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KDDI、「聴覚障がい者用陸上スターターアプリ」を無料配信

「聴覚障がい者用陸上スターターアプリ」の利用イメージ

 KDDIは、陸上競技の短距離走において聴覚障がい者をサポートする「聴覚障がい者用陸上スターターアプリ」の提供を開始した。利用料は無料で、Android版が3月28日よりau Marketで配信されている。30日にはGoogle Playからもダウンロードできるようになる予定で、iOS版も審査申請中。

 同社ではCSR活動の一環として、聴覚障がいを持つ生徒に対してアプリ開発講座などの形でIT教育を通じた就労支援を実施してきたが、その過程で陸上競技における聴覚障がい者の課題を知ったという。

 短距離走ではクラウチングスタートが採用されているが、聴覚障がい者はスターターピストルの音が聞こえにくく、スターターピストルを目視することになり、健聴者のように地面を向いた形でスタートを切ることができない。このため、光で合図を送る機材の導入も始まっているが、こうした機材は日本に1台しかなく、レンタル費用も1日約8万円と高価で、さらに設営にも手間がかかるという現実がある。

 全国大会ではこうした機材が使用されるが、選手が練習できる機会が少なく、慣れない手順でのスタートに不安があるため、結果的に機材が導入された大会でも多くの選手がスターターピストルの方を向いてスタートするという状況になっているという。

同期の仕組み

 今回公開されたアプリは、光の合図によるスタートの練習を行えるようにしたもの。前述のアプリ開発講座で開発された一人練習用のスターターアプリをベースに、KDDIが複数人でも使用できるように改良した。

 コンマ何秒を競う短距離走では端末間でのタイミングの同期が重要になってくるが、今回のアプリではスターターの端末と選手の端末の時計をNTPで補正した上で、スターター側からスタート時刻を各端末に指示するという手法で時間のずれを解消。また、9レーンの陸上トラックでの利用を想定し、9台の端末を同時に制御するためにスターター端末と選手端末の間をBluetoothで接続した。

【複数人で利用する場合】
複数の端末で使用した場合もスタートのタイミングが同期されていることが分かる

湯野 康隆