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ドコモが下り375Mbpsを6月開始、3.5GHz帯のサービスも

 NTTドコモは、6月より下り最大375Mbpsの通信サービスを提供する。また3.5GHz帯を利用した下り最大370Mbpsのサービスもあわせて6月より提供する。

下り375Mbps

 下り375Mbpsのサービスは2GHz帯(112.5Mbps)、1.7GHz帯(150Mbps)、800MHz帯(112.5Mbps)を組み合わせて実現する。3つの周波数帯を束ねる「3CC」によって実現する。ドコモでは3CCによるサービスを2015年11月に導入済(※関連記事)。昨秋の3CC化により、通常のLTEと比べて3CCで使う周波数を拡充して高速化が図られることになった。

 このうち800MHz帯については、今、3G(FOMA)でも利用される帯域。3Gユーザーはまだまだ数多く存在することから、ドコモでは都心部で3G向けの利用を減らしてLTEに切り替えたいという方針ではあるものの、実際の利用動向を慎重に見極める考え。そのため当初の375Mbps対応エリアは、新宿と池袋のごく一部に限られる。

 3CCの組み合わせは、2GHz帯/1.7GHz帯/800MHz帯だけではないが、最も速い組み合わせがこの3つになるという。

2015年冬モデル「AQUOS ZETA SH-01H」は?

 2015年冬モデルのスマートフォンとして、唯一、3波キャリアアグリゲーション(3CC)に対応する「AQUOS ZETA SH-01H」は、本誌による開発者インタビュー(※関連記事)で、LTEカテゴリー9に対応し、ネットワーク次第で375Mbpsでの通信も可能、とされていた。

 では今回のネットワークの進化でどうなるのか――ドコモ広報によれば、「AQUOS ZETA SH-01H」では下り最大337.5Mbpsで通信できるようになるという。これは、「AQUOS ZETA SH-01H」の3CC対応周波数が800MHz帯、1.5GHz帯、2GH帯であるため。800MHz帯は先述したように、全てLTEにして112.5Mbpsにできるエリアはまだ限られるため、現実的には800MHz(75Mbps)、1.5GHz帯(112.5Mbps)、2GHz帯(112.5Mbps)、あわせて300Mbpsのエリアがほとんどになりそうだ。

 今後登場するモデルについては、さまざまな機種を準備中とのことで、今回は明らかにされなかった。今後開催される発表会で正式に案内される。

3.5GHz帯、TD-LTEでサービス開始

 3.5GHz帯のサービスはTDD方式のLTEを利用する。ドコモでは、渋谷の駅前など、人が密集する繁華街など、スポット的に3.5GHz帯の電波を発射する小型基地局を設置する。この基地局は、より広いエリアをカバーする基地局と組み合わせて利用するもので「アドオンセル」と呼ばれる。ドコモでは、2月24日、千葉県でフィールド実験を行い、下り最大340Mbpsでの通信に成功した。

 実験では、3.5GHz帯はTDD方式、1.7GHz帯はFDD方式のLTEとして、方式と周波数帯の異なるLTEの電波を束ねるキャリアアグリゲーションとした。TD-LTEは下り最大110Mbps×2つ、そして1.7GHz帯のFDD-LTEは下り最大150Mbpsで、あわせて370Mbpsという規格になる。なお、上り通信は1.7GHz帯のFDD-LTEで最大50Mbps。

 3.5GHz帯のTD-LTEは、ドコモだけではなく他キャリアも利用する方針。TDDは「今の時間は下り、次の時間は上り」と、時間軸で上下の通信を切り替えるもの。3.5GHz帯のTD-LTE導入にあたっては、ドコモだけではなく、au、ソフトバンクとある程度、周波数利用の同期が必要となっているため、現在、どういった形にするか検討中という。

 2日、報道関係者向けに説明を行ったNTTドコモ常務の大松澤清博氏は、3.5GHz帯の導入は「自動車で言えば、新しい道路を作るようなもの。混雑が一層解決される」とアピール。順調に準備が進んだことから当初よりも前倒しになって6月になったことも明らかにした。

ドコモの大松澤氏

 大松澤氏は「3.5GHz帯はようやく利用できるようになる。トラフィックの増加傾向からすると、周波数が十分かというとそうではない。IoTもあり、これからもデータ量が伸びていく」とコメント。さらに今後も新たな周波数が必要との見解を示す。

対象エリア

 300Mbpsを超えるエリアは主に都市部で整備される。たとえば東京の場合、渋谷、池袋、新宿、東京、新橋、品川で3.5GHz帯のサービスエリアを展開。375Mbpsのエリアはもっと狭いエリアとなり、当初、都内ではごく一部のエリアに限られる。それでも山手線の周囲はほとんどが337.5Mbpsのエリアになる。

 今後もさらに発展する予定で、2017年度には500Mbps以上、2020年の5G導入までのどこかで、1Gbpsの実現を目指す。1Gbpsの実現に向けて、3CCから4CC、5CCと束ねる電波を増やしたり、変調方式をさらに高度化して256QAMを導入するといった手法で高速化していく。

700MHz帯、まだ調整中

 ドコモに割り当てられるも、まだ活用されていない700MHz帯について問われた大松澤氏は「既存の利用者がたくさんいて、その調整が必要」と説明。他キャリアを含めて、共同で調整しているとする。限られた場所ながら、一部では既に700MHz帯の運用は開始されており、大松澤氏は「これから都心部でできるだけ早く利用できるよう、努力していくフェーズ」とするに留まった。

コアネットワークの仮想化、3月から導入開始

 ドコモでは、コアネットワークに仮想化技術を導入し、3月から運用を開始する。複数のベンダーによる技術を採用しており、ドコモでは「世界で最も先進的な取り組み」(大松澤氏)と胸を張る。仮想化により、通信が混雑してくるとスペックアップする、というオートスケーリングや、故障時に自動的に切り替えるオートヒーリングといった機能が導入される。2016年度前半はまず、商用環境での仮想化技術を確認していくとのことで、小規模な導入になりそう。その結果を踏まえて、2016年度〜17年度にかけて一気に拡大していくという。

地震予測システムの実験に協力

 あわせて地震科学探査機構(JESEA)の「地震予測システム」の実証実験に協力することも発表された。衛星測位機器で地殻の変化を捉えるという装置を全国16の基地局に設置。そこで収集したデータを地震科学探査機構にモバイル通信で送る。

 3月4日からは津波監視システムの運用もスタートする。沖合で津波発生時の様子を監視するカメラを全国16カ所に設置しておき、津波が発生したときの海面の様子をチェックできる。

 このほか、石油連盟と「災害時の重要施設にかかる情報共有に関する覚書」を締結する。NTTグループとして締結するもので、大規模災害発生時、政府を通じて石油を緊急供給してもらう際、スムーズに手続きできるようにするための覚書となる。

(関口 聖)