損しないためのケータイ料金再入門

第2回:「音声通話&メール定額」のおトク度を検証


 以前は従量課金が当たり前だったケータイの音声通話やメールだが、ウィルコムやソフトバンクを皮切りに、各社とも条件付きながら定額プランを導入した。ただ、定額の条件や内容は、キャリアごとに大きく異なる。それによって、利用スタイルも変わってくるはずだ。今回は、こうした違いをまとめるとともに、どのように使えばお得になるのかを検証した。なお、対象としたのは前回同様大手3キャリアのみであることを、あらかじめお断りしておきたい。

音声定額は“家族間のみ”のドコモ

 ドコモの通話定額は、基本的に家族間のみとなっている。条件はFOMAの新料金体系(2005年11月1日以降に導入されたプラン)で「ファミ割MAX50」に加入しており、同じ主回線のグループに属する回線同士であること。「ファミリー割引」と身体障害者手帳を持つユーザー向けの「ハーティー割引」の組み合わせでも、上記と同様の扱いとなる。また、継続契約期間が11年目に突入していれば、「ファミリー割引」と「(新)いちねん割引」の併用でもよい。ただし、もちろん国際ローミング中の発信などには、通話定額は適用されない。

 家族同士が無料になるのはiモードメールも同じ。ドコモのiモードメール同士なら、デコメールや画像を添付したメールにも、一切お金はかからない。パケット定額制への加入も不要。電話とiモードメールの相手が家族だけというのであれば、月々の支払いは、980円の「プランSSバリュー」(「ファミ割MAX50」適用後)と、315円の「iモード付加機能使用料」だけだ。

auの「指定通話定額」は賢く利用したい

 auもドコモと同様、家族間の通話定額を導入している。条件は「家族割」と「誰でも割」の契約。ドコモの「ハーティー割引」に当たる「スマイルハート割引」を、「誰でも割」の代わりにすることも可能だ。ただし、無料対象になるメールは半角最大100文字のCメールのみ。Eメールには通常どおり、パケット代がかかる。

 また、auでは、あらかじめ決めた最大3件への通話料が無料になる「指定通話定額」を利用できる。相手に選べるのはauケータイのみで、料金は月額390円。家族間通話定額と同じく、Cメールも無料になる。“頻繁に連絡を取るauユーザー”がまわりにいるなら、確実にお得だ。

 試しに、「誰でも割」を適用した「プランSSシンプル」で、何分程度指定先に電話すれば“元が取れる”のかをグラフ化したので、以下を参照してほしい。

 上記のグラフの交わりを見れば、3人までの特定の相手に、34分30秒以上発信すれば「指定通話定額」を付けた方が安くなることが分かるはずだ。また、「プランSSシンプル+指定通話定額」だと、無料通話分も1050円分丸々余るため、最大で25分間、指定したauケータイ以外の相手とも電話できる。

 ただ、グラフは“電話をかける相手が3件までのauケータイのみ”という条件で比較しているため、実際にこのようになる人は少ないだろう。そこで、少々複雑だが、誰でも割適用後の「プランSシンプル」で、通話料の半分が3件のauケータイで占められているケースを、「プランSSシンプル+指定通話定額」と比較した。なお、やや非現実的だが、グラフに落とし込むために、「プランSSシンプル+指定通話定額」は、課金単位である30秒ごとに指定先と非指定先へ交互に電話したと仮定している(つまり、1分間で本来の通話料である42円の半分の21円が課金される)。結果は以下のグラフのとおり。ご覧のとおり、「プランSシンプル」よりも、全てのケースで安くなることが見て取れる。

 上記はあくまで一例でしかないが、電話をする相手とその“au比率”によっては、「指定通話定額」を利用し、プランを1段階落とした方が、トータルの支払いが安くなることもある。月額105円かかってしまうが、一度通話明細を確認し、誰にどの程度電話しているのかを分析してみるのもよさそうだ。

「ホワイトプラン」と「ダブルホワイト」の分水嶺

 家族同士なら24時間通話定額、メール定額になるのはソフトバンクも同じ。条件は、「家族割引」(ホワイトプランだと特に割引はないので、家族登録と考えておけばよい)への加入と、発信側が「ホワイトプラン」や「ダブルホワイト」であることだ。家族間は、メールの送受信も無料。一部機種での300KBを超えるメールにも料金がかからない。ただし、「パケットし放題S」では、電話番号で送受信したメールのみが無料の対象のため、注意が必要だ。ホワイトプラン以外の場合も、そのプランに応じた家族割引が適用される。

 また、「ホワイトプラン」や「ダブルホワイト」は、午後9時から翌日の午前1時までを除き、ソフトバンク同士の通話料が無料となる。2つの違いは基本使用料と30秒辺りの通話料。前者が月額980円で30秒21円なのに対し、後者は月額1960円で30秒10.5円となる。無料対象外の9時~翌1時に電話することが多い、友人がソフトバンク以外のキャリアばかりというケースでは、後者の利用がオススメだ。損益分岐点は、以下のグラフ内に掲載した。

 ソフトバンク同士のメールも原則として無料になる。ただし、こちらのケースでは300KBを超えるメールは有料。前回紹介した「パケットし放題S」との組み合わせでも、メールの料金がかかる。

 このように各社が実施している通話定額は、上手く使えば節約につながるが、もちろん、メリットは単に料金が安くなるだけではない。気の置けない仲間や恋人、家族と、時間の心配をせずにいつまでも話ができるのは、お金以上の価値がある。料金の節約になるのはもちろんだが、それ以上に積極的に通話を楽しみたいところだ。最後に今回紹介したプランの条件などを一覧にしたので、ぜひ利用を検討してみてほしい。


家族間の24時間通話定額の条件同一キャリア間の通話定額
ドコモ 「ファミ割MAX50」または「ファミリー割引」と「ハーティー割引」に加入していること。11年目のユーザーは「ファミリー割引」と「(新)いちねん割引」でも適用される。家族間のiモードメールは添付ファイルなどの有無や容量を問わず無料。 なし
au 「誰でも割」と「家族割」に加入していること。「家族割」と「スマイルハート割引」の組み合わせでもよい。家族間で無料になるメールはCメールのみで、Eメールには料金がかかる。 390円で3件までの相手を選べる「指定先通話定額」を用意。指定先とのCメールも無料になる。現行の全プランと組み合わせることが可能。
ソフトバンク 「家族割引」を組んだ相手に、「ホワイトプラン」や「ダブルホワイト」から発信することが条件。メールも原則無料だが、「パケットし放題S」を利用した場合は電話番号以外で送受信したメールは有料となる。 午後9時から午前1時までを除いた通話が無料になる。「ホワイトプラン」や「ダブルホワイト」からの発信が対象。メールも原則無料だが、「パケットし放題S」を利用したり、一部機種で300KB以上のファイルを添付したりすると対象外となる。

(石野 純也)

2009/10/14 11:41