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「HT-03A」レビュー

Googleサービス連携と自由なアプリ配信


 NTTドコモから発売されたHTC製のスマートフォン「HT-03A」は、OSにAndroidを搭載したFOMA端末。詳細なスペックなどは製品発売時のニュース記事に譲るが、ここでは国内発のAndroid端末として登場したHT-03Aのレビューをお届けする。

 

外観・デザイン

 HT-03Aは本体下部にトラックボールといくつかのキーを備えるが、テンキーやフルキーボードを搭載しない、タッチパネルによる操作に注力した端末だ。側面は左側に音量調節ボタンがあるのみとシンプルで、下部にはマイクとUSB端子、背面カバー側にはストラップホールを備える。

 USB端子はmini Bタイプで、パソコンと接続すれば、端末に装着したmicroSDカードをパソコンにマウントできる。マウント中、端末からはmicroSDカードが一時的に操作できなくなる。端末の充電もUSB端子で行うため、パッケージにはFOMA用の充電端子をUSBに変換するアダプタが同梱されている。パッケージに同梱されるUSBケーブルはmini B端子の形状が特殊で、同梱されるケーブルしか利用できないように思われるが、一般的なmini B端子と互換性がある形状となっている。このため、パソコンとmini B USBケーブルがあれば端末の充電が行える。また、本体のUSB端子はイヤホンマイク端子を兼ねるため、イヤホンを使う場合はパッケージに同梱される3.5mmミニプラグ用の専用アダプタを利用する。

 タッチパネルは静電式で、感圧式ではないためスタイラスペンは付属しない。トラックボールはカーソルの移動に利用するもので、画面にマウス操作のようなポインタは表示されない。トラックボール部分は押下でき、決定キーとして機能するほか、ボールが点滅して着信や通知のアラートのランプとしても機能する。ランプは端末上部のスピーカー右脇にも設けられており、充電中や、各アプリのアラート表示などに利用される。

 日本語入力は「iWnn IME for Android」が用意されており、タッチパネルに表示されるソフトウェアキーボードで入力を行う。予測変換に対応するほか、文字数を指定して予測を行うワイルドカード予測といった機能も用意されている。

 トラックボール以外のキーは、左から「ホーム」「メニュー」「戻る」「検索」キーで、これに「発話」「終話/電源」キーが加わる。「ホーム」キーはどの画面からでもホーム画面(待受画面)に戻るキーで、ホーム画面で長押しすると、最近使用したアプリが表示される。3つあるホーム画面の左右どちらかのホーム画面で「ホーム」キーを押すと、中央のホーム画面に戻る。「メニュー」キーは各画面におけるサブメニューを表示する。「戻る」キーは画面を閉じるキーで、長押しすれば使用中のアプリのメイン画面に戻る。ソフトウェアキーボードが開いている場合なら、キーボードが閉じられる。「検索」キーはソフトの各場面で可能な検索機能を表示し、検索できる。

 着信音などのボリュームと、マナーモードの関係は、一般的な携帯電話と異なるため分かりにくい部分かもしれない。ホーム画面で音量調整ボタンを押すと、「着信音量」と表示され、通話やメールの着信音のボリュームを調整できる。音量調整ボタンの下を押していくと、ボリューム大〜小(7段階)→バイブレーションのみ→無音 と推移する。「終話/電源」キーを長押しするとマナーモードを選べるが、これは手動で着信音量を無音にした場合と同様だ。マナーモードはあくまで通話・メール、アプリのアラートなどの着信の音に関するもので、音の出るアプリや、動画・音楽ファイルを再生すると、それぞれに設定されている「メディアの音量」のボリュームで再生される。アラームの音量についても同様に個別に設定されているが、アラームは設定で、マナーモード中にアラームを鳴らすかどうか選択できる。

 ボディは薄くコンパクトで、角が丸いため、手に持った時のフィット感は高い。通話やアプリの使用などでは背面からそれなりに発熱が感じられる。

 公表されている仕様では連続待受時間がW-CDMAで210時間と、一般的な携帯電話やスマートフォンよりも若干短くなっている。このためか、製品パッケージには予備の電池パックが1個、同梱されている。しかし、電池パックを充電するには本体に装着する必要があり、面倒だ。サードパーティからはさっそくこの予備の電池パックを充電できる製品が登場しているので、利用は自己責任となるが、これらの製品の活用も検討する価値があるだろう。なそ、画面の明るさを調節したり、国際ローミング設定で不要な自動選択機能を解除して3Gを指定する、GPSやBluetooth、無線LAN機能を必要に応じてオフにするなどすれば、電池の持ちは多少改善される。

Googleサービスとの連携が機能の柱

 OSとして搭載されているAndroidは、グーグルが開発に参加していることもあり、既存のGoogleのサービスとの連携が大きな魅力となっている。HT-03Aでも端末に搭載されるメール、スケジュール、アドレス帳、ブラウザといった多くの基本機能がGoogleのサービスと連携・同期でき、パソコンでの利用と組み合わせた、独自の使い勝手を実現している。データの同期は定期的に行われるため、端末側で独自のデータを持つという使い方ではなく、インターネット上にあるデータをパソコン、HT-03Aのどちらからでもアクセスして利用できる、という考え方が分かりやすい。

 メールは「Gmail」と「メール」、電話番号で指定する「SMS」の3種類が用意されており、GmailはGoogleの提供するメールサービス、「メール」はプロバイダのメールアカウントなどのEメールを利用するメールクライアントとなっている。HT-03Aでは「Gmail」がプッシュメールとして利用できるのが特徴で、サーバーにメールが届くと、随時端末にメールが配信される仕組みになっている。iモードサービス全般に対応しない同端末において、メールはGmailの利用が中心となるだろう。Gmailは、パソコンではWebブラウザで利用するWebメールサービスで、HT-03Aでも通信が可能な場所でないと利用できない点は注意が必要だ。ラベルやフィルタリングの設定、同期対象のラベルを変更すれば、特定の種類のメールのみを端末に受信することもできるなど、利用スタイルに合った変更が行える。

Gmailの受信トレイ Gmailのメール本文表示

 

 カレンダー・スケジュール機能も「Googleカレンダー」と同期し、予定の作成や確認が行える。画面上の表示サイズの制約からか、月表示ではスケジュールの有無が分かるのみで内容まで表示されないのは残念だが、スケジュールのアラート・リマインダー機能を備え、複数のグループカレンダー表示にも対応するなど、パソコン版と遜色ない内容で利用できる。

カレンダーの月表示 カレンダーのスケジュール一覧表示

 

 ブラウザは、いわゆるフルブラウザで、パソコン向けのWebサイトを閲覧できる。画面サイズや解像度からパソコンと同じ感覚で閲覧できるわけではないが、拡大・縮小や「スケール&スクロール」機能を使ってブラウジングが可能。端末の画面解像度がiPhoneと同じであるため、いくつかのiPhone用に作られたサイトを快適に閲覧することもできた。

 ブラウザ利用中のトラックボールは、クリックが可能な場所を移動するカーソル(リンク場所カ所のフォーカス)の操作と、リンクのクリックに利用する。タッチ操作ではクリックが難しい小さなリンクでも、間違うことなくクリックできる。また、カーソル位置は、タッチ操作による画面の移動でリセットされる。例えば、タッチ操作でおおまかに目的の場所までスクロールし、その後トラックボールを操作すると、画面にリンククリックのためのカーソルが表れるという仕組みだ。

ブラウザで本誌を表示。サイズはオリジナルの等倍表示 縮小して全体を見やすくしたところ。トラックボールを操作すると黄色いカーソルが表れる。縮小表示では押しにくい小さなリンクも、トラックボールでの操作ならクリックできる

 

 アドレス帳にあたる「連絡先」はGmailの「連絡先」と同期する。Gmailの「連絡先」はデータの一括インポートに対応しているので、バックアップサービスなどでエクスポートしたデータを取り込むことも可能だ。

 通話機能では、着信にすぐに出られない場合の「応答保留」や、端末内の留守番電話メモ機能が無いため、ややシンプルな印象。ユーザーによっては留守番電話サービスの契約が必要だろう。Bluetoothヘッドセットとの連携は柔軟に行え、ペアリング済の機器であれば、通話中でも端末のBluetoothをオンにしてペアリングを行い、通話をBluetoothヘッドセットに転送することもできる。

通話のダイヤルボタン表示画面 通話の「連絡先」はGmailの「連絡先」と同期している。メールアドレスが登録されていれば、ここからメールの作成も可能

 

 動画サービスでは、GoogleのサービスでもあるYouTubeは専用のアプリからアクセスが可能。ブラウザでモバイル版YouTubeの閲覧も可能だ。ニコニコ動画の閲覧は行えなかった。ブラウザはまた、Googleドキュメントの表示・編集にも対応しており、GoogleドキュメントとしてWeb上で共有されているオフィス文書の活用も可能になっている。

 このほか、Googleマップが利用できる「地図」アプリは、地図、航空写真、ストリートビューの表示が行え、ルート検索や周辺検索も可能。GPS機能を有効にすれば、詳細な現在地を定期的に確認できる。カメラ機能はシンプルながらオートフォーカス対応で、ブログへの掲載やメモに活用できる。こちらもGoogleのサービスである「Picasa」に簡単にアップロードできる機能が用意されている。

YouTubeの動画は横画面で表示される 「地図」ではGoogleマップの各種機能を利用できる。

 

これまでにない自由度のアプリ配信プラットフォーム

 HT-03Aのもうひとつの特徴は、「Androidマーケット」によるアプリケーション配信プラットフォームの存在だろう。Google連携機能以外は比較的シンプルにまとまっている同端末だが、アプリの追加によりさまざまな機能を追加できる。「Androidマーケット」の大きな特徴は活発なアプリの追加と配信で、1社ですべての審査を行うような仕組みと比較して、これまでにないスピード感と自由な雰囲気が魅力となっている。

 「スマートフォン」と呼ばれる種類の端末は、自由にアプリを追加できることを特徴としているが、これまではユーザー自身が無数のサイトからアプリを探してダウンロードする、あるいはアプリ紹介サイトなどで見て、ダウンロードするというのが一般的だった。iPhoneのApp Storeに代表されるように、端末から簡単にアクセスできるところにアプリを集約し、課金の仕組みまで組み合わせたのがアプリ配信プラットフォームで、ユーザーにとってはアプリをさまざまなサイトで探す手間が大幅に削減され、ほかのユーザーの評価を効率よく参照できるメリットがある。

 Androidマーケットでは、開発者が比較的自由にアプリを登録し配信が行えるようになっている。このため、悪意のあるアプリが配信される可能性もあるが、☆による評価の平均値や、評価したユーザーの絶対数、コメント欄を確認することで、そのアプリがどういった内容なのかを推し量ることが可能になっている。また、ダウンロードする際には、画一的な表現ながらそのアプリがアクセスできる内容が表示され、およそ端末内のどの機能にアクセスするかを把握できる。また、配信されているアプリは不適切なコンテンツとして報告することもできる。

 このように、自由なアプリ配信プラットフォームの構築に対して、市場の自浄作用ともいうべき抑止力が用いられているが、基本的にはユーザーの自己責任で対応すべき内容なのは、これまでのスマートフォンと変わるところではない。

ウィジェットから日本語入力までさまざまなアプリ

 現在、HT-03Aで利用するAndroidマーケットは有料アプリの配信に対応しておらず、一覧にも表示されない状態だが、無料のアプリや無料体験版でもさまざまなアプリが登場している。多くは先行して端末が発売された海外の開発者が製作したアプリだが、日本人の製作したアプリも着実に増えている印象だ。

 一例を挙げるなら、OpenWnnやソーシャルIME、さらにフリック入力に対応した日本語入力アプリや、音楽ファイルからHT-03A用の着信・アラーム音を作成できるアプリ、国土交通省の雨雲レーダーを表示できるアプリ、ミニブログサービス「Twitter」のクライアントアプリなどなど。端末の挙動をより深く制御できるユーティリティ系のアプリや、iPhoneで人気のアプリの移植版も登場している。

 Androidマーケットではアプリの各ジャンルについて人気順、日付順で表示できるほか、検索フォームも用意されている。また、インストール済のアプリは「マイダウンロード」で確認でき、アップデートされた場合には通知され、常に最新バージョンに保つことも可能だ。

Androidマーケットのメイン画面 「ツール」カテゴリの登録日付け順での一覧。さまざまなアプリが比較的自由に配信されている

 

 コメント欄や開発者のWebサイトなどでユーザーがフィードバックを行い、問題を修正、機能を改善・追加してアプリがバージョンアップされる。これら一連の流れがアプリ配信プラットフォームを軸に、従来にはないスピード感で動いており、日々進化している様を目の当たりにできる。この自由度とスピード感は、広く開発者に開かれたAndroidマーケットならではの魅力といえる。

インターネットの“自由”を感じる端末

 HT-03Aで実現されるGoogleのサービスは、パソコン版との連携や同時利用で本領を発揮するなど、従来の携帯電話ユーザーからは少し離れた領域のサービスになっているのは確かだ。一方で、Googleが体現してきたともいえるインターネットの自由さと、自己責任を受け入れるならば、HT-03Aは非常に魅力的な端末になるだろう。

 



(太田 亮三)

2009/8/7 11:00


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