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人工知能で仮想ネットワークの障害を回避、KDDI研究所らが自動運用システム

 KDDI研究所、ウインドリバー、日本HP、ブロケード・コミュニケーションズ・システムは、ネットワーク仮想化技術において、障害を回避する自動運用システムを開発した。スペイン・バルセロナで開催中の「Mobile World Congress」(MWC 2016)のIntelブースにて展示される。

自動運用システムの概念図

 ネットワーク仮想化技術は、従来、専用機器で運用していた携帯電話交換機などの基地局機能を、汎用サーバーでソフトウェア上に実装するもの。ネットワークの状況に応じて柔軟なリソースの配分が可能となったり、コストダウンに繋がったりとメリットがある一方で、機器の劣化やソフトウェアのバグといったトラブルの予測が困難になることや、障害時の対処が複雑となることが課題とされてきた。

 今回、KDDI研究所らが取り組んだのは、人工知能を活用した仮想ネットワーク上の異常検知・自動復旧システムの実証実験。基地局機能を提供している仮想化基盤に人工知能を埋め込み、サーバー機器の障害や、仮想化ソフトウェアのバグなど、ネットワーク障害に繋がる異常の兆候を検知させるというもの。

 検知された情報は仮想化基盤を統括する制御システム(SDN/NFVオーケストレータ)に集約される。集約された情報から、制御システムが復旧プランを自動で導き出して実行する。たとえば、仮想化基盤サーバーの放熱異常を検知した場合、そのサーバー上で提供している基地局機能を他のサーバーに自動で移し替える。

 KDDI研究所らの実証実験では、9割以上の精度で異常の兆候を事前に検知し、従来の5倍以上の速度で機能の移行などの対処に成功している。

石井 徹