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ドコモの新サービス「Xi」レビュー

「L-02C」で高速なLTE、広いFOMAエリアを使い分け


L-02C

 2010年12月24日、NTTドコモは、LTEを使った新しい通信サービス「Xi(クロッシィ)」をスタートした。あわせて「Xi」対応端末として、LGエレクトロニクス製の「L-02C」が発売された。

 LTE(Long Term Evolution)は、新しい通信規格だ。NTTドコモのサービスでは、当初、下り最大37.5Mbps、上り最大12.5Mbpsの理論通信速度となっている。一部の屋内エリアでは、利用できる周波数が倍(10MHz幅)となり、速度も倍の最大75Mbpsとなる。

 LTE自身には後方互換性はないが、「L-02C」は、W-CDMA方式(FOMA)とLTE方式のデュアルネットワークに対応している。FOMAハイスピード(受信7.2Mbps/送信5.7Mbps)もサポートし、800MHz帯のFOMAプラスエリアでも利用可能だ。「Xi」という1つのサービスを契約するだけで、LTEとFOMAの両方のネットワークを利用できる。

 今回はこの「L-02C」と、「Xi」のファーストインプレッションをお届けする。

ドライバディスク不要の簡単セットアップ

パソコンに直結できるが、隣接する端子が使えなくなることが多い
SIMカードスロットにアクセス可能

 「L-02C」は、いわゆるUSBドングル型となっている。サイズは90×35×12.9mm、重さは44g。端子カバーになっている部分は折れるようになっている。そこを折ると、USB端子が露出する。端子カバー部分には、SIMカードスロットやステータスランプが付いている。

 対応するパソコンは、Windows XP/Vista/7およびMac OS X 10.5.8(Leopard)〜10.6.4(Snow Leopard)。MacはIntel Macのみの対応だが、新サービス開始直後からMacに対応しているのは、Macユーザーにとっては嬉しいポイントである。ユーティリティソフトの見た目も機能も、WindowsとMacで全く同じだ。

 USB端子はフルサイズのオス形状なので、そのままパソコンに挿せる。しかし端子カバー部分はそれなりにあるので、ノートパソコンのUSB端子の位置によっては、装着できなかったり、隣接する端子に干渉したりするかもしれない。筆者が試したところ、旧モデルのMacBook Airでは、直接接続できなかった。

 ドライバーソフトや接続ユーティリティは、「L-02C」に内蔵されていて、L-02CをパソコンのUSBポートに差し込むと、各種セットアップが開始される。とくに難しいポイントはない。

接続ユーティリティソフト

 「L-02C」をパソコンに繋げ、インストールされたユーティリティソフトを立ち上げると、自動的にネットワーク接続が開始される。自動接続はオフにすることもできるが、基本的には常時接続での運用が想定されているようだ。このあたりの挙動は、WindowsでもMacでも変わらない。

 なお、短い試用期間ながら、Mac OS XでL-02Cを使っていたところ、圏内でありながら、何度か勝手に切断されたり、再接続に失敗するといったことがあった。Windowsでもいつのまにか切断されることがあった。それほど頻発するトラブルでもなく、発生してもすぐに再接続できる。しかし、ストレスに感じる点ではある。できれば改善を期待したいポイントだ。

LTEエリア内での速度は良好

 今回は東京の渋谷駅近辺を移動しながら、通信速度測定サイトを使い、L-02Cの速度を測定してみた。使用機材は旧型のMacBook Air(Mac OS X 10.6.5 / Core 2 Duo 1.6GHz)で、12月25日(土曜日)の昼過ぎから夕方にかけて測定している。ここで測定した数字はあくまで筆者が試した時点で、通信速度は様々な条件で変動するため、必ずしも再現性のある数値ではない。ご了承いただきたい。

 渋谷駅前は、ドコモの公表するエリアマップではLTEのサービスエリア内だ。測定中はユーティリティソフトの「Xi」のアンテナ表示は最大のままだった。

 まず渋谷駅前の待ち合わせスペースでは、だいたい下り速度が11.2Mbps、上り速度が331kbpsという結果となった。上り速度が低いのが気になるが、Windowsマシンなどほかの環境で試してみても同様の傾向が見られた。ネットワークかL-02Cのチューニングが万全ではないのかもしれない。

 アンテナ表示が最大ならば、速度も最速、というわけではないらしい。青山通り沿いの国連大学前(青山学院大学の向かい)の広場に移動して測定したところ、下り20.5Mbps、上り634kbpsと、、さらに高速な結果が得られた。やはり上り速度が低めだが、速度的には渋谷駅前のほぼ倍にまで伸びている。

 まだ利用者の少ないサービスなので空いているのだろうが、それにしても速いときには、理論値の半分以上の速度がでるというのは、なかなか優秀だ。Webブラウジングでも大きなストレスはなく、動画ストリーミングも受信側ならば問題ない。ただ送信側の速度があまりふるわないため、動画ストリーミングを送信するにはちょっと厳しいかもしれない。

 屋内に入っても、窓から近い場所ならばそれほど感度の低下は見られなかった。渋谷駅近くの飲食店(ビアパブ)の窓際席で測定したところ、下り10.2Mbps、上り144kbpsとなかなかの速度となった。

 さらに渋谷駅近くにあるマンションの9階で測定した。こちらは窓から3mほど離れたが、下り7.3Mbps、上り103kbpsとなった。ちなみにこの場所、ドコモによるLTEエリアマップを見ると、エリアぎりぎりと、圏外に近い場所なのだが、そんな環境でも十分な速度が得られているのは頼もしい。

LTE圏外でもFOMAプラスエリアが頼もしい

 一方、地下など電波が届きにくい場所はどうだろうか。先述の国連大学近くの地下商業施設にある飲食店内(地下1階)では、「Xi」の電波を捕まえることはできなかった。この地下商業施設、ドコモ(FOMA)とauはかろうじて使えるものの、ソフトバンクモバイルは圏外と、ケータイにとっては過酷な環境となっている。

 「Xi」の電波は届いていないが、「L-02C」は、FOMAネットワークも使える。「Xi」圏外では、ユーティリティソフトのアンテナ表示は「LTE」ではなく「HSDPA」や「W-CDMA」となり、そちらで通信を行うことを示す。この地下商業施設では、ときおりHSDPAからW-CDMAに切り替わったが、それでも下り速度は4.0Mbps、上り速度は367kbpsとなっていた。

 サービス開始時点での「Xi」のエリアは、首都圏、大阪、愛知という3大都市圏で、しかも東京の山手線内すら「Xi」は圏外となる場所が多い。大きな商業施設でも屋内基地局が期待できる段階でもない。しかし「L-02C:は、FOMAの広大なエリアで通信できる。それも国内では実質最強と言えるFOMAプラスエリア対応だ。よほどの山間部や沖合でもない限り、全く通信できずに困ることは滅多にないだろう。

 「Xi」の特徴として、ドコモでは「高速」「大容量」「低遅延」の3つをアピールしている。実際に試したところ、遅延はなかなか優秀だ。国内のサーバーに対してPingコマンドを実行したところ、だいたい60〜90msと、100ms以下を維持していた。

 筆者がこれまでに試したところと比べると、モバイルWiMAXよりもわずかに速いレベルと言え、国内のモバイルネットワークとしては最速級と言える。低遅延が求められる用途として、現在代表的なサービスとしてはネットワークゲームがあるが、あまりアクション性が求められないネットワークゲームならば、十分に楽しめるレベルと言えるだろう。

スタートキャンペーン期間中は割安

 実際に契約する上で、気になるのは料金体系だ。現在のケータイの料金体系は、データ通信でも段階制の定額式が主流だが、「Xi」の価格設定は少し変わっている。2年の期間拘束付きの「Xiデータプランにねん」の場合、最低月額料金は1000円で、1KBあたり0.315円、最初の上限が6510円となる。最初の上限は、通信量が5GBまでで、5GBを超過すると2GBごとに2625円が追加課金される

 期間拘束のない「Xiデータプラン」も用意され、こちらは2470円〜7985円だが、1KBあたり単価、5GB以降の課金は「Xiデータプランにねん」と同じだ。このほか、プロバイダ料金が必要で、たとえばmopera Uスタンダードプランであれば、月額525円かかる。

 なお、サービス開始にあたり、現在は「Xiスタートキャンペーン」が実施中されている。2012年4月30日まではデータ料金の上限が割引され、「Xiデータプランにねん」で上限4935円、「Xiデータプラン」は上限6450円となり、「5GB以降の超過料金」もかからない。プロバイダ料を加えても「Xiデータプランにねん」は1000円〜5510円で使い放題になる。従来のドコモのデータ通信プランと比べ、安い水準と言える

 端末価格については、「Xiデータプランにねん」で新規契約するならば0円に割引したり、パソコンとのセット割引を実施したりしている販売店もあるようだ。

LTEの高速通信とFOMAプラスエリアの安心感の両立がポイント

USB型のL-02C以外にも来年度にはExpress Card型やモバイルルーター型のXi端末も予定されている

 「L-02C」が「買い」かどうかのカギは、やはりLTEのサービスエリアにあるだろう。生活圏がLTEサービスエリアから離れていて、LTEでデータ通信できないなら、L-02Cを選ぶ意味は薄く、FOMA単独のデータ通信サービス(キャンペーン値下げ中)やイー・モバイル、WiMAXサービスの方が安価で、端末の選択肢も幅広い。

 現状では、「Xi」のサービスエリアは、東名阪の都心部のさらに一部しかカバーされていない。LTEのライバルとも言えるWiMAXサービスを展開しているUQコミュニケーションズは、たびたび計画を前倒しつつ、猛スピードで基地局を増設している。UQのWiMAXとドコモの「Xi」でサービスエリアマップを比較すれば一目瞭然だが、WiMAXはすでに次の段階にある。「Xi」はこれからエリアを拡大していく段階で、WiMAXの先行アドバンテージは当面維持されるように思える。

 実際に使ってみたところ、「Xi」が使える場所は想像していたよりも広いという印象も受けた。UQの先行サービス開始時(2009年2月)は、開示されたマップ上ではエリア内とされていても、屋内では窓際ですらなかなか繋がらない、といったこともあった。そうした他社のサービス開始時と比べると、「Xi」は窓際で屋外とほぼ同じ速度という結果が得られるなど、実際のデータ通信利用シーンにはかなり対応できるだろう。

 なにより「L-02C」、そして「Xi」は、速度10Mbps超のLTE対応エリアだけではなく、国内最強と言えるFOMAのサービスエリアも利用できることも優位性の1つだ。しかもFOMAプラスエリアに対応しているので、およそ一般的に人が日常的に行く場所であれば、たいてい通信できる。この安心感は非常に大きい。

 10Mbps超のデータ通信サービスとしては、「Xi」以外にも、UQやMVNOによるWiMAXサービス、イー・モバイルの「EMOBILE G4」が提供中で、2011年2月にはソフトバンクの「ULTRA SPEED」が開始される。それぞれエリアや速度、料金、対応端末、期間拘束などで違いがあるが、その中にあって「Xi」は、FOMAのエリア全域で使える、という点が大きなポイントとなっている。高速データ通信サービスを契約する際には、そうした違いを踏まえ、自ら必須とする条件にあったものを選択するべきだろう。

 ちなみに「高速な新通信方式と枯れた現行通信方式」の両方に対応した端末は、「L-02C」が初というわけではない。似たような位置付けとして、WiMAXとCDMAのデュアルネットワークに対応したauの「DATA01」も存在する。今夏にレビューを掲載しており「DATA01」の詳述は避けるが、比較すると、「Xi」よりWiMAXの方がエリアは広いものの、料金はキャンペーン中の「Xi」の方がわずかに安いといった違いがある。データ通信サービスを選ぶ際には、選択肢へ新たに加わった「Xi」の良さを見極めていきたいところだ。



(白根 雅彦)

2010/12/27 13:58