ケータイ新機能チェック

ドコモの「オートGPS」を試す


 NTTドコモの2009年冬モデルから導入される新サービス「オートGPS」。事前に設定しておけば、移動中であれば5分間隔で位置情報を測位し、ネットワークに送信して、その場所にあった情報を受け取れるというものだ。

 NTTドコモ・山田隆持社長がかねてから「新しい行動支援型サービスを導入する」と宣言していたものがようやく実用化となった。オートGPSと組み合わされることでiコンシェルはどのように進化したのか。早速、試してみた。

終電アラーム

 iコンシェル オートGPSの設定画面。あらかじめ「利用する」と設定する必要がある。測位に関するパケット通信料は無料だ

 5分間隔で自動的に位置情報を測位する「オートGPS」機能が備わることで、iコンシェルがさらに便利になると期待されている。

 まず残業や飲み会の多いサラリーマンに嬉しいのが「終電アラーム」というサービスだ。あらかじめ自宅周辺の最寄り駅を設定し、終電アラームをオンにしておく。すると、夜間、オートGPSによって、自分が最寄り駅周辺にいなかった際には、何時のどの電車に乗れば最寄り駅まできちんと帰れるか、というのをiコンシェルによって知らせてくれるというものだ。

 終電アラームの設定画面。自宅の最寄り駅は3駅まで設定可能。配信曜日や終電の何分前に配信するかなどを選べる

 実際、東京都の西側に位置するJR五日市線「東秋留駅」を最寄り駅に設定しておき、夜間に都営新宿線・曙橋駅付近にいて終電アラームを試してみた。すると22時36分にiコンシェルの情報が届き、23時03分もしくは07分に曙橋駅から電車に乗れば、終電として帰れることがわかった。終電の約30分前に通知が届いたのだが、この時間はあらかじめ設定しておける。また配信する日程なども、自分で決められるので「週末は受け取らない」ということも可能だ。

 オートGPSによって自動的に自分の場所を測位してくれるので、赤坂や六本木、新宿など、どこで飲んでいても、その近くの駅からの終電を教えてくれるのはかなり便利と言えるだろう。

 実際の配信画面。終電の約30分前に知らせてくれた 吹き出しをクリックすると乗換一覧の画面に飛ぶ

ANAの情報通知サービス

 11月12日からiコンシェル連動サービスを始めたANAサイト

 もうひとつ、オートGPS連携としてすでに11月12日からサービスを始めているのが航空会社・ANA。航空券の予約情報と連携した情報通知サービスを行っている。早速、試してみようと、東京から福岡まで行ってみた。

 まず、ユーザーはANAのケータイサイトで航空券の予約完了画面から、「iコンシェルサービス」というボタンを押し、「空港インフォメーション配信」というところにチェックを入っているかどうかを確認するところから始まる。

 iコンシェル向けサービスのメニューにはもうひとつ「スケジュール登録」という項目があるのだが、これはオートGPS非対応機でも表示される。オートGPS非対応であれば、iコンシェルにスケジュールが自動的に登録されるのみになる。オートGPS対応機種でであれば、スケジュールを登録できるだけでなく、空港に近づくと、自動的に情報が降ってくる「空港インフォメーション配信」が登録できるようになっている。

 予約画面からiコンシェル登録画面に移行する。オートGPS対応機では「空港インフォメーション配信」にチェックをつけておく

 実際に自宅で登録を済ませると、待受画面の「ひつじのしつじ」がスケジュールを登録したと教えてくれ、iコンシェルにもスケジュールが保存された。予約したのは11月14日17時05分発福岡行きANA263便。当日、午後は取材が入っていたのだが、予想以上に押してしまい、現場から解放されたのが15時45分。慌てて電車に飛び乗っても間に合うかはギリギリの時間。

 仕方なく都内からタクシーに乗ることになってしまった。当日はアメリカ・オバマ大統領が来日していたのだが、午後2時過ぎには羽田空港を離日したようなので、首都高速も通行止めはすでに解除され、比較的スムーズだった。

 道中、画面を見ていると、オートGPS機能はやはり5分間隔で現在地を測位しているようだ。GPSのマークが動き出し、その後、パケット通信をする、というのを繰り返すだ。羽田空港に近づくタクシー。果たして、どこで情報が降ってくるのか。

 都内からレインボーブリッジを渡り、大井を抜けるも反応はなし。ただ5分間隔で測位をし続けるのみ。そうこうしているうちにタクシーは首都高速を降り、羽田空港の敷地内に入ってしまった。ここでもまだ通知はされない。ついには、第2ターミナルに到着し、タクシー代を払うタイミングになってしまった。都内から乗っただけあって値段は8000円を超えてしまった。成田空港より近いとは言え、この金額は結構痛い。支払額に驚いている間もケータイは無反応のままだ。

 登録作業を完了すると、スケジュールが登録される スケジュールが登録されると、フォルダのなかにはこのようなデータが保存される
 実際に羽田空港に向かう。タクシーを降りた瞬間にひつじのしつじが「ようこそ!羽田空港へ」といってくれた

 支払いを終え、タクシーを降りた瞬間、突然、N-02Bが鳴り出した。「ようこそ羽田空港へ! ANAより運行状況や羽田空港周辺の情報をご案内します」とひつじのしつじのコメントが表示された。時間は16時12分。タクシーを降りてすぐという、あまりにベストタイミング過ぎてちょっとビックリした。

 吹き出し部分をクリックすると、ANAの自分のページに飛び、予約した便の搭乗搭乗口、出発予定時間がわかるようになっている。空港周辺情報や渡航先のオススメ情報、乗換案内や宿泊予約のリンクもついている。搭乗口がわかるので、そのまま「スキップサービス」で保安検査場を通って、搭乗口に行くことも可能だ。

 ただ、使ってみてわかったのが、急な時間変更まではプッシュで知らせてはくれない、という点だ。実験した当日は、午前中からの強風と午後のオバマ大統領の離日により、フライトスケジュールが大幅にずれていた。ANA263便は空港に到着したときはスケジュール通りだったが、出発直前になって、使用機到着の遅れにより20分、出発時刻が遅れるようになった。これらの変更はひつじのしつじは教えてくれない。自分で先ほど受信したメッセージをクリックして、予約の画面を見に行く必要がある。

 福岡空港に到着。最初に配信されたのは紅葉情報だった

 20分遅れではあったが、快適なフライトをしたのち、福岡空港に到着。早速、ケータイの電源を入れて、情報が配信されるのを待ってみる。飛行機を降りてすぐに電源を入れてみたが、まず最初に配信されたのが「紅葉シーズン到来! 高尾山をはじめ、関東南部では見頃の名所が多くなっています」という情報だった。どうやら、飛行機に乗っている間に配信された情報らしい。福岡情報はすぐには配信されてこないようだ。

 手荷物の受け取り場所まで移動し、さらに出口を出たところで、ようやく「ようこそ福岡へ!」のメッセージが届いてきた。相変わらずタイミングはいい。到着した際は乗換案内や宿泊予約がページの上の方にあり、ほかに天気状況や周辺のオススメ情報を検索できるようになっていた。

 5分間隔で測位するため、バッテリーの消耗が気になるところではあるが、自動的に測位することできめ細やかな情報が配信されるというのはかなり便利だ。地味ながらも手放せないサービスに成長する可能性は十分にありそうだ。

 吹き出しをクリックすると表示される画面。搭乗口、出発予定時刻がわかる 搭乗20分前になって、出発予定時刻が遅れることがわかった。プッシュでは配信されないが、iコンシェルの画面からスムーズに確認できるので便利
 数分後に「ようこそ福岡へ」のメッセージが表示された クリックすると、そのまま乗り換え案内や周辺情報を調べられるページに飛べる



(石川 温)

2009/11/20 06:00