損しないためのケータイ料金再入門

第5回:工夫で節約できるパケット代


 以前はパケット代が高額になる“パケ死”を防ぐために、ユーザーがさまざまな工夫をしていたが、パケット定額制開始以降、これらのテクニックが注目を集めることは少なくなった。だが、現在のパケット定額は2段階制が主流。“節約”を意識した使い方をマスターすれば、ケータイの料金は今より安くなる可能性がある。特に月々のパケット代に開きがあるライトユーザーほど、効果が大きいはずだ。そこで今回は、節約につながるいくつかの工夫やアプリを紹介していきたい。

通信中の画像表示をオフにする

 画像データはどうしてもサイズが大きくなりがち。容量に制限のあるケータイ向けサイトでは、さまざまな工夫をし、サイズを小さくしているが、パケット代がかかることに違いはない。文字さえ読めれば内容が確認できるサイトでも、デザインのために画像が使われていることがある。こうしたパケット代を細かく節約したければ、画像表示をオフにすることをお勧めする。

 細かな違いはあるが、どの端末にも、iモードやEZweb、Yahoo!ケータイのブラウザ設定に画像などをオフにする設定が用意されている。設定は、ドコモの「画像表示設定」、auの「添付データ再生設定」、ソフトバンクの「画像表示」などから行える。もちろん、見栄えは画像ありに比べると大幅に悪くなるが、文字だけでよいサイトなどでは十分な情報を得られるはずだ。

画像をオフにしてもサイトによっては利用可能

 リンク先の内容が画像内に書かれていたり、Flashでページが作られていたりといった場合は、そのページだけデータを開くことも可能。必要なものだけを自分で取捨選択できるというわけだ。1回の節約額は微々たるものだが、ちりも積もれば山となる。1円でも節約したいというユーザーは、ぜひ試してみてほしい。

Flashなどは完全に非表示となるため設定を切り替える

ブックマーク代わりに「画面メモ」を有効活用

各コンテンツへ直接ブックマーク
画面メモの参照にはパケット代がかからない

 「ブックマーク」や「お気に入り」など、名称は異なるが、サイトのURLを保存しておく機能は、ほとんどの機種にも搭載されている。ここからお気に入りのサイトにアクセスする人も多いだろう。ただ、ブックマークがそのページのトップだけだと、常にそこを経由して、必要なコンテンツを探すことになる。天気予報サイトを例に取ると、トップページだけでなく、自分の住んでいる地域の天気が表示されているページもブックマークに登録しておけば、ショートカットした分だけパケット代が安くなる。直接そのページにつながるため、操作の簡略化にもなりそうだ。ただし、URLが変更されることを考え、できればトップページへも忘れずにブックマークしておきたい。

 また、頻繁に変わるページでなければ、ブックマークより「画面メモ」が効果的だ。乗換案内で調べた終電の結果や、すぐに使う予定のクーポンなどは、その都度アクセスすると時間もお金もかかる。一方の画面メモなら、ページのデータを丸ごと端末内に保存しておけるため、パケット通信なしで後からこれらの情報を確認できる。ただし、Webの情報は常に変わる可能性があり、画面メモでは更新の有無が分からないことは忘れずに。あまりに古い情報は鵜呑みにせず、元のサイトに飛んで更新をチェックした方がよいだろう。

画像のメール添付は縮小してから

ケータイの液晶で見るならVGA程度にリサイズ

 最近の機種の多くは、メールに大容量のデータを添付できる。スマートフォンを除く一般的なケータイだと、ドコモとauは2MB、ソフトバンクは1MB(2009年の冬モデル以降で一部機種が2MBに拡張された)が上限だ。カメラの画素数も上がり、MBサイズの画像が撮れてしまうため、最大の大きさで撮って、そのままメールに添付してしまうユーザーもいるだろう。しかし、これでは相手にも迷惑がかかりかねない。「1パケット=0.084円」で計算すると、1MBで約688円、2MBだと1376円にもなる。料金がかかるだけでなく、送受信にも時間がかかる。

 こうした画像を添付する際にアラートを出してくれる機種もあるが、添付前にあらかじめ画像は縮小しておこう。ケータイの画面で見るなら、ディスプレイの解像度程度で十分。画像の一部を拡大して見てもらいたい場合は、あらかじめその部分だけを切り取ってから送った方がよい。ワイドVGA程度に縮小すれば、サイズも一気に小さくなる。メール添付の際は、用途に合わせたリサイズを心がけたい。

パソコン向けサイトはケータイ用に変換

文字を読むだけなら変換でも十分役立つ

 ケータイでパソコン用サイトを見る手段として一般的なのがフルブラウザ。しかし、この連載でも解説したように、パケット定額制の上限が上がってしまう。各社とも最大で5985円で、ケータイ向けサイトだけを使った場合と比べ、1575円の差がある。パソコン向けのサイトはサイズも大きく、上限に達するのも速い。

 とはいえ、そのサイトの全てが必要な情報とは限らない。レイアウトが崩れても、何とかなるケースはあるはずだ。そこで活用したいのがサイトの変換サービス。iメニュー、au one、Yahoo!ケータイのトップから検索すると、パソコン向けサイトもヒットするはずだ。ここからリンクをたどると、ケータイ用のブラウザに合わせて、サイトが変換される。当然、パケット定額制の上限も、ケータイ向けサイトだけを使ったときと同じ。サイトによってはきちんと表示できないこともあるが、まずはこちらで確認可能かどうかを試してから、フルブラウザを活用したい。

アプリ活用でフルブラウザ料金を回避

「jigブラウザ」なら多機能で料金も安い

 サイトの変換だと、どうしてもレイアウトが崩れてしまい見づらいという人には、アプリのフルブラウザがお勧めだ。ドコモの「iアプリ」、auの「オープンアプリ(Java)」、ソフトバンクの「S!アプリ」では、サードパーティーの開発したフルブラウザアプリが複数存在する。機能的にはフルブラウザだが、あくまでゲームなどと同じアプリのため、通信料は、原則的に通常のパケット定額制の範囲内に収まり、結果として節約につながる。

 jig.jpの開発した「jigブラウザ」は、このようなフルブラウザアプリの1つで、もっとも多彩なキャリアや機種に対応し、頻繁に機能が更新されている。月額630円だが、年払いにすると6000円で1カ月あたり525円。3キャリアでは、フルブラウザを利用すると1575円上限が高くなるため、525円払ってもトータルで1050円節約できる計算だ。中間サーバーを経由してデータを圧縮しており、ページの読み込みはスピーディーでパケット代の節約にもなる。一部のJavaScriptや、Flashに対応していなかったりはするが、その分独自機能が多く、情報を得るという目的は十二分に果たせるだろう。

 ただし、ソフトバンク向けのjigブラウザは、公式サイトと一般サイト(勝手サイト)、それぞれで提供されており、前者のバージョンは内蔵フルブラウザと同等の扱いになる。そのため、上記のようにパケット代を抑えることはできないので、注意が必要だ。

 また、アプリの仕様上、au版は制限が厳しい。auの「オープンアプリプレイヤー」は、通信が発生するごとにアラートが表示される。端末内部で完結するゲームなどなら問題ないが、フルブラウザだとサイトにアクセスするたびに確認を求められ、操作性が極端に悪くなる。このようなデメリットは、契約前にしっかり確認しておきたい。

 ここまで紹介してきた方法はあくまで一例だが、パケット代はちょっとした工夫で、節約することができる。ただ、全てを実践すると、さすがに使い勝手が悪くなり、わざわざケータイで通信する意味が半減しかねない。また、そのほかでパケットを上限まで使っているユーザーには、効果が出ないこともある。全部を試して大幅な値下げを期待するというよりは、この中から自分に合ったものを探すつもりでチャレンジしてみよう。

(石野 純也)

2010/1/13 16:00