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ヨドバシ店頭のMVNOカウンターが対応力倍増、SIMフリースマホに本腰

 ヨドバシカメラは、ワイヤレスゲートがヨドバシカメラオリジナルのSIMカードやプランを発表するのに合わせて、対応力を従来の2倍に拡大したという「ヨドバシカメラ マルチメディアAkiba」内のMVNOカウンターを報道陣に公開した。16日から営業も開始している。ワイヤレスゲートの新プランについては別記事を参照していただきたい。

「ヨドバシカメラ マルチメディアAkiba」に巨大な「格安スマホ」コーナーが登場。店舗1階の南側エリアを東西に横断する形で、「FREETEL」やSIMフリー端末がズラリと並ぶ
「格安スマホ」コーナーの中にはMVNOカウンター「ヨドバシカメラ 通信なんでも相談カウンター」。席数が増え、対応力は倍増した

 ヨドバシカメラでは、約1年前の2015年4月に、MVNOの契約や相談を受け付ける専用カウンターを「ヨドバシカメラ マルチメディアAkiba」内に設置。以降、全国のヨドバシカメラにこのMVNOカウンターの設置を拡大し、現在までに20店舗に設置を完了している。3月中をめどに、新潟、宇都宮、仙台の店舗にも設置され、これをもって全23店舗への設置が完了する予定になっている。

 一方、1年前にいち早くMVNOカウンターを設置した東京・秋葉原の「ヨドバシカメラ マルチメディアAkiba」では、問い合わせの増加や市場の拡大を受けて、「ヨドバシカメラ 通信なんでも相談カウンター」と名づけているカウンターの設置場所を3月16日から変更。これまで1階の北側の入口に近いエスカレーター付近だったところが、より出入りが多いJR秋葉原駅の中央口に近い、1階南側の入口付近に変更された。規模も拡大し、カウンター内の席数も増やして、対応力を倍増させている。

総務省の施策、店頭の変化

ヨドバシカメラ 専務取締役 販売本部長の日野文彦氏

 ヨドバシカメラ 専務取締役 販売本部長の日野文彦氏は、「昨年は総務省の通信に対する施策が話題になった。それ以降、ヨドバシカメラのお客様も、何が一番お得なのか? 自分に合ったサービスやプランは何なのか? と、店頭・ネットを含めて話題になっている」「ここにきて(昨年の)総務省の一言で、ガチャガチャガチャと世間がなっている中、ユーザーにとっても我々にとっても良い方向にきている」と、店頭レベルで問い合わせが増えている様子や、MVNOや関連市場の拡大を商機と捉えている様子を語る。

 「特に最近は、初めて携帯電話を使ってみようという方、ガラケーからスマートフォンに乗り換えてみようという方が非常に増えている。できる限り、分かりやすい言葉でお客様にサービスを提供していく。いろいろな仕掛けや、社員の教育も強化していく。より分かりやすく、安心、がキーワード」と日野氏は述べ、MVNOカウンターの拡大などで、積極的に対応を強化していく方針を打ち出している。

大手キャリアを喰い始めた格安SIM市場

リニューアルしたコーナーで取材に応じるヨドバシカメラ 通信サービス商品事業部長の松月俊雄氏(右)

 ヨドバシカメラ 通信サービス商品事業部長の松月俊雄氏は、マルチメディアAkibaにおけるMVNOカウンターのリニューアルについて、「昨年の12月ぐらいから、(MVNOカウンターに)非常に多く来ていただけるようになった。今年の2月には、(実質0円廃止で)販売方法が変わったこともあり、さらに増加していた。今までは奥の方にあったコーナーで、スペースが狭く分かりづらい場所だった。今回、ワイヤレスゲートの新ラインナップの発売ということもあり、入口に、しっかりと対応できる大きなコーナーを作った」と説明している。

 MVNOカウンターでは、周りを取り囲むように、メーカー別にSIMロックフリーのスマートフォンが陳列されており、昨今の投入機種の拡大を受けて、非常の多くの機種が一堂に会している。その中でも什器を含めて圧倒的な存在感を出しているのがプラスワン・マーケティングの「FREETEL」だ。大手3キャリアよりも力を入れて販売するのか? との問いに松月氏は、「大手3キャリアのほうが販売面積は大きく、対応できるスタッフの数も多い。MVNOカウンターは、今までの倍以上のお客様に対応できるコーナーを作った形」とする。

「格安スマホ」コーナーではSIMロックフリー端末が一堂に介している
「格安スマホ」コーナーで大きく紹介されているFREETELの端末

 ヨドバシカメラの店頭では、存在感を見せている「FREETEL」をはじめ、キャリアやブランドが乱立している状態だが、ではヨドバシカメラとして何をプッシュしていくのか。「FREETELは端末、SIMカード、アプリと総合的で、大手3キャリアと同じ位置づけと考えている。FREETELの端末は低価格で、それがお客様にかなり支持されている。たくさんのお客様が来てくれるので、それなりのコーナーを設けている」と、FREETELコーナーの拡大は実情に見合った内容という考え。一方で、「さまざまな商品を取り扱うのがヨドバシカメラの商売。SIMカードは13の事業者を取り扱っている。音声SIMの即日開通は10の事業者が対応している。事業者を1つだけ推すということは考えていない」(松月氏)ともしている。

 ヨドバシカメラにおいて、大手3キャリアとそれ以外の事業者の販売の割合はどのように変化していくのか。松月氏は、「大手3キャリアの合計が10とすると、格安SIM関連は2~3」と現在の割合を示した上で、「これが恐らく、4~5にはなってくるのではないか。この1年で大きく変わってくる」とし、格安SIMやSIMフリースマホの市場が大手キャリアに比肩する規模にまで拡大するとの見方を明らかにしている。

JR秋葉原駅の中央口に近い入口から入ってすぐ左の様子。入口からの視界の2/3は“格安スマホ”だ
ワイヤレスゲートの新ラインナップもさっそく陳列されている
Y!mobileの急拡大も店頭ではトピックのひとつ。マルチメディアAkibaでは「Y!mobile SIM FREE」というコーナーが、1階で最も人通りが多いと思われる場所に設けられている
「Y!mobile SIM FREE」コーナーでは、Y!mobileのSIMカードとSIMフリースマホをセットで購入すると端末一括価格が1万円引きになると案内されている。中には100円になる端末も

太田 亮三