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「arrows SV」など夏モデルのコダワリを富士通が解説

SIMフリー新モデルは“検討中”

 富士通コネクテッドテクノロジーズは、2016年夏モデルとしてNTTドコモから発売されるスマートフォン「arrows SV F-03H」と、タブレット「arrows Tab F-04H」の2機種について、メーカーが独自に注力した点などを解説する説明会を開催した。

「arrows SV F-03H」

 端末の概要や特徴、仕様などは、5月11日に開催されたNTTドコモの発表会でレポート記事として掲載している。

 富士通コネクテッドテクノロジーズ 執行役員の林田健氏は、「arrows SV F-03H」について「ボリュームゾーンに向けた、メインストリームのモデル」と位置づける。「arrowsを使っている人に、ストレス無く、快適に使ってもらえる」と、“心地よさ”をテーマに4つの軸で特徴を継承したとした。

 2015年に安価なモデルとしてリリースした「arrows Fit F-01H」は、「価格と機能でバランスをとったモデルだった。結果として、高い評価を頂いた」と分析し、「arrows SVは、持ちやすさや電池持続時間などの特徴を継承しつつ、ワンランク上のデザインを求める人に向けたもの。Superior(上質)と新たなValue(価値)という意味でSVとした」と名前に込めた思いも語った。

 林田氏からはこのほか、「arrows Fit」と比較して強化されたカメラの明るさや画素、インカメラの広角レンズなど強化ポイントが解説された。また、「長く使う人が増えてきた」とした上で、MILスペック14項目に準拠した堅牢性や、独自項目としてコンクリートへの落下試験なども実施している様子を紹介した。

 Wi-Fiの電波を掴んでいてもスループットが出ていないと切断してLTEに戻すといった独自の機能や、動画再生時のマルチコネクションなどの機能面もアピール。富士通独自のチップで各種のセンサーの情報を統合するヒューマンセントリックエンジン(HCE)は、Googleが最近になって同様のチップを搭載したNexusを発売したことを引き合いに出し、「我々は2012年からやっている」と自信を見せている。

 ワンセグ対応については「テレビをたくさん見ていただきたいという趣旨ではなく、開発者にはいやがられるが、ホイップアンテナを内蔵して災害時でも(ケーブルアンテナ不要で)見られるようにした」と搭載したコンセプトを明かした。

富士通コネクテッドテクノロジーズ 執行役員の林田健氏

デザインは「鉱石の塊から削り出す」アプローチ

 説明会では、「arrows SV」のデザインを担当した富士通デザイン チーフデザイナーの吉橋健太朗氏が登壇し、四隅を窪ませた独特のデザインや全体のコンセプトを解説した。

 吉橋氏によれば、「arrows SV」のデザイン上のキーワードは「Sculpture」(スカルプチャー、彫刻)で、鉱石・原石の塊から削り出していくというテーマになっているという。このため、平たい板から端末のデザインを発展させていくのではなく、塊から削っていくというアプローチで、オリジナリティを追求した。特に四隅はラウンド形状のパーツに彫刻刀で削りとったかのような窪みがデザインされており、その削り跡のような窪みで、側面のアルミパーツならではの精緻なイメージと硬質さを表現している。

 一方で、ただの形状だけでなく、片手で持った際に小指をひっかけやすい形状としてもデザインされている。また、横向きで動画などを見る際も端末を持つ指が収まりやすいといった、実用面でも多くの意味が込められている。

 背面は対照的に、磨き上げた鉱石や宝石のようにキラリとした質感で仕上げられ、待受画面にも宝石をイメージしたような壁紙が用意されている。

富士通デザイン チーフデザイナーの吉橋健太朗氏

「arrows Tab F-04H」、家を借りて利用シーンを研究

 タブレット「arrows Tab F-04H」は、性能や機能でハイエンドモデルに位置づけられている。概要や仕様はNTTドコモの発表会でレポート記事を掲載している。

 富士通の林田氏によれば、その使い勝手を追求するために、家を借りて集中的に使い方や利用シーンを研究したことが明らかにされた。そこで判明したのは「思ったよりも、手に持たず立て掛けて使うことが分かった」ことという。

 こうしたことから、「arrows Tab F-04H」ではデザイン上は目立たなくなっているものの、三辺に「グリップエッジ」として滑り止め素材のパーツを配置し、滑りやすいキッチンの上やお風呂のタイルの上などでも、滑りにくく、立て掛けやすくなっている。

 「arrows Tab F-04H」ではほかにもマルチユーザー機能を独自にアレンジ、ロック解除画面でアイコンをタップするだけで切り替えられるなど、Android標準の機能より使い勝手を向上させている。

 虹彩認証機能は「タブレットでは世界初」とし、これまでのユーザーからは、ほかの生体認証と比べて高い評価を得ているという調査結果を紹介。「一瞬で使えるところが評価された」と分析した。

SIMロックフリーのモデルは「検討中」

 富士通がラインナップする2016年の夏モデルは、スマートフォンが今回の「arrows SV F-03H」で、タブレットが「arrows Tab F-04H」。スマートフォンについてはハイエンドモデルに位置づける「arrows NX F-02H」が、引き続き2016年の夏も現行ラインナップとして販売される。

 このほかに富士通は、SIMロックフリーでメーカーが独自に展開する端末として「arrows M02」をラインナップしているが、この後継機種については「検討中」としている。

 「arrows M02」は、国内メーカー製を求めるユーザーや防水性能、ドコモ網とau網をサポートするなど通信機能の面でも評価され、MVNOなどを通じて2015年度は13万台を出荷したとの調査結果も出ている。検討中という、今後登場する後継機種については「期待を裏切らないデキになっている」とのコメントも得られた。

太田 亮三