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「次の5年、LINEは“距離を縮める”」、LINE出澤CEOが語る

新キャラはブラウンの妹、全画面スタンプなども

 24日、スマートフォンアプリ「LINE」の戦略が披露されるプライベートイベント「LINE CONFERENCE TOKYO 2016」が開催された。

 LINE社CEOの出澤剛氏からは、サービス開始からこれまでの5年間を振り返りつつ、今後導入される新機能が紹介されたほか、今後5年間のLINEのミッションは「Closing the distance」になるとして、人々の距離だけではなく、ビジネスやコンテンツなどとの距離を近づけていくと発表した。

LINEのCEO、出澤剛氏

新機能「ポップアップスタンプ」

 月間のアクティブユーザーが、グローバルで2億1500万人に達するというLINE。最近では、インドネシアで急激に普及しつつあり、2014年から現在までその月間アクティブユーザー数は200%増加した。

 過去5年間、LINEでは1兆5000件のメッセージがやり取りされ、無料通話は400億回、タイムラインへの投稿件数は150億回にのぼる。スタンプの売上や広告収入など、LINEのプラットフォーム上で得た5年間の売上は3500億円に達する。

 その巨大なLINEのなかでも、出澤氏は、スタンプこそ非常に大きな発明だった、と振り返る。1日24億回も送られるスタンプはグローバルで利用されており、クリエイターの上位10人の平均売上は2.23億円に達する。スタンプによる市場規模は年間253億円に達したとのことで、「フィーチャーフォン時代に人気だったデコメは年間230億円だったと聞いている。それを超える市場を短い期間で創ることに成功した」(出澤氏)と胸をはる。

 そのスタンプ機能で、新たな取り組みとして紹介されたのが「ポップアップスタンプ」というもの。送ると、画面いっぱいに表示され、短くアニメーションする、というスタンプで、表現力やインパクトが大きく向上するスタンプだ。現在、開発中とのことで、将来は明らかにされていないが、今夏の提供を目指して開発中という。

ポップアップスタンプ

新キャラクターはブラウンの妹

 キャラクターも人気で、国内外でオリジナルグッズのショップも展開するなか、今回紹介された新しいキャラクターは「チョコ」。無表情なところが愛されるブラウンの妹にあたるキャラクターで、外見はブラウンそっくりながら、トレンドやファッションに敏感という性格で、無表情なまま、さまざまなファッションアイテムを積極的に採り入れる姿が披露された。

ブラウンの妹「チョコ」

USJとコラボ

 また15周年を迎えるテーマパーク、ユニバーサルスタジオジャパンとのコラボレーションも発表されている。

ビジネスプラットフォームはオープン化

 LINEは、企業・店舗向けの取り組みについて、オープン化戦略を採用すると発表した。
 オープン化戦略にあわせて、店舗向けに「ショップカード」「Coupon Book(クーポンブック)」、そしてネットショップ機能の「コマース」という機能拡張が実施される。ショップカードは、店舗独自で導入されることが多い、いわゆるポイントカード、スタンプカードをLINE上で実現するもの。コンシューマーは、よく訪れる店舗のショップカードをLINE上で集めておけば、利用時にポイントやスタンプを貯められる。日本だけではなく、台湾、タイ、インドネシアでも提供される。

 クーポンブックは、企業・店舗が配信するクーポンをまとめる機能。友だちとして追加している企業・店舗のアカウントの一覧から確認できるほか、周辺の店舗のクーポンなどを検索することもできる。全世界で提供される。

 コマースは、企業・店舗が通販サイトとして展開できる機能。店舗にとっては毎月の利用料は発生せず、販売時の手数料4.98%をLINE側に支払う。こちらは日本でのみ提供される。

 またWebサービス事業者向けには「Official Web App」と称して、LINEアカウントとWebサービスを連携できる仕組みを提供する。LINEユーザーが、Webサービスのアカウントをフォローし、「LINEログインに同意」とすればWebサービスの会員登録手続きを省略できるほか、Webサービス上で商品やサービスの販売を行う際にも、LINEアプリ側で氏名や住所など個人情報の入力を補助する「プロフィール+」機能が利用できるようになる。既に食べログやMakuake、Goo-netなど40社以上の企業のWebサービスが「Official Web App」の先行導入企業として名乗りを上げている。

 大手ばかりではなく、中小規模の企業、店舗が、ビジネスアカウント「LINE@」を導入しやすくする取り組みも導入される。同じく中小企業やローカルビジネスの店舗がオリジナルのLINEスタンプを提供しやすくする仕組みとして「SMEスタンプ」が2016年内にも提供される予定。これはLINEのクリエイターズマーケットに参加するクリエイターのコミュニティを活用するもの。LINE上級執行役員で法人ビジネス担当の田端信太郎氏は「最低でも6000万円かかり、現実として(オリジナルスタンプは)ナショナルクライアントしか利用できなかった」と語り、オープン化戦略で導入されるSMEスタンプによって、さまざまな企業・店舗がオリジナルスタンプで集客できるようになる、と未来を語った。

LINEアプリがビーコンに対応

 5月からは、店舗に設置されるBLE(Bluetooth Low Energy)の装置、いわゆるビーコンで、コンテンツを受け取れる「LINE Beacon」が導入される。店舗のクーポン、イチオシの商品情報など、その場でしか得られないコンテンツをLINE経由で入手可能になる。

 まずはスタートトゥデイとの取り組みで導入される予定。2016年度中に国内数千店舗で利用できるようになる。

 またビジネスアカウント「LINE@」でメッセージをやり取りできるBOT APIを2016年夏ごろより提供する。LINE@を使ってコンシューマーとやり取りしたい企業にとって、スケジュール管理や、レストラン予約といった機能をBOTを使って実現できるようになるという。4月からは、一部機能を無料で先行体験できる「BOT API トライアルアカウント」が公開される。トライアルはグローバルで先着1万名が利用可能。

 このほかLINEのチャットAIもオープンになり、LINE@に寄せられる時間外の問い合わせ、あるいはよくある質問などを自動的に回答できるようにする。

個人に最適化した配信

 広告配信では、連結子会社であるM.T.Burn (エム・ティ・バーン)のネイティブ広告プラットフォーム「Hike(ハイク)」をもとにしたシステムを導入。LINEのタイムライン機能における広告表示に活用するもので、6月からはユーザーの属性や興味を持つ分野に最適化した広告を配信する、いわゆる運用型広告がスタートする。

 ユーザーの属性情報は、ユーザーの電話番号などではなく、ユーザーがLINE上でフォローする企業アカウントといった内容から推定する。この情報はニュース配信で今後、ユーザーにパーソナライズする機能「For You」でも導入されるほか、LINE Payカードの利用などでも活用されるもの。

目指すは「スマートポータル」

 LINEの新たなミッションとして「距離を縮める」(Closing the distance)ことを掲げた、代表取締役社長CEOの出澤剛氏は、LINEアプリの目指す具体的な目標として「スマートポータル(SMART PORTAL)」というワードを示す。

出澤氏
「スマートは、もちろんスマートフォンという意味もあり、“賢さ”ということもある。スマートフォンでは、コミュニケーションを基点に、コミュニケーションを基点に、直観的でシンプルなものが求められる。コミュニケーション中心、人間中心に設計しなおす必要がある」

 こう語った出澤氏は、これまで通り、広告や決済などプラットフォームとしての存在を維持しつつ、ユーザーにとっては「たったひとつのポータルサイトになる」とした。

(関口 聖)