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5.3%は「会社支給の端末で脱獄」も――Lookout調査

 モバイルセキュリティサービスを提供するLookoutは、「日本企業におけるスマートフォン利用動向調査」の結果を発表した。

スマートフォンの業務利用の実態

 日本企業で働く2万人を対象に実施された事前調査では、スマートフォンを業務で利用するユーザーは43%だった。本調査はこの中から、日本企業20歳以上の男女1000人を対象に、インターネットを用いたアンケート調査として実施された。

 業務で利用しているスマートフォンのOSは、iOS(iPhone)が53.3%、Androidが41.4%となった。従業員1000人以上の大企業では、58.4%がiPhoneを利用しており、Androidは36.6%となった。

 業務で使用しているスマートフォンについて、会社支給の端末は60%、個人使用の端末は40%となり、私物端末の業務利用が進んでいる実態が明らかになった。

セキュリティポリシー3割が「知らない」「わからない」

 勤務先の会社のセキュリティポリシーを把握しているかを聞いた設問では、「よくわかっている」「基本的なことは知っている」と答えた回答者は63.7%。26%は「あまり知らない」と答え、「セキュリティポリシーがあるか自体わからない」、3.7%が「セキュリティポリシーがない」と答えた。

 また、3.4%のユーザーは勤務先のスマートフォン利用に関する社内ルールを「意図的に破ったことがある」、9.0%のユーザーは「知らないうちに破っていたことがある」と回答している。

4.8%が業務利用端末で「脱獄」や「ルート化」

 通常ではできないシステムの改変をする行為「脱獄」や「ルート化」を、業務で利用するスマートフォンで行った経験があるか聞いた設問では、4.8%が「ある」と回答した。

 会社支給の端末に限っても、「脱獄」や「ルート化」をしたことがあると答えた回答者は5.3%となった。

 また、業務利用のスマートフォンで正規のアプリストア以外からアプリをダウンロードする「サイドロード」をした経験があるユーザーは8.1%となった。

「業務機密をLINEでやり取り」23.5%

 業務機密の情報をメッセージアプリやSNS上でやり取りしたことがあるかを聞くと、23.5%のユーザーがLINEを使ってやり取りしたことがあると回答した。また、7.5%はFacebookで、4.8%はTwitterでやりとりしたことがあると回答している。

 業務機密以外にも、同僚や上司との普段の会話でLINEを利用しているユーザーは52.0%となっている。

「モバイル化によるリスクの明確化を」

 Lookoutは調査結果について、「大企業、中小企業に関わらず、私的端末の業務利用が進んでいる実態、そして会社からの支給端末であっても、ジェイルブレイク、ルート化、サイドローディングなどの危険が潜んでいることが明らかになった」と分析。

 セキュリティ教育の徹底を訴える一方で、大企業の従業員の16.0%が社内ルールを破ったことがあると回答したことに着目、「セキュリティを気にしすぎるあまり、モバイル端末の業務利用がもたらすメリットを制限してしまっている可能性がある」と指摘している。

 まとめとして、「企業はモビリティへの変化を受け入れ、それによって生じるリスクを明確化し、対策を実施していく必要がある」とコメントしている。

石井 徹