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「SIMフリー市場でトップ3が目標」、ZTEが端末投入を本格化

発売直前の「Blade V580」披露、「Blade V6」は大幅値下げを発表

 ZTEジャパンは、3月25日に発売するSIMロックフリーのAndroidスマートフォン「ZTE Blade V580」を報道陣に公開した。価格は2万7800円(税抜、以下同)で、ミドルクラスのシリーズの中では上位に位置づける。これを受けて、2015年12月から販売している「ZTE Blade V6」は、3月18日より、2万6800円から1万9800円に値下げすることも発表された。3月17日にはZTEジャパンが説明会を解説し、発売日が迫っている「Blade V580」や、日本市場での戦略が解説された。

 なお、「ZTE Blade V580」「ZTE Blade V6」については、リンク先で発表時のニュース記事も参照していただきたい。

「ZTE Blade V580」、3月25日発売
「ZTE Blade V6」は5インチのHD液晶。3月18日より1万9800円に値下げ

 ZTEが展開しているSIMロックフリーのAndroidスマートフォンは、「AXON」シリーズはハイエンドモデルという位置づけ。その下にミドルクラスの「Blade」シリーズがあり、Bladeシリーズの中では上位から「Blade Vシリーズ」「Blade Aシリーズ」「Blade Lシリーズ」という順番になっている。

 日本で展開される「Blade V580」や「Blade V6」はBladeシリーズの中で上位にあたり、スペックを高めながら価格も抑えたモデルになっている。一方、さまざまな仕様を盛り込んだカメラアプリなどを除き、ユーザーインターフェイスはAndroidの標準的なものが採用されており、独自のプリインストールアプリも最小限になっている。

「ZTE Blade V580」

 「Blade V580」は5.5インチでフルHD、指紋認証センサー搭載、3000mAhのバッテリーで税抜2万7800円と、戦略的なモデル。

 端末を解説したZTEジャパン プロダクトマーケティング ディレクターの吉本晃氏は、「これまでなら5インチHDの端末の価格。フルHDで、さらに指紋認証も付き、お得な端末だ」と、高コストパフォーマンスであることをアピールする。チップセットはMediaTek製で、特殊な仕様などはなく、「モデムは実績のあるところを採用している」と手堅い仕様。対応周波数帯についてはドコモを中心にソフトバンクの900MHz帯もサポートし、「Y!mobileのSIMでも使える」としている。

「Blade V580」を解説したZTEジャパン プロダクトマーケティング ディレクターの吉本晃氏

 東芝製センサーを採用したカメラは、カメラアプリ側を中心に、さまざまな機能を盛り込む。美白機能やマルチアングル撮影、多重露出のような合成機能、顔検出機能などが一通り搭載されており、撮影した写真は手書きを含めて編集機能で加工が可能。

 「なによりもウリなのが指紋認証」(吉本氏)と言うように、ミドルクラスでは珍しい指紋認証センサーも背面に搭載する。モジュールは5層構造で、1000万回の押下テストでも認識率99%という耐久性も備える。押下ボタンも兼ねており、画面ロック解除のボタンとしてや、カメラのシャッターボタンとして利用できるなど、さまざまな応用を可能にしている。

 ボディは背面パネルがアルミ合金で、ザラザラした手触りになるブラスト加工、着色するアルマイト処理などで全体の質感を高めている。背面には微妙な曲面も加えることで手にフィットするデザインになっている。

 シンプルな外観デザインだが、カメラのレンズの周囲と、ディスプレイ側のホームボタン(タッチセンサー)には、青いサークルがあしらわれている。これはZTEのイメージカラーから青色になっているとのことだった。

 バッテリーは3000mAhで比較的は大きめだが、「このクラスでは当然といった仕様で、他社には負けない」(吉本氏)としている。

ZTE Blade V580の概要
ZTE Blade V580
ZTE Blade V6(2015年12月発売)

2015年に5600万台のスマートフォンを出荷

 ZTEジャパン 代表取締役社長の李明氏は、ZTEの概要や現在までの展開を振り返る。ZTEは1985年に創業し、収益はキャリアのネットワーク向け機器の事業が過半数を占めている。事業の対象地域も半分は中国だが、残りは欧米、アジア、アフリカとグローバルで展開している。

 モバイル端末事業には1998年に参入。2006年にボーダフォンと協力したことでグローバル市場に展開を開始し、同年に海外売上が中国国内の売上を上回った。2011年には「Blade」シリーズ端末の出荷が世界で1000万台を突破し、モバイル端末は現在までに6億台を出荷。アクティブな端末利用者は世界で6000万人としている。ZTEは2015年に1億台の端末を出荷しており、このうち5600万台がスマートフォンだった。

 日本法人の設立は2008年で、キャリア向けに携帯電話やスマートフォン、プリペイド端末などさまざまな端末を供給している。日本のSIMフリー端末市場に対しては、2014年に自社ブランドで「Blade Vec 4G」を投入。2015年にはNTTレゾナントのコラボレーションで「gooのスマホ」としても端末を供給しているほか、自社ブランドではさらに「AXON mini」「Blade V6」も投入している。

ZTEジャパン 代表取締役社長の李明氏

総務省の施策は追い風、SIMフリー端末市場でトップ3を狙う

 「これからZTEブランドの展開は積極的にやっていく」と答えるのは、ZTEジャパン モバイルターミナル事業部 営業事業本部 営業部長の衛 東氏。「OEMとして相手先ブランドの端末の製造は継続していく。同時に、中国のZTE本社の方針として、世界市場で自社ブランドでの展開やイメージアップ、PR活動も進めていく」と語り、グローバル展開と連動する形で、日本市場でもZTEブランドでの展開に力を入れていく方針が示された。

 吉本氏も「ZTEってメーカー名? ブランド名? と聞かれることもある。今年はZTEをよく知ってもらう活動も重点的にやっていく」とし、同時にブランド名や価格帯などのクラスについても情報を整理して、打ち出していくとしている。

 日本のSIMフリー端末の市場について吉本氏は、「立ち上がって2年ぐらいで、そんなに大きくない」とするものの、「総務省の方針は、結果的にSIMフリー(の拡大)にプラスになっている。0円端末が禁止されたことで、そこそこリーズナブルな端末で勝負する我々のようなメーカーには有利に働く。市場の拡大に期待している」と期待を語る。総務省の要請などによる大手キャリアの料金値下げ施策で、再びキャリアの端末が売れるのは? との指摘には「キャリアの料金は、正直下がらないと思っている。1GBプランなどがサラっと出されているが、総務省の要請をクリアするためのもの。MVNOのほうが安い。MVNOにとっては追い風」との見方を示している。

 日本のSIMフリー端末市場でのシェアについて、社長の李氏は「2016年にトップ3にランクインしたい」と目標を掲げた。投入される端末については、価格に幅があり、単価も抑えられているBladeシリーズが中心になるとしている。ファーウェイなどはすでに今回の「Blade V580」に近い仕様の端末「GR5」を投入しているが、李氏は「類似性はあるが、競争している。もっとハイスペック、もっとハイコストパフォーマンスな端末で、シェア上位を狙う」と、さらに競争を進めていく方針を語っている。

左からZTEジャパン モバイルターミナル事業部 運営管理部 部長の申東吉氏、同社モバイルターミナル事業部 営業事業本部 営業部長の衛東氏、同社プロダクトマーケティング ディレクターの吉本晃氏、同社代表取締役社長の李明氏

太田 亮三