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「実質0円禁止は改善なのか改悪なのか」、孫氏疑問を呈す

第3四半期決算、国内通信サービスは「現金の収穫期」

 「頭金で5万円、10万円を払わなくて済むよう、よかれと思ったサービスを『けしからん』と言う人がいるので変えましょうと。でもユーザー目線で見て本当に改善なのか、改悪なのか、私は議論(の余地)があると思う」

孫氏

 こう語ったのは、10日、第3四半期決算の説明会に臨んだ、ソフトバンクグループ代表取締役社長の孫正義氏。総務大臣からの要請により、2月から「実質0円」を自主的に控える動きになったことを受け、質疑応答でその影響を問われたことへの回答だった。

 孫氏は「iPhoneって6万円、10万円する。若い学生さんにとっては負担が大きいのではないか。そんなiPhoneが世界で一番安く手に入る日本。いいんじゃないかと僕は思う。でも、それがいかんと言うんですから、我々はそれに従うと言った。できるだけ実行していきたい」と疑念を呈しつつ、総務省の方針に抗わない姿勢を見せる。

 一方で、孫氏は経営サイドの立場として「むしろ、実質0円で提供するのは経営的には負担が大きい。(割引が減るのは業績に)悪くないのかなと思う」と期待感を示す。

 その上で、ユーザーに向けた施策として「エントリー層にはエントリー向けの価格帯、若年層のヘビーユーザーには〇GB(のデータ通信量)をプレゼントなど、還元する方向で動き始めており、ユーザーにとってもよいことだろう。結果的に、総務省のみなさんが指摘し、意図した方向へ改善されているのではないか」と述べた。

 通信事業を担当するソフトバンク代表取締役社長の宮内謙氏は「1月末まで相当激しいキャッシュバック戦争でしたから、1月末と比べて2月はがくんと減ったように見えるかもしれないが、昨年の2月と比べると激減ではないと思っている。ただ、我々としてはシェアが非常に上がっちゃっているというのが実態」と語った。

好調な業績アピール、国内通信はキャッシュフローを生み出す

 ソフトバンクグループの業績を見ると、売上高は6兆8102億円、営業利益は8753億円となり、どちらも前年同期の実績を上回った。

 通信部門では売上が安定的に推移して、営業利益は5983億円。主要回線のARPUは4720円(うち通信ARPUは4170円)だった。

 こうした業績において、孫氏が課題と指摘したのは解約率。第3四半期は1.41%で、前期(第2四半期)と比べて0.13ポイント増加した。対策として孫氏が期待するのは「おうち割」として提供されるサービスで、宅内向け光ケーブルや電力サービスがそれにあたる。「ソフトバンク光」の契約数は第3四半期で122万件(うち15〜20%がAXGP方式のSoftBank Air)に達した。

 孫氏は、ソフトバンクの携帯電話サービスが整備され、世界有数の繋がりやすさを実現したとの自負を示し、「設備投資のピークは過ぎた」と断言。過去数年間、繋がりやすさを向上するため設備投資を続けてきたが、設備投資の中で大きな割合を占めるという鉄塔建設も予定していたものが一通り建設し終えたとの認識を示す。これにより国内通信事業は「完全な現金の収穫期に入った」(孫氏)として、2014年度の第3四半期時点で36億円だったものが今期は2394億円に大幅に増加。この傾向は今後も続くと孫氏は語った。

スプリント、「本当は売りたかった」

 買収以降、苦境から抜け出せず、会見のたび「改善の兆しがある」と、米子会社のスプリントの状況を説明してきた孫氏だが、今回は純増数に改善が見られ、業績も底を打ったとの見方を示す。

 改善を実現する要素として「純増」「経費削減」「資金調達の多様な手段」「繋がりやすさの改善」といった4点を挙げた孫氏は、たとえば経費削減について、同氏からすれば「じゃぶじゃぶに無駄な経費を使っていた」と振り返り、以前は450項目だったところ、今や750もの項目に渡る“聖域なきコストカット”を進めていることを明かす。

孫氏
「3カ月前(の決算時にも)言ったが、T-mobileの買収合併という最初に思い描いた基本戦略が成り立たないとわかったとき、スプリントを売却したいと思った。しかし買い手がおらず、仕方なく続けた」

 スプリント買収後の苦境をこう振り返った孫氏は、今回披露した施策でスプリントを建直し、さらに発展させるとして、「ダントツの1位になります。自信作としてやっていきます」と笑顔でアピールした。

(関口 聖)