での看護師の状況把握などに活用できる。

「ロケーションバッジ」で銀行員のカウンター内の動きを見える化
「ロケーションタグ」で取得した倉庫内の移動データをシュミレーションと比較することで、効率改善に活用できる

 「バイタルセンシングバンド」は、パルスセンサーを追加したデバイス。腕に巻いて利用することで、着用者の状態を把握できる。作業員や急に倒れた場合に警報を鳴らしたり、学校で運動中の生徒の熱ストレスの状態を把握したりといった用途への利用が見込まれている。

工場で作業員が倒れた時に場所と位置情報付きの合わせてアラートを出す
農作業者の状態を把握するサービスへの応用

 「リモートケアベース」は、高齢者向けの見守りデバイス。コアモジュールに加え、話し声や咳といった生活音や、人感センサー、温湿度計などを搭載し安否状態の確認、緊急時の通話などの機能を持つ。

 「わんダントチャーム」は、ペットの犬に着用するセンサーデバイス。首輪や犬用の服などにつけることで、犬の歩数や運動量、体の震えなどの情報を知ることができる。部屋に置く「わんダントステーション」では、カメラで部屋の様子を撮影したり、温湿度センサーで環境を把握し、異常があれば通知できる。

犬の背中につけた2つの「わんダントチャーム」でペットの状態を管理

 これらのセンシングデバイスは、法人ユーザーのニーズに合わせてそのまま利用したり、外観をカスタマイズしたりして活用できる。また、コアモジュールをユーザーの自社デバイスに組み込み、独自デバイスとして利用することもできる。

コアモジュールを迷子センサーに組み込んだ商業施設での活用例

 富士通では開発に必要な機材一式を2カ月間レンタルして検証できる「パイロットパック」の提供を20日に開始した。パイロットパックでは、専門家による技術相談やシステム設計・構築サポートサービスにも対応し、効果を検証できる。導入価格は個別に決定するが、ロケーションバッジ10個、センサーアルゴリズム、スマートフォン2台、IoTプラットフォーム(クラウド環境)、導入支援サービスが含まれたパッケージ例では80万円〜130万円程度としている。

 実際に利用するためには、クラウドサービスや、エンドユーザーが利用するアプリケーションが必要となるが、トータルソリューションとしてすべて富士通が提供するほか、コアモジュールとアルゴリズムだけを利用するなど、必要なサービスだけを選択して利用することもできる。

 発表会で富士通のソリューションサービスについて説明した富士通 執行役員常務 グローバルマーケティング部門長の阪井洋之氏によると、「ユビキタスウェア」ではマーケティング、交通情報や工場の見える化、見守りなどの8分野で約300件の実証実験を実施しているという。同氏は、2015年内にはパイロットパックの利用数を200〜300件にするという目標を掲げ、2016年には実際の現場に「ユビキタスウェア」を活用したソリューションが投入されるという見込みを示した。

富士通 執行役員常務 グローバルマーケティング部門長 阪井洋之氏
サービスの説明を行った富士通 ユビキタスビジネス戦略本部長代理 松村孝宏氏

(石井 徹)