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料金プラン、端末0円、2年縛りへの対応~ドコモの決算会見で語られた内容とは

業績は増収増益、MNPはプラス傾向に

 NTTドコモは29日、2015年度第3四半期の業績を発表した。前年同期と比べ、増収増益となった業績に加えて、同日発表された料金プランの拡充、あるいは端末の0円販売についてなど、2015年終盤に総務省から要請された内容への対応があわせて発表された。

利用が少ないユーザーに新プラン

 29日にドコモが発表した「シェアパック5」は、データ通信のプランとして、これまでより容量の少ない5GBタイプを提供するというもの。1人で利用できる5GBタイプはあったが、家族とシェアできるものはなく、利用が少ないユーザーに適したものと位置付けられる。

 加藤社長は「分布のなかで、1GB未満の人は確かにいる。でも6割はもはや10GBなどのプランを選択し家庭内のシェアをしている」とコメント。提供の背景として、「総務省からの要請を踏まえて検討した結果、新たなプランを発表することにした。主に家族でシェアして効率的に、無駄なく使えることが特徴」としたほか、「カケホーダイライトを(シェアパック5でも利用できるよう)提供させていただくということで、実質的に5000円以下でお使いいただける環境が整った」と加藤氏は語る。総務省のタスクフォースで示された「1GB/5000円以下」という例を1つの基準と見なす場合、今回の料金面での施策によって、総務省からの要請に応えた格好となり、1月末までとされていた総務省への報告も、今回の内容で申請したという。

 業績面への影響については「カケホーダイライト(が利用できるプランが増えること)もあるので、一定の規模であるだろう」と推測する。その一方で、ユーザーの大半は、多くのデータ通信を行っていることも明らかにされており、ドコモの業績への影響は限定的になると見られ、2015年度通期の業績予想にも変更はない。

 家族でシェアするプランで、1GB/5000円という総務省の要請を満たすことになったドコモ。一方で、1人でも使えるプランを拡充しなかったのはなぜか。加藤氏は「単独も検討はしたし、これからも検討していくだろう。ただ新料金プランはシェアが中心で、家族でわけあえて、長く便利というもの。この基本に戻って拡充を考えた」と述べる。

2年契約、解除期間を2カ月に

 質疑応答の場面で、「0円以下は2月からやめる」と加藤氏は明言(※関連記事)。あわせて、2年契約の解除に関しても、現行の仕組みを変えるとすることも明らかにされた。

「いわゆる2年契約の自動更新は、まずは25カ月目でのお知らせの部分は、現在、(解除料金のかからない)期間が1カ月しかないけども2カ月の幅にする。3月くらいから開始したい」(加藤氏)

 期間拘束契約の解除に関しては、以前より総務省で議論され、携帯各社が対応策の具体化を進めていた。しかし導入が2016年3月と、これまでの準備期間からやや時間が経過する形となる。これは「総務省ではタスクフォースを3カ月で行った。これを優先する、ということだと思っている」(加藤氏)と、総務省側の動きに合わせた結果だという。新たな料金施策を導入することで、料金関連のシステムの改修もそちらを優先することになり、結果として、解除に関するシステム構築が後回しにされたようだ。

MVNOへの加入者設備開放は?

 同じくタスクフォースでは、大手携帯各社が保有する加入者管理設備(HLR/HSS)をMVNOに開放する、といった方針が示された。

 加藤氏は「その機能を備えるには一定の費用がかかる。費用を負担いただくのを大前提で調整しているところ。採用される人が出る出ないがあるだろう」と述べ、前向きに取り組んでいることを明らかにした。

NOTTV、なぜ敗退したのか

 2016年6月末に終了するスマホ向け放送サービス「NOTTV」について、総括のコメントを求められた加藤氏は、以下のようにコメントした。

「ネットで映像を見る習慣が、私どもの想定より早く立ち上がった。それに尽きる。画面の大きなスマホでテレビを見ていただければ大変楽しいだろうと思っていたが、同等のことがネットで見られる。そしてコンテンツもどんどん増えてきた。これが一番大きい」

業績とオペレーションデータ

 2015年度第3四半期におけるドコモの業績は、売上(営業収益)が3兆3835億円(前年同期比1.7%増)、営業利益が6855億円(同16.8%増)で、増収増益となった。

 純増数は301万件で、前年同期(217万件)の1.4倍。MNPは-3万件(前年同期-23万件)と大幅に改善しており、加藤氏は「MNPの転出はだんだん減ってきてありがたい。社内的にも『プラス』にしていこうと言っている。第3四半期はプラスだったが、そんなに大きくなかった。油断はできないが傾向が出てきた。第4四半期は市場が活性化するので油断せずにいきたい。2月から0円以下の販売をやめることで、様相が変わる可能性がある。一番牽引しているのは2台目需要。タブレットの利用が増えている。全体をよく見なければいけない。法人も含んだ数字で、総合的に(第4四半期も)進めていきたい」

 解約率は0.59%(前年同期0.57%)と微増。端末の総販売数は1853万台(同1704万台、9%増)で、そのうち新規の販売は807万台だった。スマートフォンの販売数は1098万台で、前年同期から5%の増加。タブレットは160万台の販売を記録した。

 新料金プランの「カケホーダイ&パケあえる」は1月13日で2700万契約に達した。Mパック、つまり5GB以上を選ぶユーザーが約9割を占める。通信量を使いきって1GBを追加する割合は約3割(購入回数/パケットパック数)だった。このほか、約1年前にスタートした「ドコモ光」の累計申込数は125万件。申込にあわせて、ドコモ光の5割にあたる数がモバイル回線を新規契約しており、家族間で通信量を分け合う「シェアパック」の利用率も5割を超えている。

 12月にリニューアルしたdポイント関連では、カード登録数が12月末で116万件。dポイントクラブ会員は約5400万件となる。クレジットカードの「dカード」は、19万の純増を記録しており、これは前年同期の4倍。契約数は1611万件となった。

 インフラ関連では、下り最大300Mbpsのサービスが全国538都市に拡大。2015年3月下旬に開始されたLTE-Advancedのサービス「PREMIUM 4G」対応の基地局は全国825都市に広がり、基地局数は1万3500局となった。PREMIUM 4G対応基地局は2015年度末までに1万8000局にまで増える予定だ。また最近、各社が開示した実効速度の結果について加藤氏は、上り下りともに他社よりも速い結果とアピールしていた。

関口 聖